「クラーナハ展 500年後の誘惑」 国立西洋美術館
上野
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上野の国立西洋美術館では、「クラーナハ展 500年後の誘惑」が開かれています。
会期は2017年1月5日(日)までです。

クラーナハ0


ルーカス・クラナーハ(父)(1472-1553)はザクセン選帝侯の宮廷画家で、
ヴィッテンべルクに工房を置いて活躍していました。

「マルティン・ルター」 1525年 ブリストル市立美術館
クラーナハ2

クラナーハはマルティン・ルター(1483-1546)の友人で、夫妻の肖像をよく描いています。
40代のルターの意志の強そうな表情を写実的に捉えています。
私たちの覚えている、頑固そうなルターの顔はクラナーハの絵に拠っています。
官能的なクラナーハの作品と、宗教改革者ルターとはそぐわない感じですが、
クラナーハはルターの理念に沿った絵も描いていました。
ルターがヴィッテンベルクの教会の扉に、宗教改革の始めとなる「95ヶ条の論題」を
掲げたのは約500年前の1517年10月31日のことです。

「子どもたちを祝福するキリスト」 1540年頃 台北、奇美博物館
クラーナハ1

マルコ福音書にあるお話で、子どもたちを祝福してもらおうとイエスのいる所にやって来た
母親たちを弟子たちが叱りつけたところ、イエスは子どもたちを自分の許に来させるよう、
弟子たちを諭しています。、
ルーカス・クラナーハ(父または子?)の作品で、わらわらと子どもや赤ちゃんが集まり、
イエスの髪を掴んでいる子までいます。
当時、再洗礼派が幼児洗礼を無効としていたのに対し、ルターは真の信仰心の模範としての
子どもの役割を認め、幼児洗礼を擁護していたため、この作品もルター派のプロパガンダの
一つとして描かれたと思われるということです。

「ホロフェルネスの首を持つユディト」 1530年頃 ウィーン美術史美術館
クラーナハ5

旧約聖書外典のユディト記の話で、ユディトは酔って寝込んだアッシリアの将軍
ホロフェルネスの首を刎ねて、ユダヤの町を救っています。
ボッティチェリ、カラヴァッジョ、クリムトなど、多くの画家が描いている刺激的な画題です。
3年かけて修復した後、初めての展示で、豪華な衣装を着けたユディトの肌は
つややかな張りがあり、瞳はきらめいています。
クラーナハはユディトやサロメなど、女性の持つ危険な魅力をよく題材に選んでいます。

「不釣合いなカップル」 1530-1540年頃 ウィーン美術史美術館
クラーナハ4

若い女性にたぶらかされた老人が怪しげな表情で腕を掴んで指輪をはめています。
教訓的な画題ですが、対照的な二人の顔と表情が見ものです。

「ヴィーナス」 1532年 フランクフルト、シュテーデル美術館
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クラナーハは裸体画の作者としても有名です。
クラナーハの描く古代の女神や女性たちは、長身で細身の独特のプロポーションを
していて、完全な裸体ではなく、薄物を身に着け、蠱惑的な表情を浮かべています。

「正義の寓意」 1537年 個人蔵
クラーナハ6

正義の女神は薄物をまとった裸体で描かれ、手に持つ天秤と剣が直角になっています。

「泉のニンフ」 1537年以降 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
クラーナハ3

岩から湧き出す泉の前で、衣装を脱いで薄物をまとった裸体の女性が眠っていて、
「我は聖なる泉のニンフ。我は憩う。我が眠りを妨げることなかれ」と書かれています。
泉のニンフですが、狩りの女神ディアナを象徴する弓矢が木に掛けられています。
枕にしている衣装は「不釣合いなカップル」の女性の服と同じです。

クラナーハの工房は大きく、多数の絵画を制作し、死後も工房は子に引き継がれています。
違う作品の中に似たようなパーツがよく登場するのは、工房による制作体制が整っていた
からでしょう。

展示されている作品は輸送の難しい板絵が多く、この展覧会は多数のクラーナハの作品を
観ることの出来る、貴重な機会です。

2012年に国立西洋美術館で開かれた、「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の
400年」でもクラーナハの作品が展示されていました。

 「ベルリン国立美術館展」の記事です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才」です。
会期は2017年2月28日(火)から5月28日(火)までです。

シャセリオー10-22-2016_008

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【2016/11/15 19:45】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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