「ティツィアーノとヴェネツィア派展」 東京都美術館
上野
chariot

上野の東京都美術館では日伊国交樹立150周年記念、「ティツィアーノとヴェネツィア派展」が
開かれています。
会期は4月2日(日)までです。

ティツィアーノ0


ルネサンス時代、海上貿易で栄えたヴェネツィアの、ティツィアーノを中心とした
油彩・テンペラ画約50点、版画約20点を展示する展覧会です。
ティツィアーノの作品は5点、展示されています。

「聖母子(フリッツォーニの聖母)」 ジョヴァンニ・ベッリーニ 
 1470年頃 ヴェネツィア、コッレ―ル美術館

ヴ006

テンペラ画で、やや固めの、くっきりとした描線を使って明快に描かれています。
色彩は透明で、青と赤にまとめられていて、ルネサンスの明晰さを感じる作品です。
手すりの向こうに人物を置く構図はベッリーニが広めたそうです。
ジョヴァンニ・ベッリーニ(1430頃-1516)は初期のヴェネツィア派の代表的な画家です。

「フローラ」 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
 1515年頃 フィレンツェ、ウフィツィ美術館

ティツィアーノ3

バラ、スミレ、ジャスミンを手にした春の女神です。
右手に指輪をしていることから、結婚や花嫁の寓意ではないかということです。
ティツィアーノ(1488/1490頃-1576)の初期の作品で、きっちりとした
麗な描き方をしていて、つややかな肌が際立ちます。

「ダナエ」 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 
 1544-46年頃 ナポリ、カポディモンテ美術館

ティツィアーノ2

ギリシャ神話のお話で、美しいダナエに近づくため、ゼウスが黄金の雨となって
降り注いでいます。
雨は金貨の形で表され、ダナエとエロス(キューピッド)がそれを見上げています。
同じ構図の作品は4点残っていて、ヴァザーリの「芸術家列伝」によれば、
ミケランジェロはティツィアーノに会い、現在プラド美術館所蔵の作品を見ています。
その時は称賛したものの、後でヴァザーリに、ティツィアーノの色彩は優れているが、
デッサンと画面構成に難があると批評しています。
ティツィアーノは色彩に優れた画家として有名ですが、本当にデッサンに問題が
あるのでしょうか。

「教皇パウルス3世の肖像」 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
 1543年 ナポリ、カポディモンテ美術館

ティツィアーノ1

パウルス3世(1468-1549)はプロテスタント問題で苦労し、またイングランドの
ヘンリー8世を破門した教皇です。
ミケランジェロにシスティーナ礼拝堂の「最後の審判」を描かせてもいます。
老齢の権力者の持つ、生々しさも描き出しています。
ティツィアーノは優れた肖像画家でもあり、神聖ローマ皇帝カール5世の
肖像画でも有名です。

「マグダラのマリア」 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
 1567年 ナポリ、カポディモンテ美術館

カポ6-26-2010_005

晩年の作品で、初期には無い、劇的な雰囲気を持っています。
福音書では、マグダラのマリアは香油の壷を持ってイエスの墓を訪れ、
中にイエスの遺体の無いことを発見した女性として書かれています。
その後、カトリックでは福音書に出てくる他のマリアや女性たちと
マグダラのマリアを同一人物としています。
そのため、絵画では、罪深い女で、涙を流して改悛し、イエスに高価な
香油を塗って髪で拭った女として描かれています。
この絵でもマリアは、長い巻き毛、涙、香油壷、瞑想や改悛を表す頭蓋骨や
本と一緒に描かれるという賑やかさです。
衣装の縞柄は被差別者を表しているとのことです。
ティツィアーノは巻き毛で体をおおっただけの、裸体のマグダラのマリアも
描いていますが、プロテスタントに対する対抗宗教改革の規範にあわせ、
この作品では衣装を着せているそうです。

「レダと白鳥」 ヤコポ・ティントレット 1551-55年頃 フィレンツェ、ウフィツィ美術館
ティツィアーノ5

ギリシャ神話の、ゼウスが美しいレダを誘惑しようと、白鳥に身を変えて近づいたという
お話を題材にしています。
ゼウスは思いを遂げるため、黄金の雨になったり白鳥になったり、なかなか忙しい神です。
思い切った斜めの構図で勢いがあり、後のバロック絵画を思わせます。
同じルネサンスでも、ベッリーニの頃とはかなり違ってきています。
ヤコポ・ティントレット(1518-94)はティツィアーノの弟子で、ほとんどヴェネツィアを
出ることもなく、ルネサンス後期の
ヴェネツィアを代表する画家となっています。

「聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼者聖ヨハネ」 パオロ・ヴェロネーゼ 
 1562-65年 フィレンツェ、ウフィツィ美術館

ティツィアーノ4

聖バルバラは3世紀に小アジアのニコメディアで殉教したとされる女性で、
棕櫚はバルバラの持ち物の一つです。
衣装やバルバラの髪は金色に輝き、全体の色調も統一され、気品に満ちた
作品になっています。
パオロ・ヴェロネーゼ(1528-88)は色遣いが抜群で、ティントレットと共に
ルネサンス後期のヴェネツィアを代表する画家です。

他にも当時のヴェネツィア派の多くの画家の作品も展示されていて、興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。

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【2017/02/07 20:05】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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