「日本画の教科書 東京編-大観、春草から土牛、魁夷へ-」 山種美術館
恵比寿
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山種美術館では、開館50周年記念特別展、「日本画の教科書 東京編
-大観、春草から土牛、魁夷へ-」が開かれています。
会期は4月16日(日)までです。

教科書0


山種美術館の所蔵する、東京画壇の日本画家の作品の展示です。

小堀鞆音 「那須宗隆射扇図」 1890年
教科書2

平家物語の一節の那須与一が屋島の戦いで扇を射落す場面です。
波の形は様式的ですが、平家物語の記述を参考にした戦装束の与一の姿は
濃い色彩で写実的に描かれています。
小堀鞆音(1864~1931)は安田靫彦の師で、歴史画を得意としています。

荒木十畝 「四季花鳥」のうち「春(華陰鳥語)」 1917年
教科書4

白木蓮や椿の下でハッカンのつがいが歩んでいます。
荒木十畝(1872~1944)は長崎県出身で、荒木寛畝に弟子入りし、養子になっています。
山種美術館は大作の「四季花鳥」四幅などを所蔵しています。

下村観山 「老松白藤」 1921年
りん006

六曲一双屏風で、金地に大きく枝を伸ばした松とそれに絡みつく藤を
装飾的に描かれています。
松と藤はよく描かれる題材で、夫婦和合を表しています。
熊蜂も一匹、小さく描かれています。

菱田春草 「月四題」のうち「秋」 1909-10年頃
教科書3

1911年に36歳で亡くなった春草の、最晩年の作品です。
葡萄の葉は琳派のたらし込みの技法を用いています。

松岡映丘 「春光春衣」(部分) 1917年
金銀006

松岡映丘は大和絵の復興を目指し、古画や有職故実を研究して作品を描いています。
切箔や金砂子を散りばめ、華麗な王朝絵巻を再現しています。

小林古径 「清姫」 8枚連作のうち「入相桜」 1930年 
院004

紀州の安珍清姫伝説を絵巻物風に8枚続きの絵に仕立てたものです。
鐘の中で焼き殺された安珍と、日高川に身を投げた清姫の亡骸は共に比翼塚に葬られ、
桜が植えられ、入相桜と呼ばれます。
悲恋の物語は最後に満開の桜によって優しく慰められています。
小林古径はこの作品を気に入っていて、一生手元に置いておくつもりだったのを、
山種美術館の設立のお祝いに寄贈したとのことです。

鏑木清方 「伽羅」 1936年
香002

沈香炉という、髪に香りを薫きしめるための枕でうたた寝をした女性が目を
覚ました姿です。
市松模様の帯が粋で、朝顔模様の着物や花菖蒲模様の打掛の色彩に
初夏の雰囲気が表れています。

横山大観 「心神」 1952年 山種美術館
若010 (3)

「心神」には「富士山」の意味もあるということです。
雲海に屹立する富士の孤高の姿に、敗戦後の日本の復興への思いを
込めているのでしょう。

奥村土牛 「鳴門」 1959年
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遠くの島影に黄土色が少し使われている他は、緑青の緑と胡粉の白のみで
構成されています。
塗りを何度も重ね、近景の動と遠景の静が一体となった、量感のある、
重厚な作品です。

伊東深水 「吉野太夫」 1966年
歴003

吉野太夫は江戸初期の京都の廓を代表し、茶道にも秀でていたとされる
太夫とのことです。
立兵庫という、上に伸ばした独特の髪形で、吉野太夫の名に因んで、
満開の桜花を背景に立っています。
桐や扇面散らしの模様で埋め尽くされた打掛や小袖の輪郭線は、リズムを
持って交差しています。
茶入を載せた盆を差し出している禿(かむろ)は、鹿の子絞りに菊を刺繍した
小袖を着ています。

東山魁夷 「年暮る」 1968年
教科書1

親交の深かった川端康成に、京都の風景の残っている今のうちに描くように
奨められ、取り組んだ作品の一つです。
河原町にあるホテルの屋上からの景色とのことで、昔ながらの町家の屋根にも、
遠くのお寺にも雪が積もっています。
手前の家の窓に一つ、明かりが点いていて、いかにも京都の暮れの情景です。

京都の四季を描いた、「春静」「緑潤う」「秋彩」とともに揃って展示されています。

橋本明治 「朝陽桜」 1970(昭和45)年 山種美術館
東山002

1968(昭和43)年に完成した皇居宮殿を飾った作品群に感銘を受けた山種美術館の
初代館長、山﨑種二は同種の作品を各作家に直接依頼しています。
福島県三春の滝桜のスケッチを元にした作品です。
花弁の一枚一枚をくっきりした輪郭線で装飾性豊かに描き出しています。

山口蓬春 「新宮殿杉戸楓4分の1下絵」 1967(昭和42)年 山種美術館
東山001

福島県の国立公園内の楓を題材にしています。
橋本明治の桜と対になって宮殿の杉戸に描かれた作品の下絵です。
山口蓬春は病のため、山崎種二に依頼された作品を完成出来ませんでした。

安田靫彦 「出陣の舞」 1970年
男002

永禄3年(1560)の桶狭間の戦いに先立ち、幸若舞の「敦盛」を舞う信長の姿です。
信長は州浜に千鳥の片身替りの小袖を着て、織田家の家紋の木瓜(もっこう)紋の入った
長袴を履いています。
鎧櫃には桶狭間の戦いで着用したとされる紺糸縅具足が載っています。

人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり
一度生を享け、滅せぬもののあるべきか

前田青邨 「腑分」 1970年
院005

江戸時代の腑分(解剖)の場面です。
腑分をする者を中心に、蘭書を手に見入る者、おそるおそる覗く者、
合掌する者など、さまざまな様子が描かれています。
抑えた色彩によって、静かな興奮を表しています。

守屋多々志 「慶長使節支倉常長」 1981年
男003

列柱のあるテラスからローマの街並を眺める支倉常長です。
はるばるとここまで来た思いであろう常長は、白と黒の市松模様のタイルに
合わせるように、白の小袖に黒の裃というシックな姿で描かれています。
遠くに見えるサン・ピエトロ大聖堂の外観が出来上がったのは1593年です。
支倉常長は元和元年(1615年)に法皇パウルス5世に謁見しています。


山種美術館のHPです。


次回の展覧会は企画展、「花*Flower*華―琳派から現代へ―」です。
会期は4月22日(土)から6月18日(日)までです。

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【2017/04/06 20:14】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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