「世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画展」 六本木 サントリー美術館
六本木・乃木坂
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六本木のサントリー美術館では、20017年1月9日(月・祝)まで、
「世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画展」が開かれています。
休館日は火曜日で、会期中かなりの展示替えがありますので、
展覧会のHPで確認してください。

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小田野直武(1750-1780)は角館生まれの秋田藩士です。
幼少の頃から絵が巧みで、狩野派や浮世絵に倣った絵を描いています。
展示されている作品には英一蝶風の「鍾馗図」もあります。

そして、角館を訪れた平賀源内に注目され、源内から西洋画を教わったとされています。

「ファン・ロイエン筆花鳥図模写」 石川大浪・孟高筆、大槻玄沢賛 
寛政8年(1796)賛 秋田県立近代美術館

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12月12日までの展示です。
高さ2m以上の大きな絵で、8代将軍徳川吉宗の注文で享保11年(1726)に
オランダから輸入された油彩画を石川大浪・孟高兄弟が模写したものです。
花器の根元に書かれた、 W Van Royen 1725 の文字もそのまま
写されています。
日本の絵画と違った、立体感のある西洋の油彩画を日本画の絵具で表しています。
石川大浪(1762~1818)は洋風画を得意とする絵師で、「杉田玄白像」で有名です。

「解体新書」 杉田玄白ら訳、小田野直武画 
 安永3年(1774) 東京医科歯科大学図書館

小田野0

藩命で江戸に出ていた小田野直武は平賀源内の紹介で、「ターヘル・アナトミア」の
訳本である、「解体新書」の挿絵を担当します。

「ターヘル・アナトミア」 クルムス著、ディクテン訳 
 1734年 東京医科歯科大学図書館

オランダ語の「ターヘル・アナトミア」を訳したのが「解体新書」で、その苦労を
杉田玄白は「蘭学事始」に綴っています。

「ヨンストン動物図譜」 ヤン・ヨンストン 1660年秋田県立近代美術館
ヤン・ヨンストンはポーランド生まれで、オランダのライデン大学教授となり、
動物、鳥、虫、魚などを写した「動物図譜」を著しています。

「獅子図」 小田野直武 18世紀 個人蔵
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12月5日までの展示でした。
ヨンストンの「動物図譜」を基にしていて、想像上の獅子ではなく、
ライオンを描こうとしています。
原図の左右を反転させ、掛軸の縦長の画面に合うように景色を加え、
目にはプルシアンブルーを使っているとのことです。

「蓮図」 小田野直武 18世紀 神戸市立博物館
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部分
小田野4

12月12日までの展示です。
縦長の画面を活かした構図で、蓮を写実的に表し、淡く遠景も描き足しています。
長崎に来航したことのある清の画家、沈南蘋(しんなんびん)に倣っています。
沈南蘋に始まる、写実的で細密な南蘋派の画風は当時の日本の画壇に
大きな影響を与えたということです。

「松に唐鳥図」 佐竹曙山 18世紀 個人蔵 重要文化財
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部分
小田野3

佐竹義敦(号は曙山 1748~1785)は秋田藩8代藩主で、絵を好み、
小田野直武に学んでいます。
唐鳥の羽根の色にはプルシアンブルーが使われているそうです。
細密で大きな近景と薄く描かれた遠景の組合わせは小田野直武とよく似ています。

「児童愛犬図」 小田野直武 18世紀 秋田市立千秋美術館
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12月5日までの展示でした。
中国服の子どもが洋犬と遊んでいる図です。
画面に奥行きを感じさせ、丸窓の向こうにいるように見せる、
だまし絵の要素も入っています。

「雷魚図」 小田野直武 18世紀 秋田県立近代美術館
雷魚(かみなりうお)とも呼ばれたハタハタが2匹、細密に描かれています。
ハタハタは秋田沖でよく獲れる魚です。

「日本風景図」 小田野直武 18世紀 三重・照源寺
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右は江の島、左は金沢百景の風景です。
小さく鳥も描かれています。

「富嶽図」 小田野直武 18世紀 秋田県立近代美術館
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遠近感が強調されていて、西洋人の日本旅行記の挿絵といった趣きがあります。

「不忍池図」 小田野直武 18世紀 秋田県立近代美術館 重要文化財
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12月12日までの展示です。
横132.5㎝という大作で、小田野直武の代表作です。
上野不忍池を遠景にして、シャクヤクやキンセンカなどを植えた異国風の鉢を置いています。
花の描写は写実的で立体感があり、シャクヤクの蕾に止まっているアリまで描いてあります。
遠景には寛永寺の伽藍や弁天堂が見え、左手には藩邸の白壁の長屋も見えます。
従来の日本の絵には無い空間性と、何か不思議な感覚のある作品です。

展覧会では小田野直武に絵を習った、佐竹一族の佐竹義躬(1749-1800)の作品や、
同じく小田野直武に習い、油彩による洋風画を描いた司馬江漢(1747-1818)の
作品なども展示されています。

小田野直武、佐竹曙山、佐竹義躬らが中心になり、西洋画を採り入れ、
南蘋派の影響も受けた画派を秋田蘭画と呼ばれています。
小田野直武は江戸に上った7年後に角館で急死し、間を置かずに佐竹義躬や
佐竹曙山も亡くなったため、秋田蘭画は短い活動期間を終えたということです。


中々まとまって観ることない秋田蘭画やそれに連なる絵画を観ることの出来る、
貴重な展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」展です。
会期は2017年1月25日(水)から3月12日(日)までです。

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【2016/12/10 18:06】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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