「ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」展 Bunkamuraザ・ミュージアム
渋谷
chariot

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは、「ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、
ヤン・ファーブルまで」展が開かれています。
会期は9月24日(日)までです。

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ベルギーと周辺地域では、空想の世界を絵画などに作品化した人たちが多く現れています。
展覧会では15世紀から現代まで、代表的な作家たちの作品を展示しています。


第1章 15-17世紀のフランドル美術

「トゥヌグダルスの幻視」 ヒエロニムス・ボス工房
 1490-1500年頃 油彩・板 ラサロ・ガルディアーノ財団

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放蕩な騎士トゥヌグダルスが天使に連れられて、夢で地獄と天国を巡ったという逸話を描いていて、
左下でトゥヌグダルスが天使に付き添われて夢想しています。
七つの大罪の描かれた地獄の情景で、巨大な怪物の鼻からコインが落ちてくる桶に修道士と
修道女が漬かっていていて、「貪欲」を表しています。
右上の寝ている人物を化け物が囲んでいるのは「怠惰」で、左上の鏡を見せられている女性は
「傲慢」です。
地獄図なのですが、「百鬼夜行図」に似て、どこか可笑しみがあります。

「大食」 ピーテル・ブリューゲル(父)[原画]、ピーテル・ファン・デル・ヘイデン[彫版]
 1558年 エングレーヴィング・紙 神奈川県立近代美術館

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ボスのモチーフを継承していて、人や化け物が飲めや歌えの大騒ぎをしています。


第2章 19世紀末から20世紀初頭のベルギー象徴派・表現主義

「娼婦政治家」 フェリシアン・ロップス[原画]、アルベール・ベルトラン [彫版]
 1896年 多色刷銅版画・紙 フェリシアン・ロップス美術館

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ルネッサンス絵画のような雰囲気ですが、娼婦と思われる女性が豚を連れて闊歩し、
その下では、彫刻・音楽・詩・絵画の寓意が嘆いています。
フェリシアン・ロップス(1833-1898)はナミュールの出身の画家、版画家で、
ボードレールやマラルメなど、文学者と交流し、象徴主義の作品を描いています。

「レテ河の水を飲むダンテ」 ジャン・デルヴィル
 1919年 油彩・キャンヴァス 姫路市立美術館

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ダンテの「神曲」で、ダンテがマテルダに誘われて、過去の悪行を忘却させるという
レテ河の水を飲む場面です。
大きな作品で、画面は明るく輝いています。
ジャン・デルヴィル(1867-1953)はルーヴェン出身の象徴主義の画家です。

「オルガンに向かうアンソール」 ジェームズ・アンソール
 1933年 油彩、キャンヴァス メナード美術館

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晩年に描かれた自室での自画像で、壁には代表作、「キリストのブリュッセル入城」
(1888年)が掛かっています。
ジェームズ・アンソール(1860-1949)はオステンド生まれで、仮面や骸骨を描いた
おどろおどろしい作品で有名です。

2012年に損保ジャパン東郷青児美術館で開かれた、「ジェームズ・アンソール
―写実と幻想の系譜―」展の記事
です。

他にフェルナン・クノップフの作品も展示されています。


第3章 20世紀のシュルレアリスムから現代まで

「水のニンフ」(セイレン)」 ポール・デルヴオー
  1937年 油彩・キャンヴァス 姫路市立美術館

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ポール・デルヴオー(1897-1994)はリエージュ州出身のシュルレアリスムの画家で、
ギリシャ神殿のような建物などを背景にした女性像をよく描いています。
自分の好きな世界を好みのままに描いているといった風です。

「大家族」 ルネ・マグリット 1963年 油彩・キャンヴァス 宇都宮美術館
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ルネ・マグリット(1898-1967)はレシーヌ出身のシュルレアリスムを代表する画家です。
視ていると、幻の空間が鳥の羽根のように大きく広がります。

2015年に国立新美術館で開かれた、「マグリット展」の記事です。

「フランダースの戦士(絶望の戦士)」 ヤン・ファーブル
 1996年 昆虫、甲冑、金網、木材  国立国際美術館 撮影:福永一夫

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甲虫を貼った、鼻と耳の長い異様な動物が胸甲を着けています。
法隆寺の「玉虫の厨子」に似た技法ですが、どこか死の影を感じる造形です。
フランダース(フランドル)地方は16世紀にハプスブルク家からの独立戦争が起き、
戦乱が続いています。
ヤン・ファーブル(1958~)はアントウェルペン出身で、「昆虫記」で有名なファーブルの
曽孫にあたります。
曽祖父の存在の影響もあって、甲虫根をびっしり並べたオブジェなどを制作しています。

「ティンパニー」 レオ・コーペルス 2006~2010年 ミクストメディア 作家蔵
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黄金の筆を咥えた骸骨がティンパニーの上にぶら下がっています。
ビデオを見ると、この骸骨は吊り下げている紐と一緒に上下して、頭蓋骨が
ティンパニーをガチャガチャと連打します。
死してなお騒がしい芸術家といった感じで、ボスの世界につながっています。

フランドル、ベルギーは小さな地域ですが、ブリューゲル、ボス、アンソール、デルヴォー、
マグリットなど、よくこれだけ特異な作風の作家を生み出したものだと思います。
小国のため、独立戦争、第1次・第2次世界大戦など、何度も戦争による惨禍を
こうむったからなのでしょうか。

2010年に東京オペラシティ・アートギャラリーで開かれた、「アントワープ王立美術館
コレクション展 アンソールからマグリットへ ベルギー近代美術の殿堂」の記事
です。

展覧会のHPです。

次回の展覧会は「オットー・ネーベル展」です。
会期は10月7日(土)から12月17日(日)までです。

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