「春日大社 千年の至宝」展 東京国立博物館
上野
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上野の東京国立博物館平成館では特別展、「春日大社 千年の至宝」が開かれています。
会期は3月12日(日)までです。

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2月12日(日)までの前期と2月14日(火)からの後期の他にも細かい展示替えがありますので、
博物館のHPでご確認ください。


奈良の春日大社は藤原氏の氏神を祀る社として長く栄え、春日の地は聖地として
崇められてきました。
展覧会では、社殿の建て替え、修繕を約20年に1度行う式年造替が2016年に
行なわれたのを機に、春日大社に伝来する神宝や名品などが展示されています。


第1章 神鹿の杜

春日大社の歴史についての資料や、神鹿を表した美術品の展示です。

「鹿島立神影図」 南北朝~室町時代・14~15世紀 春日大社
春日1

通期の展示です。
武甕槌命(たけみかづちのみこと)が紳鹿に乗り、常陸の鹿島を出て、大和の春日に
降り立った姿です。
春日山には月が昇っています。
武甕槌命は元々、鹿島の神で、藤原氏の祖の中臣氏もこの地方の出自とされています。
平城京の造営とともに、藤原氏がこの神を春日の御蓋山(みかさやま)に
勧請したことが春日大社の始まりです。
後小松天皇(1377-1433)の奉納と伝えられています。

「春日神鹿御正体」 南北朝時代・14世紀 
 京都・細見美術館 重要文化財

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通期の展示です。
鹿は春日大社の神鹿として崇められます。
鞍には神の依り代の榊と円鏡を付け、円鏡には神仏習合思想による
春日神の5体の本地仏が線彫りされています。

「鹿図屏風」 江戸時代・17世紀 春日大社
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通期の展示です。
貞享2年(1685)に奈良の住人が興福寺に奉納した品です。


第2章 平安の正倉院

春日神の調度品として奉納された神宝の展示です。

「若宮御料古神宝類 平胡簶」 平安時代・12世紀 春日大社 国宝
神006

2月12日(日)までの展示です。
春日若宮の神は長保5年(1003)に出現したとされ、保延元年(1135)に
別社に祀られています。
春日若宮おん祭は1136年に始まるお祭りで、現在まで一度も途切れずに
続いています。

平胡簶(ひらやなぐい)は矢を帯びるための武具で、下の部分に箱が付いて、
矢尻を差し込みます。
紫檀地に銀板をはめ、螺鈿の装飾を施しています。
大治6年(1131)の銘があり、藤原頼長(1120-1156)の奉納によるものです。

藤原頼長は辣腕政治家で、左大臣であったことから悪左府と呼ばれましたが、
保元の乱を起こして敗れ、首に矢を受けて亡くなっています。

「金地螺鈿毛抜形太刀」 平安時代・12世紀 春日大社 国宝
春日2_1

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2月19日(日)までの展示です。
毛抜形太刀は柄の透彫りの形が毛抜きに似ていることからこの名のある、古式な太刀です。
金具は金無垢で精巧な細工が施され、、鞘には竹林の中の猫と雀を螺鈿で表した、見事な造りです。
藤原頼長の奉納と伝えられ、猫の意匠は猫好きだった頼長の嗜好を映しているのかもしれません。

2月14日(火)からは2003年に制作された、復元模造の太刀が展示されます。
復元模造の太刀は平安時代の太刀に替わって神宝として奉納されるため、
以後は人の目に触れることは無いそうです。


第3章 春日信仰をめぐる美的世界

神仏習合した春日への信仰を表す品々の展示です。

「春日宮曼荼羅」 鎌倉時代 13世紀 奈良・南市町自治会蔵 重要文化財
春日002

2月12日(日)までの展示です。
春日宮曼荼羅は平安時代の12世紀後半から京都の藤原氏が春日社への参詣の
代わりに自邸に掛ける礼拝画として描かれるようになります。
幾何学的な図像の曼荼羅とは異なり、自然の風景を取り入れた優美な画像です。

