「西田俊英展 忘るるなゆめ」 横浜 そごう美術館
横浜
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横浜のそごう美術館では、「西田俊英展 忘るるなゆめ」が開かれています。
会期は11月13日(日)までで、会期中は無休です。

西田0


西田俊英さん(1953~)は三重県伊勢市出身の日本画家で、日本美術院同人です。
奥村土牛、塩出英雄に師事し、人物、風景、花鳥など、画題は幅広く、
インドでの取材に基く作品も数多く制作しています。

「月光」 1971年 個人蔵
西田1

西田さんは高校時代は油彩画を描いていました。
墨絵のような色調の、幻想的な作品です。

「回転木馬」 1977年 個人蔵
西田14

武蔵野美術大学の卒業制作です。
回転木馬には夢幻的な雰囲気があります。

「華鬘(けまん)」 1983年 山種美術館
西田2

インドで見た情景に想を得た作品で、沈んだ色調で天蓋のように
広がるヒマワリや様々の花を画面いっぱいに描いています。
華鬘とはお寺の装飾品で、花輪飾りから発展したものと云われています。
私が西田さんの作品に惹かれるようになったのも、この作品を観て以来です。

「プシュカールの老人」 1995年 島根・足立美術館
西田11

インドに惹かれた西田さんは1993年に文化庁派遣研修員として、
インドに1年間滞在しています。
プシュカールはインド北西部にあり、村では年に一度、数万頭の
ラクダの集まるラクダ市が開かれます。
その時はテントが並び、店が出来、移動遊園地まで開かれ、
終わるとすべて消え失せるそうです。
その村の長老を正面から描いていて、真直ぐにこちらを見ている
緑色の目が印象的で、静かな表情に老人の威厳が表れています。

「ミニアチュールの画家」 1995年 ひろしん文化財団
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インド伝統の細密画を描く職人画家です。
絵筆を持ち、鋭い目でこちらを見ています。

「カルロス」 1997年 東京国立近代美術館
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逆光の中で人物を正面から捉えています。
西田さんはこの時期、人物をよく描いています。

「星夜燦々」 2002年 郷さくら美術館
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タージ・マハールはムガル帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーンが亡き王妃の
ムムターズ・マハルのために建てた大理石の廟で、1653年に竣工しています。
後にシャー・ジャハーンは息子で第6代皇帝となるアウラングゼーブに
幽閉されてしまい、小窓からタージ・マハールを眺めては往時を偲んで
涙を流したということです。
月の光に照らされたドームは白く浮かび上がり、金色の星も降っています。
木の枝に寄り添うようにして止まっている二羽の鳥はシャー・ジャハーンと
王妃を表しているようです。

「キング」 2002年 今井美術館
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インドで見た孔雀の印象を元に描いています。
太くたくましい脚も写実的です。

「きさらぎ」 2005年 個人蔵
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桜の下で、月の光を浴びて老いた馬が佇んでいます。
のどかに過ごしている姿に、人生の後半を迎えた自分の分身を感じたそうです。

「吉備の鶴」 2006年 足立美術館
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右隻
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左隻
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高梁川の河辺での鶴の営みです。
右隻の冬の枯れ野で鳴き交わして夫婦となり、左隻の春から初夏の
やわらかな日差しの中で、雛を育てています。

「出現」 2008年 北澤美術館
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木々の間から幻のように出現して、こちらを見ている鹿です。
鹿は神の使いであることを思わせます。

「鳴々生々」 2012年 数研出版
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白と黒を主にした墨絵のような画面でタンチョウを描いています。
広々とした空間の中の白が際立っています。

「サーカス」 2012年 山陽新聞社
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天蓋の中で観客は夢の世界に浸り、子象は花畑の中で遊ぶ夢を見ています。

「ゼウスの世界」 2013年 個人蔵
院004

ゼウスはボルゾイ犬の名前で、ボルゾイはロシア貴族が好んで
飼っていた犬種です。
西田さんは桜の下の犬という画題を考えていた時にこの犬と出会って、
構想が固まったそうです。
儚く咲く満開の枝垂桜の下の水辺に、高貴なボルゾイが座っています。

「月窓」 2014年 個人蔵
西田012

部分
院008

窓の外には満月と桜、室内には男性とボルゾイのゼウス、窓辺ではイグアナが
月を見上げています。
静かな白い幻想に満ちた、荘厳とも云える情景が浮かび上がっています。

「森の住人」 2015年 個人蔵
院展005

部分
院展006

生い茂る密林では木々が岩に根を張っています。
見上げた瞬間、一匹の猿が枝から枝に跳躍しました。
奥深い空間の中で、自然の生命力があふれています。


西田さんの作品は綿密で、抒情性があり、時に夢幻的でもあります。
特に最近の作品は色彩が抑えられ、水墨画のような深みを持っています。

副題の「忘るるなゆめ」は、師の塩出英雄の言葉、「日本画の道を選べり 
忘るるなゆめ 一生を励み磨きゆくべし」に拠っています。


2015年に日本橋髙島屋で開かれた「西田俊英展展」での
西田さんのギャラリートークの記事です。

展覧会のHPです。

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【2016/10/29 19:25】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんにちは。
  • 今度の展覧会のギャラリートークは残念ながら時間の都合が付かず、聴くことが出来ませんでした。
    実際に聴くと、作品への理解が深まります。
    「森の住人」が屋久島で取材したものとは知りませんでした。

    【2016/10/31 06:43】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 西田俊英展
  • 私も29日のギャラリートークに行きました。
    高校生の頃に描いたという油彩の月光は、ベートーベンの月光の曲を伊勢の舞楽に載せた、など興味深い話がありました。また昨年の院展出展作の森の住人は、屋久島に取材して7年やっと描き上げたなど、絵に向かう真摯な姿勢を話されました。
    今回、猫アリーナさんが以前書かれた高島屋のギャラリートークの記事を読み返しまた参考になりました。

    【2016/10/30 23:53】 url[マサちゃん #-] [ 編集]
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