「岩佐又兵衛と源氏絵-〈古典〉への挑戦」展 出光美術館
日比谷・有楽町
chariot

日比谷の出光美術館では開館50周年記念、「岩佐又兵衛と源氏絵-〈古典〉への挑戦」展が
開かれています。
会期は2月5日(日)までです。

岩佐11-27-2016_001

桃山時代から江戸初期にかけての絵師、岩佐又兵衛(1578~1650)は和漢の古典を
よく題材にしていますが、特に源氏物語を絵画化した源氏絵を描いています。
展覧会では岩佐又兵衛とそれに続く絵師たちによる源氏絵を中心に展示しています。

「和漢故事説話図 須磨」 岩佐又兵衛 江戸時代・17世紀 福井県立美術館
岩佐0

中国と日本の故事説話や物語をそれぞれ12図描いた巻物で、元は岡山藩池田家に
伝来していました。
現在は1図ごとに切断され、掛軸になっています。
源氏物語の「須磨」で、光源氏が浜辺で禊をしていると大嵐となり、主従は館に逃げ帰ります。
降りつける雨、ゆらぐ木々、そして大きく歪んだ垣根が嵐の凄まじさを表しています。
雅びな風情の源氏絵とはかなり異なる、迫力のある場面です。

「野々宮図」 岩佐又兵衛 
 桃山-江戸時代・17世紀 出光美術館 重要美術品

岩佐0_1

元は福井の豪商、金屋家が福井藩主より下賜され、「金谷屏風」と呼ばれた屏風で、
六曲一双だったものが、明治時代になって別々に剥がされた、そのうちの1枚です。
源氏物語、「賢木」の、光源氏が野々宮に居る六条御息所を訪ねる場面で、
黒木の鳥居の下で童子と共に佇んでいます。
墨絵で描かれた二人は、岩佐又兵衛の特徴の下膨れの顔で、存在感があり、
いわゆる大和絵の穏やかさとは異なる印象です。
衣装の文様も細かく描きこまれ、唇には薄く紅が差してあります。

岩佐又兵衛の源氏絵は通常の源氏絵で定形化された場面と時間をずらせた場面を描いて、
新鮮さを感じさせるのが特徴とのことです。
同じ金谷屏風で、現在は所在不明の「花宴」でも、月を眺める朧月夜の君を光源氏が
見ているという通常の形ではなく、二人が寄り添い抱擁している場面を描いています。
王朝趣味から一歩踏み出した、後の浮世絵にもつながる発想で、岩佐又兵衛を
浮世絵の祖とも呼ぶ由縁です。

「源氏物語図屏風(右隻部分)」 岩佐勝友 江戸時代 出光美術館
岩佐3

「花宴」で、岩佐又兵衛に倣い、朧月夜の君との出逢いの場面を二人が
抱擁する形で描いています。
岩佐勝友は岩佐又兵衛の弟子で、又兵衛の画風はその工房や弟子たちに
受け継がれています。

(参考)
「源氏物語図屏風(右隻部分)」 伝 土佐光吉 桃山時代 出光美術館
源005

土佐光吉(1539-1613)の描いた「花宴」の中の二人の出会いの場面です。
この展覧会では、土佐光吉作で京都国立博物館所蔵の重要文化財、
「源氏物語画帖」も展示されていますが、「花宴」の場面はこれと同じです。

「源氏物語総角図屏風」 伝岩佐又兵衛 江戸時代・17世紀 細見美術館
岩佐1

源氏物語、「総角」の、匂宮たちが宇治川で舟遊びを催し、その模様を宇治に隠れ住む
姫君たちが見ているところです。
岩佐又兵衛は一つの画面に物語の一場面を描くことが多く、観る人をその物語に
集中させる効果を狙っているということです。

「源氏物語図屏風」 伝岩佐又兵衛 江戸時代 大和文華館
岩佐2

工房では一つの画面にいろいろの場面を並べる形式の屏風も制作しています。

右上 「若紫」
岩佐1_2

光源氏が初めて若紫を垣根越しに見る、垣間見の場面です。

中下 「絵合」
岩佐0_2

冷泉帝の御前で光源氏と権中納言が絵合わせの勝負をしているところです。

展示室には岩佐勝友の源氏物語図屏風の各場面を使って、源氏物語のあらすじを解説した、
大きなパネルも置かれていて、作品鑑賞の助けになります。

「伊勢物語 くたかけ図」 岩佐又兵衛 
 江戸時代・17世紀 出光美術館 重要美術品

源001

陸奥の女の許に通った男が朝早く帰るので、女がそれを鶏のせいだと
思っている場面です。
男が見上げる屋根の上では、鶏が勝ち誇ったように鬨の声を上げています。
情景は細い線でていねいに描かれ、男の直衣も品の良い色合いです。
薄く刷いた墨の色が夜明け前の暗さを示し、柳に風も吹いて、物語より叙情的な
雰囲気になっています。

「職人尽絵(部分)」 岩佐又兵衛 江戸時代・17世紀 出光美術館
岩佐1_1

あっさりと軽妙で、達者な筆遣いです。
布袋は袋の上で童子を遊ばせ、大黒は踊っています。
恵比寿の抱える特大の鯛は面白い顔をしています。
祭壇を設けて祈る陰陽師や弓を弾いて口寄せをする梓巫女も描かれています。


岩佐又兵衛が漢画や大和絵など、さまざまな画風を身に付け、自由に使いこなして、
自己の画風を築いていることが良く分かります。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、開館50周年記念、「古唐津-大いなるやきものの時代」展です。
会期は2月11日(土・祝)から3月26日(日)までです。

古唐津1-9-2017_001

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