「水墨の風―長谷川等伯と雪舟」展 丸の内 出光美術館
日比谷・有楽町
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丸の内の出光美術館では「水墨の風―長谷川等伯と雪舟」展が開かれています。
会期は7月17日(月・祝)までです。

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中国に始まり、日本に伝わって発展した水墨画の展示です。

「叭々鳥図」 牧谿 南宋時代 重要文化財
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叭々鳥(ははちょう)はムクドリ科の黒い鳥です。
輪郭線を使わない、没骨(もっこつ)という技法によって描いています。
手早い筆運びですが、鳥の姿を的確に捉えています。
牧谿は南宋から元時代にかけての禅僧の画家で、南中国の湿り気のある大気を
感じさせる作品は特に日本で好まれています。
足利義政のコレクションである東山御物を管理していた能阿弥(1397-1471)の
記録によれば、保有していた中国絵画279幅のうち、103幅が牧谿だったそうです。  

「山市晴嵐図」 玉澗 南宋末~元初期 重要文化財
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部分
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大きな空間の中に、山中の人家、行く人、小橋などが簡略に描かれています。
無駄の無い、観ていて心地の良い作品です。
玉澗(ぎょくかん)は南宋末期から元初期の禅僧の画家で、簡潔で勢いのある
筆遣いを特徴にしていて、日本の水墨画に大きな影響を与えています。
東山御物の「瀟湘八景図巻」の中の一つで、他に「遠浦帰帆」(徳川美術館蔵)、
「洞庭秋月」(個人蔵)が現存しています。

「破墨山水図」 画・雪舟 賛・景徐周麟 室町時代
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玉澗の簡潔な筆遣いに倣って、岩塊や川を行く小舟が描かれています。
明に渡航した雪舟は宋・元時代の水墨画に傾倒したようです。

「四季花鳥図屏風(右隻)」 六曲一双 伝 雪舟 室町時代
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近景はくっきりとした描線で彩色もされ、右隻には梅や牡丹、蓮などが描かれています
縦107㎝の丈の低い屏風で、梅の木は横に這うように伸びています。

「四季花鳥図屏風(右隻)」 四曲一双 能阿弥 応仁3年(1469) 重要文化財
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部分
長005

牧谿に傾倒していた能阿弥が牧谿風に描いた水墨花鳥図です。
白鷺の飛ぶ靄のかかったような空間や蓮の表現に潤いがあります。
能阿弥は水墨画家でもあり、牧谿の作品を観ることの出来る立場にもありました。
浄土真宗佛光寺の経豪が寺務を引き継いだ時のお祝いに描かれたもので、
現存最古の水墨花鳥図とされています。

「松に鴉・柳に白鷺図屏風」 六曲一双長谷川等伯 桃山時代 
左隻
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右隻 
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部分
長007

右隻に松に巣を作る鴉、左隻に雪の積もった柳と白鷺で、黒と白、春と冬の対比です。
花鳥画で黒い鳥を描くときは叭々鳥を使うのが普通で、鴉は珍しい
とのことです。
元々、日本に叭々鳥はおらず、等伯もそれを認識していて、日本の風土に合わせて
鴉を題材にしたようです。
鴉は親鳥と雛の家族のように描かれていて、とても優しい顔をしています。

巣の下にタンポポがあり、生命の生まれる春の情景です。
花鳥画では季節の草花を何種類も描くことが多いのに対して、等伯はタンポポ一つだけで
かえって春を強く意識させているそうです。

「猿曳・酔舞図屏風(左隻 部分)」 六曲一双 狩野尚信 江戸時代
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右隻は、庭での酒宴で、大甕から酒を汲む者、笛太鼓を鳴らす者、踊る者と、
大いに盛り上がっています。
酔った老人は抱えられて左に向かうロバに乗せられています。

左隻は、薪を担いだロバが右から現れ、道で猿回しが芸を見せているところです。
面白そうに見ている男たち、少し眉をひそめた微妙な表情の女、その陰に隠れて
見ている子供などがそれを囲んでいます。
さらりとした軽妙な筆で描かれていて、文人画に似た趣きがあり、
好ましい描きぶりです。

一緒に展示されている陶磁器は、黒の水墨画に合わせて藍の染付でした。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「祈りのかたち―仏教美術入門」展です。
会期は7月25日(火)から9月3日(日)までです。

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【2017/07/04 20:56】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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