「茶の湯のうつわ―和漢の世界」展 丸の内 出光美術館
日比谷・有楽町
chariot

丸の内の出光美術館では開館50周年記念、「茶の湯のうつわ―和漢の世界」展が
開かれています。
会期は6月4日(日)までです。

うつわ2-16-2017_005


江戸時代、楽焼や瀬戸、唐津など各地の焼き物、そして唐物といった和漢の世界を融合した
茶の湯の世界の展示です。


第一章 一楽 二萩 三唐津

茶人に愛好された茶陶について、一楽二萩三唐津という言い方があります。

「黒楽茶碗 銘 此花」 道入 江戸時代前期 出光美術館
うつわ6

楽茶碗は11点、展示されています。
樂家三代道入(1599-1656)は「のんこう」とも呼ばれています。
胴を少し絞ってあり、黒釉を掛けずに残した白い生地の部分を梅の花に見立てて、
「此花」と名付けています。
道入の楽茶碗は初代、二代に比べ、肌に艶があります。
加賀木谷藤右衛門、水戸徳川家伝来です。
木谷藤右衛門家は明治時代まで続く、加賀の豪商です。

 難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花

「萩茶碗 銘 雪獅子」 江戸時代前期
うつわ1

口縁下をヘラで削ってあり、荒々しい感じですが、口造り(口の当たる部分)は
とてもていねいに作られているそうです。
釉薬のつくった白い変化を雪に見立てて、この名が付いており、織部風萩焼の
代表例とされています。
紀州徳川家伝来です。

「絵唐津丸十文茶碗」 出光美術館 桃山時代
陶磁3

出光佐三の古唐津コレクションのきっかけとなった品とのことです。
ふっくらとした茶碗で、赤褐色の素地に青味がかった釉が掛かっています。
使いこまれていたらしく、高台は擦れて丸くなっています。

「絵唐津葦文壷」 桃山時代 出光美術館 重要文化財
古唐津3

朝鮮陶磁の特徴である、腰がふくらんだ算盤玉型をしていて、安定感があります。
片面に風に揺れる葦、反対側に唐草文がさらりと描かれていて、このような片面ずつで
絵柄を替える片身替りは桃山時代の流行です。

高取焼の展示もあります。

第二章 京焼―古典へのまなざし、そして前衛的うつわへ

仁清と乾山の展示です。

「銹絵富士山文茶碗」 野々村仁清 江戸時代前期 出光美術館
出光3-13-2010_001

ふっくらした姿でやや三角に歪められ、白釉の上に銹絵で三峰型の様式的な形の
富士山と雲を描いています。
仁清は色絵で有名ですが、それ以前は白釉や錆絵のものを制作しています。
公家の宴では白木の三宝やかわらけの食器を用い、一度使うと捨てていたことから、
食器の嗜好も白い物、清らかな物を好んだことによるものだそうです。

「色絵扇面散文茶碗」 野々村仁清 江戸時代前期 出光美術館
白釉の上に仁清黒と呼ばれる黒釉で上絵付をしています。
大小5つの扇面を描き、金彩も入って華やかです。

「色絵鳳凰文共蓋壺」 野々村仁清 
 江戸時代前期 出光美術館 重要文化財

花鳥004

高さ45.4㎝の大きな壺で、蓋の付いた中国風の形をしています。
菊唐草の地模様の中に窓を4つ作り、それぞれ鳳凰が描かれています。
絵には狩野派との類似性があるそうで、仁清が絵画性を強く認識していたことが分かります。
肩や蓋には牡丹をあしらい、全体に金襴をふんだんに施しています。
丸亀京極家の伝来品です。

「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」 尾形乾山 
 江戸時代中期 出光美術館 重要文化財

仁清006

蒔絵硯箱などの木器を元にしたと思われ、素地の上に金銀や白、染付を使って
松を描いています。
内側は白化粧に金彩と染付で波を描き、砂浜の松林を表す意匠になっています。
銀彩を使うのは乾山では珍しいそうです。


