「佳人礼讃-うるわしの姿を描く-」 ホテルオークラ東京アスコットホール
六本木一丁目・神谷町
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虎ノ門のホテルオークラ東京アスコットホールでは、第23回 秘蔵の名品 アートコレクション展、
「佳人礼讃-うるわしの姿を描く-」が開かれています。
会期は9月1日(日)までで、期間中は無休です。
展覧会の純益は日本赤十字社等を通じて、社会貢献のために寄付されます。

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今回は女性を描いた作品の展示です。

(洋画)

ギョーム・セニャック 「ミューズ」 19世紀末 泉屋博古館分館
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ミューズ(ギリシャ名ムーサの英語名)は文芸を司る女神たちのことです。
板と筆を持っているので、叙事詩の神、カリオペーでしょうか。
ギョーム・セニャック(1870-1924)は新古典主義の画家で、ブグローに師事しています。
住友家15代当主、友純(春翠)の支援を受け、フランスに留学していた鹿子木孟郎
(かのこぎたけしろう:1874-1941)が春翠より絵画の収集を依頼され、購入した作品の一つです。

ノエ・ボルディニョン 「軽い訪問」 北野美術館
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滅多と観られない作品とのことです。

ジョン・エヴァレット・ミレイ 「聖テレジアの少女時代」 1893年 松岡美術館
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ジョン・エヴァレット・ミレイはラファエル前派の画家で、「ハムレット」を
題材にした、「オフィーリア」の作者として有名です。
後には肖像画家として人気を得ています。
聖テレジアは16世紀のスペインの聖女で、ベルニーニの彫刻、
「聖テレジアの法悦」は彼女の体験を基にしています。
弟の手を引いたテレジアは憂い顔で、何か物語を暗示しています。
遠くの城壁に日が当たり、手前は日陰で光もやわらかくなっています。
二人の豪華な衣装も見せ所です。
ラファエル前派はこの絵のように、よく知られた題材から少し外した題材を
描くことがあるそうです。

エコール・ド・パリの画家たちの作品も揃っています。

モイーズ・キスリング 「スペインの女」1925年
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白く硬質な肌合いで、こちらを見る目に力があります。
背後の丸い形の重なりにリズムを感じます。

モイーズ・キスリング 「水玉の服の少女」 1934年頃
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淡い藤色の影を付けて、少女を浮き上がらせています。
水玉の服は平面的に描かれ、観る人の意識は愁いを帯びた表情の顔に集まります。

マルク・シャガール 「捧げ物」1970年頃
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晩年の作品で、シャガールの好きなバイオリン弾き、鳥、ロバなどが揃っています。

アメデオ・モディリアーニ 「婦人像」
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モディリアーニ独特の卵形の顔をしていて、目には表情がありません。
エコール・ド・パリの画家たちと交流のあったジャン・コクトーが1951年に短い回顧録を
出した時に、巻頭のカラー図版にこの絵を使ったそうです。

藤田嗣治 「二人の子供と鳥籠」 油彩・カンヴァス 1918年 松岡美術館
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1913年にパリに渡った藤田は最初は絵が売れず、苦労しています。
やがて藤田らしい画風が表れて、ようやく絵が売れ出した頃の作品です。
当時の藤田の作品は、自身の気持ちが表れているのか、不安で寂しげな
雰囲気をしています。

矢崎千代二 「教鵡」 1900年 東京藝術大学
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和服の女性がオウムに言葉を教えているところで、オウムはオウム返しをしています。
左からの柔らかな光を上手く表しています。
第5回白馬会展に出品され、好評を得た作品で、1904年のセントルイス万国博覧会にも
出展されました。
矢崎千代二(1872-1947)は横須賀市出身で、黒田清輝に師事し、東京美術学校に
学んでいます。
日本のパステル画の開祖とされ、世界各地を放浪して描き続け、終戦の翌々年に
北京で亡くなっています。

小鳥を見上げる和服の女性という構図では、鏑木清方の「朗羅」(1933年)を思い出します。
鏑木清方もこの作品を見ていたのでしょうか。

岡田三郎助 「支那絹の前」 1920年 高島屋史料館
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着物を好んで描いた岡田三郎助による夫人像です。
艶のある質感を油彩画ならではの技法で描き出しています。
着物は紅縮緬地松竹梅に匂袋小袖で、背景の裂とともに高島屋史料館が
保存しているそうです。

