「コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス展」 サントリー美術館
六本木・乃木坂
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六本木のサントリー美術館では、「コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス展」が
開かれています。
会期は3月12日(日)までで、休館日は火曜日です。

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美術賞の野依利之氏の寄贈によるヨーロッパの陶磁器と、陶芸家の故辻清明氏(1927-2008)の
寄贈による古代から近代にかけてのガラス器のコレクションの展示で、約230点が展示されています。
作品は撮影可能です。

野依コレクションは錫釉を掛けた、ファイアンス焼と呼ばれるヨーロッパ陶器です。

マヨルカはスペイン領の島で、スペインからイタリアに陶器を輸出する時の中継地だったので、
イタリアに陶器の製造技術が渡り、各地で生産されるようになってもマヨリカ焼と呼ばれています。
錫釉を掛け、その上に絵付けをしてから窯で焼く技法です。

「染付帆船図大皿」 スペイン 17世紀
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大航海時代の帆船が帆を上げて進んでいますが、風の向きが逆のようです。

「ファルネーゼ家紋章皿」 イタリア 16世紀
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ファルネーゼ家はローマ教皇や枢機卿を輩出した名門で、紋章は6つの
フルール・ド・リス(アヤメ)です。

「色絵人物文壺」 イタリア 17世紀
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いかにも地中海的な図柄で、モザイクのようです。

「色絵アモル図大皿」 イタリア 17世紀
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ローマ神話のアモル(キューピッド)です。

「染付人物図ケンディ」 オランダ 17世紀
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ケンディは、サンスクリット語のクンディカに由来し、東南アジアで使われる水瓶の
形を模しています。

オランダ東インド会社は中国景徳鎮の磁器や日本の有田焼をヨーロッパにもたらし、
デルフトなどのヨーロッパ陶器もその影響を受けます。

「染付芙蓉手人物図大皿」 オランダまたはドイツ 17世紀
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円周を8つに分割する、芙蓉手(ふようで)といわれる中国のデザインです。

「色絵花鳥文皿」 オランダ 18世紀
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中国風の図柄で、太湖石のような物も描かれています。

「色絵草花鳥獣文大皿」 オランダ 18世紀
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柿右衛門様式に倣っています。

「染付魚形皿」 オランダ 18世紀
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魚の周りを青海波模様にして、海を表しています。

「染付神話図花器」 オランダ 17~18世紀
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西洋の図柄で、ギリシャ神話の、羽根の生えた帽子を被ったヘルメスと
羊飼いが描かれています。

「色絵風景図壺・花瓶」 オランダ 18~19世紀
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カップボードに並べるため、3個か5個のセットになっている装飾用の陶器です。

「猫置物」 オランダ 18世紀
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まゆ毛のある、可愛い猫です。

「馬置物」 オランダ 18世紀
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たてがみに花飾りを付けた鞍置き馬が足掻いています。

「色絵グロテスク文鉢」 イギリス 19世紀以降
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西インド諸島から砂糖が流入してくると、18世紀に特にイギリスでは集まりの席で、
大きなボウルに入れた甘いパンチを飲むようになったそうです。
また、ティーパーティーで、カップに残った冷えた紅茶や滓を捨てるための
スロップボウルも使われています。
砂糖も紅茶も海上交易によって大量にヨーロッパに運ばれた産物です。

エミール・ガレの陶器も4点、展示されています。

フランスのナンシーで活躍したエミール・ガレ(1846-1904)も錫釉を掛けた
ファイアンス焼による陶器を制作しています。

植木鉢 「水景」 エミール・ガレ 1878年以降
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アール・ヌーヴォーの形で、上品な色合いをしています。

鉢 「草花」 エミール・ガレ 1881-84年頃
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透かしを入れて竹籠を表しています。

花器 「フランス菊」 エミール・ガレ 1881-85年頃
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ロレーヌを象徴するロレーヌ十字(横木が2本の十字架)とナンシーの紋章の
アザミをあしらっています。
1870年の普仏戦争にはガレも従軍していますが、フランスの敗北により、
ガレの故郷のアルザス・ロレーヌの一部はドイツに割譲されています。


以下は辻氏のガラスコレクションです。

「コアガラス・アラバストロン」 イタリアあるいは東地中海沿岸地域 
 紀元前4世紀中期~前3世紀初期

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コアガラスは粘土で作った核(コア)に溶けたガラスを巻き付けて成形する
古代の技法で、縞模様を出すことが出来ます。
古代ローマの品で、アラバストロンは香油などを入れる容器です。

「リブ装飾碗」 東地中海沿岸地域 紀元前1~後1世紀
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縦スジ(リブ)の入った碗です。

「三耳瓶」 東地中海沿岸地域 1~4世紀か
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溶けたガラスに息を吹き込んで成形する、吹きガラスの技法を使っています。

「カットガラス碗」 イラン 3~7世紀
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ペルシャ産のカットガラスで、正倉院所蔵の白瑠璃碗も、安閑天皇陵出土とされる碗も
同じ形をしています。

「黄色鳳凰文瓶」 一対 中国・清 乾隆時代 18世紀
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磁器を思わせる器で、黄色は皇帝のみが使う色です。

「紋章文オぺークツイストステムゴブレット」
 ガラス:イギリス エングレーヴィング:ドイツ・ザクセン州ドレスデン 1760年

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表面にエングレーヴィングが施され、ステム(脚)にオペーク(不透明)の白い線が
渦巻き状に入っています。
ドレスデンはガラス産業も盛んです。

「ガラス片 90片」 東地中海沿岸地域 紀元前14世紀~後14世紀
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古代から中世にかけてのさまざまのガラス片で、「夢の宝箱」と名付けられています。

日本のガラスもあります。

「切子籠目霰文三段重」 日本 江戸後期~明治初期 19世紀
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切子は日本のカットグラスで、江戸切子と薩摩切子が有名です。

「薩摩切子菊文皿」 5枚 日本 江戸後期~明治初期 19世紀後半
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薩摩切子は薩摩藩の藩営工房で制作されたカットグラスです。

大正から昭和初期にかけての、かき氷やアイスクリームを入れるコップです。

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辻氏自身の作品も展示されています。

「龍頭型杯」 辻清明 1991年
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古代のリュトンをかたどっています。

左、中 「蕪鉢」 辻清明 1991年
右 「百合鉢」 辻清明 1993年

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柔らかな造形です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「絵巻マニア列伝」展です。
会期は3月29日(水)から5月14日(日)までです。

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【2017/02/04 19:24】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんばんは。
  • サントリーウイスキー博物館ならローマングラスがあるかもしれません。
    入れていたのはウイスキーでなく、ワインでしょうか。

    【2017/02/05 22:59】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • ローマンガラス、何処ぞで見ました。たしか白秋だったかなぁ。ふと思い出しましたです。白秋と言えばサントリーの醸造所がありますし、何か関係があるんでしょうかね。

    【2017/02/05 19:25】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















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