「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション」 東京都美術館
上野
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上野の東京都美術館では特別展、「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、
珠玉のコレクション」が開かれています。
会期は10月9日(月・祝)までです。

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ボストン美術館のコレクションの生成に寄与した人たちの功績も併せて紹介されています。


1章 古代エジプト美術

ハーバード大学とボストン美術館の共同調査により得られた美術品など、約10点の展示です。


2章 中国美術

約9000点の中国美術のコレクションの中から北宋、南宋の絵画6点の展示です。

徽宗 「五色鸚鵡図巻」(部分)  絹本着色 北宋、12世紀初期
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描かれているのはアンズの花の枝に留まっているズグロゴシキインコとのことです。
添えられた書は痩金体という、徽宗の作り出した、細くて硬い書体によっています。
徽宗(1082-1135)は北宋の第8代皇帝で、書画にすぐれた才能を発揮しており、
「猫図」や「桃鳩図」で有名です。
しかし政治的には問題が多く、北方の女真族(後の満洲族)の建てた金に攻撃されて
捕らえられ、異郷で亡くなっています。

陳容 「九龍図巻」(部分)  紙本墨画淡彩 南宋、1244年(淳祐4年)
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10m近い絵巻に九匹の龍が水墨で勢いよく描かれています。
陳容は南宋末期の画家で、特に龍の絵の名手とされ、この作品も清の乾隆帝の
旧蔵とのことです。

中国絵画では他に馬遠、夏珪なども展示されています。

3章 日本美術

英一蝶 「涅槃図」 紙本着色 江戸時代、1713(正徳3)年
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縦290cm近い見事な大作で、公開を前に本格的な解体修理がされています。

旅の途中で病を得た釈迦は沙羅双樹の下で涅槃に入ります。
諸菩薩、天部や釈迦十大弟子、動物たちは周りで嘆き悲しみます。
釈迦十大弟子の一人、阿那律の知らせを受けた、釈迦の母、摩耶夫人が
天から駆け付けています。
空には釈迦入滅の日とされる陰暦2月15日の満月がかかっています。

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左下で倒れ込んでいる、色白の人物は釈迦十大弟子の一人で美男といわれた阿難です。
右端でご飯を捧げているのは釈迦に最後の食事を差し上げたとされる純陀です。

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白象はひっくり返って泣き叫び、日本猿の親子や手長猿も来ています。
迦陵頻伽(かりょうびんが)は孔雀と並んでいます。
カタツムリやカニ、トンボ、セミなども集まっています。
涅槃図にはあまり描かれることのない猫もちゃんと描き込まれています。
動物の家族や親子が多いのは、亡き父の菩提を弔うという発注者の意図を
汲んでのことと思われるそうです。

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英一蝶の作品は「月次風俗図屏風」も展示されています。

曾我蕭白 「風仙図屏風」 江戸時代、1764年(宝暦14年/明和元年)頃
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仙人の陳楠が池の龍を天に昇らせ、雨を降らせて旱魃を救ったという逸話を
描いたものではないかとされています。
龍を表す黒い渦が迫力いっぱいで、沸き起こる風に従者が吹き飛ばされています。

4章 フランス絵画

フィンセント・ファン・ゴッホ 「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」 1888年
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ジョゼフ・ルーランは駅の郵便物係で、アルルに移ったゴッホの作品のモデルになっています。
アルル時代のゴッホをあれこれ世話した、好人物だったようです。
ルーランを描いた作品は6点残っていて、この絵は最初の作品と思われます。
まっすぐこちらを見ている赤ら顔、立派な顎髭、大きな手を綿密に描いていていて、
紺色の制服に金ボタンが映えています。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「子守唄、ゆりかごを揺らす
オーギュスティーヌ・ルーラン夫人」 1889年

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ゆりかごの紐を持ったルーラン夫人の、同じ構図の作品が5点残っています。
壁紙の花模様が華やかで、壁紙とスカートの緑色が合っています。