この曼荼羅は西から東に向かう参詣路に沿って下から上がっていく構図です。
後の「春日宮曼荼羅」もこの形式で描き続けられます。

一の鳥居を過ぎると左手に東御塔、西御塔があります。
神社には珍しい五重の塔で、高さは約50mあったそうです。
西御塔は永久4(1116)年、藤原忠実の発願、東御塔は保延6(1140)年、
鳥羽上皇の発願で建立されています。

二の鳥居を過ぎた左手に回廊に囲まれた本殿があります。
回廊の中の社殿の配置は現在もほとんど同じです。

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春日神である以下の四柱を祀る四棟並んだ小社が本殿です。

第一殿 武甕槌命(たけみかづちのみこと)
第二殿 経津主命(ふつぬしのみこと)
第三殿 天児屋根命(あめのこやねのみこと)
第四殿 比売神(ひめがみ)

本殿の向こう側に御蓋山、さらに春日山が見えます。
左端は若草山です。
春日山には月が昇っています。

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遣唐使の阿倍仲麻呂が帰国を前に詠んだとされる歌はこの月のことを詠っています。

  天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも

仏像は神仏習合思想による春日神の本地仏を描いたものです。
左から十一面観音菩薩(比売神)、地蔵菩薩(天児屋根命)、薬師如来(経津主命)、
釈迦如来(武甕槌命)です。

右は天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)を祀る若宮神社と、本地仏の
文殊菩薩です。

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2011年に根津美術館ではこの春日宮曼荼羅などを展示した、「春日の風景
-麗しき聖地のイメージ-」展が開かれていました。

「春日の風景-麗しき聖地のイメージ-」展の記事です。

「文殊菩薩騎獅像および侍者立像」 康円作 
 鎌倉時代・文永10年(1273) 東京国立博物館 重要文化財

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通期の展示です。
2013年に展示されていた時の写真です。
獅子に乗った文殊菩薩に4人の侍者が従う渡海文殊を表しています。
春日大社の祭神のうち、若宮は文殊菩薩と同体とされていて、この像は興福寺勧学院の本尊でした。
康円は運慶の孫で、奈良仏師の慶派に属しています。

「春日権現験記絵(春日本) 巻1」 江戸時代・文化4年(1807) 春日大社
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西園寺公衡(1264-1315)が一門の繁栄を願って制作された、藤原氏の氏神である春日神の
霊験を表した絵巻で、多くの摸本も描かれています。
春日本は松平定信の命による制作です。
橘氏の女に春日神が乗り移り、本殿の前の中門で自らを慈悲万行菩薩と
名乗る場面です。

会期中は春日権現験記絵の原本も展示されます。


第4章 神々に捧げる武具

春日大社は公家ばかりでなく、武家の崇敬も集め、甲冑や太刀など、
多くの武具が奉納されています。

「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」 鎌倉時代・13世紀 春日大社 国宝
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2月19日(日)までの展示です。
堂々とした大鎧で、精巧な金具には梅、鶯、蝶が彫られています。
兜には獅子噛みの鍬形が付けられています。

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「赤糸威大鎧(竹虎雀飾)」 鎌倉~南北朝時代・13~14世紀 春日大社 国宝
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2月14日(火)からの展示です。
赤い威糸が際立ち、大袖にも竹と虎の細工が貼られた、極めて華麗な大鎧で、
実用を超えた工芸作品となっています。

2月14日(火)から2月19日(日)までの期間は国宝の大鎧と胴丸の4領が勢揃いします。

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第5章 神々に捧げる芸能

春日若宮おん祭をはじめとする祭礼で奉納される、舞楽や能で使われる作品などの展示です。
観世、宝生など現在の能楽諸座はすべて、春日大社や興福寺に奉仕する大和猿楽に始まっています。


第6章 春日大社の式年造替

約20年に1度行われる式年造替は2016年が60回目とのことです。

造替に関する資料や絵馬、本殿の前に置かれていた獅子・狛犬などの展示です。

会場の最後の記念撮影コーナーには春日灯篭が吊るされていました。

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この展覧会は平安の正倉院とも呼ばれた春日大社の宝物の数々を目にすることの出来る
とても貴重な機会です。

展覧会のHPです。

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【2017/01/28 18:50】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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