「アルチンボルド展」 上野 国立西洋美術館
上野
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上野の国立西洋美術館では、「アルチンボルド展」が開かれています。
会期は9月24日(日)までです。

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ジュゼッペ・アルチンボルド(1526-1593)はイタリアのミラノ出身の画家で、
ティントレット やヴェロネーゼと同時期の人です。

ウィーンに出て、ハプスブルク家の神聖ローマ皇帝、フェルディナント1世、
マクシミリアン2世、ルドルフ2世の3代に仕えています。
祝祭の企画や衣装のデザインも手掛け、技術者としても活躍したところは
レオナルド・ダ・ヴィンチとも似ています。

特に、野菜や動物、器具などを使って人の顔を描く、いわゆるだまし絵の
作者として知られています。


四季の連作

「春」 1563年 油彩/板 マドリード、王立サン・フェルナンド美術アカデミー美術館
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女性の横顔で、80種類以上の花を使って描かれているそうです。
明るい色彩の華やいだ画面で、いかにも春という感じがします。
植物の描き方はレオナルド・ダ・ヴィンチの「レダと白鳥」にも似ています。

「夏」 1572年 油彩/カンヴァス デンバー美術館
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麦の穂を編んだ服を着た人物は豊かに実った野菜や果物で出来ています。
大航海時代の始まりによって新大陸からもたらされたトウモロコシや、
アジアやアフリカが原産のナスなど、珍しい作物も描かれています。
襟には「ジュゼッペ・アルチンボルド」と織り出されています。

「秋」 1572年 油彩/カンヴァス デンバー美術館
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ブドウや栗、大根、ジャガイモ、カボチャ、キノコなど、秋の作物による人物で、
体はワイン樽の板で出来ています。
ブドウの冠は酒の神、バッカスを思わせます。

「冬」 1563年 油彩/板 ウィーン美術史美術館
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ムシロにはマクシミリアン2世を暗示する「M」の字が織られています。
古代ローマでは冬が1年の始まりとされており、この絵はハプスブルク家による
永遠の統治を象徴しているそうです。


四大元素の連作
空気、火、土、水の四大元素を題材にしています。

「大気」 油彩/カンヴァス スイス、個人蔵
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大気の中を飛ぶ鳥を集めています。
記念撮影が終わったら、一斉に飛び立って行きそうです。

「火」 油彩/カンヴァス スイス、個人蔵
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銃火器や火打金、燃える薪で出来ています。

「大地」 1566年? 油彩/板 リヒテンシュタイン侯爵家コレクション
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陸の動物を集めていて、耳の辺りは象で出来ています。
肩や胸はヘラクレスの被ったライオンの毛皮や羊の毛皮で出来ていて、
羊はハプスブルク家が継承していた金羊毛騎士団を表しています。

「水」 1566年 油彩/板 ウィーン美術史美術館
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魚、亀、貝、エビ、タコなど、水に棲む生き物を集めています。
珊瑚や真珠もあしらわれています。
どれも写実的で、生き生きとした表情で描かれていることには驚きました。

アルチンボルドが手掛けた四季と四大元素の連作はいくつかのヴァージョンがあって、
今回は各地の美術館に所蔵されている作品を集めることで、8点が揃っています。
四季と四大元素の8点は、「春」と「大気」、夏と「火」、「秋」と「大地」、「冬」と「水」という
組み合わせも考えられるそうです。
確かに、春の暖かい風、夏の熱気、秋の実り、冬の冷たい水というのはふさわしい
取り合わせです。

当時の神聖ローマの宮廷では数多くの自然の事物や人工物を集めて、
「知のアーカイヴ」を築いていたということです。
アルチンボルドの作品もこれらの事物によって描いていて、世界を支配する
ハプスブルク家というイメージを作り上げているそうです。
オスマン帝国による第1次ウィーン包囲が1529年で、ハプスブルク家も
東方からの圧力に晒されていた時期ですから、興味深いことです。


「庭師/野菜」 油彩/板 クレモナ市立美術館
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鉢に盛られた野菜ですが、
上下逆にすると、

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人の顔になります。

これだけ面白いことが出来るというのも、確かな描写力があってのことでしょう。
アルチンボルドは晩年、ミラノに戻ってからも描き続けています。
カラヴァッジョ(1571-1610)などミラノ出身の画家は静物画も描いていますが、
アルチンボルドの絵を見て、影響を受けたのではないかとのことです。


この展覧会でアルチンボルドの作品を実際に観て、何と素敵な絵を描く画家だろうと思い、
今までの、変わった絵を描く人、という程度の印象が大きく変わりました。


2014年にBunkamuraザ・ミュージアムで開かれた「だまし絵II 進化するだまし絵」展にも
1566年頃に描かれた「司書」が展示されていました。
実在する歴史学者、ヴォルフガング・ラツィウスをモデルにしているそうです。

「だまし絵II 進化するだまし絵」展に行った時の記事です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」展です。
会期は10月21日(土)から2018年1月28日(日)までです。

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【2017/07/06 19:51】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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blog_name=【dezire_photo & art】 ♥   ハプスブルク歴代皇帝が収集した至宝・アルチンボルドの傑作/ 西欧の3大美術館 
 
ウィーン美術史美術館  ⅠKunsthistorischesMuseum Wien ウィーン美術史美術館は、王宮広場ブルグ門からリンクを挟んで自然史博物館と左右対称に建っています。美術史美術館は、19世紀後半に建てられた装飾的建物で、中央のマリア・テレジア広場にはマリア・テレジア像が立っており、帝の像を4人の騎士が守っています
【2017/07/21 12:18】

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