クロード・モネ 「アンティーブ、午後の効果」 1888年
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アンティーブは南仏のカンヌとニースの間にあり、要塞跡が残っています。
高い塔の中の部屋を後にピカソがアトリエに使っていたことがあり、
今はピカソ美術館になっています。
ジヴェルニー時代の作品で、モネはアンティーブにしばらく滞在し、30点ほどを
制作しています。
晴れ晴れとした海の景色で、要塞やアルプス山脈の雪が日の光に輝いています。
モネはアンティーブで描いた絵を画商のテオドルス・ファン・ゴッホ(フィンセントの弟)に
売っています。

アンティーブはポール・シニャックも描いています。

参考
ポール・シニャック 「アンティーブ、夕暮れ」 1914年 ストラスブール美術館蔵
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クロード・モネ 「睡蓮」 1905年
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晩年の睡蓮の連作で、水面に映る影に関心を持っています。

ポール・セザンヌ 「卓上の果物と水差し」 1890–94年頃
皿に積んだ果物やテーブルに転がったレモンには量感があります。
水差しは他の静物画にもよく描かれています。


5章 アメリカ絵画

トマス・エイキンズ 「クイナ猟への出発」 1874年
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水平線で画面を上下2分割して、青い空と海、浅瀬の茶色を描き分け、風に傾く小舟と
バランスを取ろうとする人物を緻密に描いています。
トマス・エイキンズ(1844-1916)は写実主義の画家で、アメリカ近代絵画の代表者の
一人とされています。
印象派をアメリカに紹介した画家、メアリー・カサットとは同年生まれです。

ジョン・シンガー・サージェント 「フィスク・ウォレン夫人
(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル」 1903年

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ボストンの富豪の家族をモデルにしていて、豪華な調度の前の二人は後ろに置かれた
聖母子像と形を合わせるように顔を寄せています。
明るく輝くドレスは、ベラスケスに倣ってか、やや簡略に描かれ、表情の描写を
強調しています。
ウォレン夫人はお気に入りの緑のベルベットのドレスを選んでいましたが、サージェントは
説得してピンクのサテンのドレスに替えてもらったということです。
ジョン・シンガー・サージェント(1856-1925)は肖像画に優れた画家で、パリのエコール・
デ・ボザールに学び、パリ、後にロンドンで活躍しています。
モネとも親交を持っていましたが、作品は古典的な技法に拠っています。

ジョージア・オキーフ 「グレーの上のカラ・リリー」 1928年
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大きく一輪の百合を描いていますが、極度に単純化され、抽象画に近くなっています。
ジョージア・オキーフ(1887-1986)は女流画家で、画面いっぱいに拡大して描かれた
花や動物の頭の骨の絵で有名です。

6章 版画・写真

ウィンスロー・ホーマーやエドワード・ホッパーのエッチング、チャールズ・シーラー、
アンセル・ホーマーの写真の展示です。
アンセル・ホーマー(1902-1984)はア、メリカの自然や第二次大戦中の日系人収容所を
撮影した写真家として有名です。


7章 現代美術

アンディ・ウォーホル、デイヴィッド・ホックニー、サム・テイラー=ジョンソン、村上隆、
ケヒンデ・ワイリーの作品が展示されています

デイヴィッド・ホックニーの「ギャロービー・ヒル」(1998年)は、野性的な色彩と極端に
単純化された平面的な画面が印象的です。

展覧会のHPです。


次回の特別展は「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」です。
会期は10月24日(火)から2018年1月8日(月・祝)までです。

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【2017/09/16 13:36】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんばんは。
  • ゴッホはともかく色彩と筆触が強烈で、見る方も体力を要します。
    もしゴッホ展があったら、見終わる頃にはヘトヘトになるかもしれません。
    その点、モネやサージェントは安心して見ていられます。

    【2017/09/17 19:46】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 日本人はゴッホがお好き
  •  ほんと、日本人はゴッホが好きですねぇ。わたしですか?わたしはあんまり・・・。この中ではモネとサージェントが好きですかね。写実的なだけど、写真ぽくないのが好きです。

    【2017/09/17 17:41】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















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