東郷青児 「巴里の女」 1922年
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東郷青児は1921年からフランスに留学し、リヨン美術学校に学びますが、
1923年の関東大震災で仕送りが途絶えたため、パリに居付いて、
若い芸術家たちの集まるモンパルナスで暮らすようになります。
この絵にはセザンヌやモンパルナスに集うエコール・ド・パリの画家たちの
影響が感じられます。
こちらをまっすぐ見つめた顔はやや憂いを含んでいます。

東郷青児 「ナース像」 1974年
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戦時の救護服を着た看護婦の姿で、モデルは日本赤十字社の看護学生です。
背景は異国の山河を象徴しているのでしょう。
日赤の依頼で描かれた作品で、東郷青児スタイルで描かれていますが、実際の
スカート丈はもっと長かったそうです。
日本赤十字社もこの展覧会の後援団体である縁での展示です。

(日本画)

上村松園 「三美人之図」 1908(明治41)年 光ミュージアム
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松園30歳代の作品で、浮世絵風の図柄です。
手前の女性が一番若く、結綿という若い女性の髪型をして、
孔雀模様の豪華な帯をしています。
奥の女性は眉を剃った、松園のよく描いた引眉にしています。
蛇の目傘の丸の連続が面白い形を作っています。

「円窓」 上村松園 1943(昭和18)年頃
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髪を立兵庫に結い、鹿の子絞りの小袖姿の遊女が立て膝で座っています。
円窓の障子には花を付けた梅の枝の影が映っています。
春の気配の中の遊女は目を伏せて何やら物思いの風情です。
立兵庫という目立つ髪形を見せながら、上村松園らしく品の良い、静かな雰囲気に
包まれています。

上村松園 「うつろふ春」 霊友会妙一コレクション
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脇息にもたれ、散る花を眺めて行く春を惜しんでいます。
絞り染めの打掛に、輪違模様の小袖、髪は勝山髷でしょうか。

鏑木清方 「さじき」 1945(昭和20)年頃
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西の松園、東の清方と呼ばれた、鏑木清方の作品です。
桟敷で芝居見物をする親子です。
後ろには枇杷やサクランボが置かれた初夏の情景で、母親の帯は紫陽花、
娘の紙入れは杜若をあしらっています。
それに対して、着物の柄は母親は桔梗に撫子、娘は色付き始めた楓と、
秋を感じさせる演出です。
全体に緑色を効かせていて、母親のかんざしは翡翠、指輪はエメラルドでしょうか。
娘の口は少し開いていて、母親との表情にわずかな違いを見せています。
昭和20年だと終戦の年で、枇杷やサクランボなど簡単に手に入らなかった頃ですが、
思い出の中の情景でしょう。

鏑木清方 「七夕」 6曲1双 1929(昭和4)年 大倉集古館
左隻
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七夕の竹飾り、瓜、徳利、香炉、桔梗、女郎花と共に五色の糸巻き、琴、筆と柏葉の
模様の着物がお供えされています。
着物の柄はは梶や柏の葉に字を書いて供える風習を表しています。
裁縫、音楽、書道の上達を願う行事です。
左上に金銀の砂子で描かれた天の川を見上げる女性の着物は秋草の裾模様です。

右隻
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水葵と朝顔の模様の着物姿の洗い髪の女性が縁台に腰掛け、白い芙蓉を
眺めています。
網に笹の裾模様の着物の女性は、かがんで針に糸を通しながら水鏡に映る
織姫と彦星を視ているところです。

伊東深水 「楽屋」 明治座
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鏑木清方の弟子だった伊東深水の作品です。
島田髷に蝶の模様の着物、亀甲花菱の帯の女性が舞台の出を控えて、
姿見の前で口紅を差しています。
2011年発行の110円切手の図案にも使われています。
伊東深水の描く女性には厚み、豊かさがあります。

日本画では他に、鏑木清方の「雨月物語」の絵巻物(霊友会妙一コレクション)や
大阪の女流画家、島成園の「お客様」も印象に残りました。

キリンビールのポスターも何点か展示されています。

多田北鳥 ポスター「キリンビール」(明治屋) 1926年
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返杯のグラスを洗っているところです。
新橋の売れっ子芸者だった、まり千代がモデルで、背景は新築された
横浜工場とのことです。
多田北鳥は日本の近代広告デザインの草分けとされています。


エコール・ド・パリの画家の作品や美人画など、さまざまなうるわしい姿の揃った展覧会です。

展覧会のHPです。

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【2017/08/08 21:21】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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