第三章 愛でられる 漢のうつわ―唐物・高麗・安南

中国、朝鮮の陶磁の展示です。

「青磁下蕪花生」 南宋官窯 南宋時代 出光美術館 重要文化財
茶4-6-2010_002

ふっくらとした形の青磁の瓶です。
藤色をした貫入(釉薬のヒビ)が適度にあって、アクセントを付けています。
官窯(宮廷の窯)の製品だけあって、上品な姿です。

「唐物大海茶入 銘 山桜」 南宋時代 福建系 出光美術館
うつわ5

口の大きな茶入で、胴の中央に胴紐が巡って、形を引き締めています。
この形は、大海という、大らかな呼び方をしています。
松浦家伝来です。 

「唐物茶壷 銘 羽衣」 広東系 明時代 出光美術館
茶003

高さ32cmの大きな壷で、大らかな姿をしています。
飴色の釉薬には薄く雲のような黒色が浮かんでいます。
生活雑器だった物ですが輸入され、茶壷として使われました。
堺高石屋道勺、加賀前田家の伝来です。

「祥瑞蜜柑水指」 景徳鎮窯 明時代末期 出光美術館 
茶4-6-2010_003

祥瑞(しょんずい)とは、日本の茶人の好みに応じて、景徳鎮で作られた
磁器のことです。
ミカンのように丸くふくらんだ形には安定感があります。
片面にはオシドリ、牡丹、竹、虫などが描かれていますが、反対側には
丸紋という小さな丸い模様を三段にして並べてあります。
半分ずつ違う絵柄にする片身替りというデザインは中国には無く、
日本のものだそうで、日本からの注文であることを示しています。

「珠光青磁茶碗」 同安窯系 南宋時代 出光美術館 
茶4-6-2010_005

室町時代の茶人、村田珠光がこの系統の器を抹茶茶碗に採用した
ことによる命名です。
青磁といっても、格式の高い青磁ではなく、薄緑色をしています。
浅い作りで、外側には櫛目模様、見込み(内側)にも丸く猫掻き文と呼ばれる
引っ掻き模様が入り、底には緑色の釉薬が溜まっています。
村田珠光はこのようなくだけた物を好んだとのことです。


第四章 懐石、宴のうつわ

鉢や皿など、懐石の席に使われた食器の展示です。

「色絵魚介文鮑形鉢」 明時代末期 景徳鎮窯 出光美術館
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明末の天啓年間に焼かれた天啓赤絵で、型によって成形しています。
長径26.6㎝の大きな鉢で、アワビの形をしていて、エビや赤い魚、水藻が描かれています。


第五章 煎茶の世界

江戸時代中期には日本でも広まった煎茶の茶器です。

「高麗写荒磯文急須」 青木木米 江戸時代後期 出光美術館
うつわ2

煎茶の茶器を多く手掛けた青木木米の作品です。
急須なので、高さ9.4㎝と小振りです。
胴の上部分には雲間から現れた太陽、波間から飛び上がる鮭、下の部分には
霊芝が彫られています。
箱書に「高麗写」とあり、白高麗と呼ばれる白磁を焼いた中国の徳化窯を
意識したと思われます。

「五彩十二ヵ月花卉文杯」 12客のうち  清「大清康煕年製」銘 景徳鎮官窯 出光美術館
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青花(染付)に五彩をあしらって、12ヶ月の花を描いています。
明末から江南地方で流行した、花の神を祀る花朝節にかかわる意匠と考えられます。

右 十月 月季花(コウシンバラ)
左 二月 杏花


特集展示 雲州蔵帳とその美

松平不昧(1751‐1818)は名を治郷(はるさと)と云い、出雲松江藩第7代藩主で、
茶人として知られています。
また、自分の集めた茶器のリストである、「雲州名物帳(雲州蔵帳)」を作成し、
茶道具の名品の格付けを行なっています。

雲州蔵帳は類本が多く、その一つが展示されています。

「奥高麗茶碗 銘 秋夜」 桃山時代
茶4-6-2010_004

奥高麗とは古唐津の一種です。
かなり大振りの堂々とした姿の茶碗で、唐津特有の素朴な味わいがあります。
出雲松平家の伝来です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「水墨の風―長谷川等伯と雪舟」展です。
会期は6月10日(土)から7月17日(月・祝)までです。

水墨4-18-2017_009

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【2017/04/25 20:02】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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