「大仙厓展 ―禅の心、ここに集う」 出光美術館
日比谷・有楽町
chariot

日比谷の出光美術館では、開館50周年記念、「大仙厓展 ―禅の心、ここに集う」が
開かれています。
会期は11月13日(日)までです。

仙厓8-6-2016_005


仙厓義梵(せんがいぎぼん)(1750~1837)は江戸時代の臨済宗の僧で、
博多の聖福寺の住持を勤め、引退後も博多に住んでいます。
その洒脱な人柄と巧みな書画から、町の人に「仙厓さん」として親しまれました。 

出光美術館は仙厓の書画を数多く所蔵していて、よく展覧会を開いています。
出光美術館の創設者である出光佐三は仙厓に惹かれ、そのコレクションの始まりは
仙厓の「指月布袋画賛」で、最後の蒐集品はやはり仙厓の「双鶴画賛」だそうです。

今回は出光美術館だけでなく、福岡美術館、九州大学文学部のコレクションも展示されています。

画像は、以前の展覧会の時の資料も使っているので、色調の異なるものもあります。

「○△□」 出光美術館
仙厓1_1

仙厓といえば、この絵が有名です。
画賛には、扶桑最初禅窟とあります。
後鳥羽上皇より聖福寺に賜った号で、日本最初の禅宗寺院という意味です。
聖福寺は南宋より帰国した栄西が最初に立てた禅寺です。

解説では、四角い人が、三角になって坐禅して、丸い悟りを得る、ということを
表しているかもしれないとの、時間的な意味での解釈がされていました。
世界のすべての形、即ち世界その物を表しているという、空間的な意味にも思えます。

「一円相画賛」 出光美術館
仙厓0_1

これくふて
茶のめ

悟りを得てもそこに留まることなく、更に前に進めという意味とのことです。
悟りを表す円もお茶菓子になってしまいます。

「指月布袋画賛」 出光美術館
仙007

を月様
幾ツ
十三七ツ

布袋が月を指差しても、人は布袋の指を見て月を見ない、本質を見なければ
仏の境地には行き着かない、という禅画の題材の一つです。
わらべ歌も書き入れた、月を見て喜ぶ布袋さんと子供の姿には、元の意味を超え、
活き活きとした自由な境地が観られます。

「指月布袋図」 福岡市美術館
仙厓4

こちらも布袋と子どもたちが嬉しそうに月を見上げています。

「あくび布袋図」 福岡市美術館
仙厓2

目を覚まし、大きなあくびをしている布袋です。
頭から腹まで一筆で描いた線が秀逸です。

「香厳撃竹画賛」 出光美術館
仙006

香厳智閑(きょうげんちかん)は唐の僧で、掃き掃除をしていて跳んだ瓦礫が竹に
当たった音を聞いた瞬間に悟りを得た、というお話です。
ややっと驚く姿を、濃い線や薄い線、墨の濃淡を使って巧みに描いています。

「南泉斬猫画賛」 出光美術館
仙001

禅の有名な公案にある話で、唐の時代、南泉という僧の寺で、弟子たちの住む
東堂と西堂の首座が子猫のことで争っていました。
それを見た南泉は子猫を取り上げ、言うことを言えば猫を助けるが、言えなかったら
猫を着ると告げますが、誰も答える者がいません。
そこで南泉は猫を斬ってしまいました。

仙厓の賛はこう書いてあります。

一斬一切斬
爰唯猫児
両堂首座
及王老師

一切を斬った、それは子猫、両堂の首座、および王老師(南泉)である。
墨を含ませて「及」の字を太く書いたこの一句に深い意味があるようです。

「坐禅蛙画賛」 出光美術館 
仙厓8

坐禅して人か佛になるならハ

いつも坐っている蛙だって悟りを開けることになるから、形ばかりを真似ても
真実は得られないという教訓です。
しかし、にやりと笑った蛙の顔には、何か自得したような気配があります。

「蕪画賛」 出光美術館
仙厓6

かぶ菜と坐禅坊主ハすわるをよしとす

坐禅する姿を蕪のどっしりした形になぞらえています。

「釈迦降誕図」 九州大学文学部
仙厓0

誕生したばかりに天と地を指して、「天井天下唯我独尊」と唱えているお釈迦様です。
灌仏会(かんぶつえ)でお釈迦様に甘茶を掛ける行事の元になった、竜が産湯のために
天から水を注いでいる様子も描かれています。
このお釈迦様は右手ではなく、左手を上げています。

「堪忍柳画賛」 出光美術館
仙厓7

気に入らぬ風もあろふに柳哉

仙厓は分かりやすい処世訓をよく描いています。

「龍虎画賛」 双幅 出光美術館
仙005

虎図の画賛は

猫乎(猫か)
虎乎(虎か)
将和唐内乎(まさに和唐内か)

和唐内は、近松門左衛門の浄瑠璃「国性爺合戦」の主役、和藤内のことです。
和藤内が、日本人でも中国人でもないとうそぶくことになぞらえて、猫でも虎でも
ないぞ、と言っています。
和唐内は、「わからない」とも読めるという洒落も入っています。

龍図の画賛は

是何
曰龍
人大笑 吾亦大咲

これは何だと問われ、龍だと答えたら大笑いされ、自分も一緒に大笑いした。

「双鶴画賛」 出光美術館
仙002

鶴ハ千年
亀ハ万年
我れハ天年

素直に長寿を慶ぶ賛です。

「犬図」 福岡市美術館
仙厓1

子犬が杭につながれ、「きゃふんきゃふん」と鳴いています。
二筆で可愛い形を描き出しています。

「凧あげ図」 福岡市美術館
仙厓3

腹掛けをした子どもが凧を風に乗せ、「吹け吹けぷふぷ」と喜んでいます。

「章魚図」 福岡市美術館
仙厓5

タコを描いていて、残っている仙厓の絵で彩色画はこれ1点だけとのことです。

いつもながら、自由でユーモアのある仙厓の絵を観ていると、心がほぐれ、
仙厓の境地には到底及ばないにしても、何か一つ悟れそうな気持ちになります。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は開館50周年記念、『時代を映す仮名のかたち 
―国宝手鑑「見努世友」と古筆の名品』です。
会期は11月19日(土)から12月18日(日)までです。

仮名11-1-2016_001

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【2016/11/01 19:41】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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