「江戸の琳派芸術」展 出光美術館
日比谷・有楽町
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丸の内の出光美術館では「江戸の琳派芸術」展が開かれています。
会期は11月5日(日)までです。

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17世紀に京都で興った琳派は19世紀に江戸にも移り、酒井抱一と弟子の
鈴木其一によって洗練されていきます。
展覧会では出光美術館の所蔵する江戸琳派の作品を中心に、約40点が
展示されています。

「風神雷神図屏風」 酒井抱一 二曲一双
琳派001

琳派002

俵屋宗達の「風神雷神図屏風」を尾形光琳が模写し、さらにそれを酒井抱一が
模写したものです。
琳派の継承の流れを伝える作品ですが、宗達に比べ抱一の風神雷神は顔が
かなり優しくなっています。

酒井抱一(1761-1828)は姫路藩主酒井家の次男で、尾形光琳(1658-1716)の
画風を受け継ぎ、江戸の洒脱な気風を取り入れた江戸琳派の祖となっています。

「八ツ橋図屏風」(左隻) 酒井抱一 六曲一双
琳派004

尾形光琳の「八橋図屏風」を写したものですが、葉によって色の濃さを変えて
表裏を表し、燕子花の数も光琳の130輪に対し、80輪に減らし、てすっきりと
まとめられています。
地は紙ではなく絹地に金箔を貼り、さらに金泥を刷いてあるそうです。

「紅白梅図屏風」 酒井抱一 六曲一双
右隻(部分)
琳派007

左隻(部分)
琳派006

月夜を思わせる銀地の右隻にふくぶくとした紅梅、左隻に清雅な白梅を
配しています。
たらし込みを使った枝は伸びやかです。
元は金地屏風の裏側で、屏風を折りたたんだ時に裏の面同士の
当たる場所に紅梅の顔料が付着した跡が付いているのが分かります。
酒井抱一は金地屏風の裏に使われる銀地の画面を好んでいたようです。

「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」 酒井抱一 六曲一双
右隻
琳派008

左隻
琳派009

月次花鳥図の型に拠りながら、昆虫や小鳥、外来種の向日葵なども
取り入れて、現実感のある季節を描き出しています。
琳派012 琳派011 琳派010

右: 紫陽花に蜻蛉です。
中: 向日葵を描くと絵の重心が高くなります。
左: 柿の木に目白が目白押しに並んでいます。

十二ヵ月花鳥図は文政6年(1823)の年記のある、三の丸尚蔵館所蔵の作品を始め
7組ありますが、抱一の工房、雨華庵(うげあん)の画家たちの参加があると
思われるそうです。

「燕子花図屏風」 酒井抱一 享和元年(1801年) 二曲一隻
琳派017

余白を大きく取った無地の画面に、水墨と群青の燕子花が弧を描くように
並べられています。
燕子花の色は濃淡があり、淡い水墨の葉にはたらし込みが使われています。
枯れた葉もあり、蜻蛉も一匹とまっているのが見えます。
繊細で叙情的な、俳味も感じられる風景です。

「糸桜・萩図」 酒井抱一 
琳派021

10月15日までの展示です。
糸桜の枝が奇抜な形に曲がっています。
短冊と色紙には酒井抱一自作の句が自筆で書かれています。

糸桜  そめやすき 人のこゝろや 糸さくら
萩   白萩や 有明残る 臼の跡


鈴木其一(1796-1858)は酒井抱一の弟子で、酒井抱一の洗練された洒脱な画風を
更に進めて、抱一の抒情性に対し、明快で理知的な作品を描いています。
酒井抱一の代筆もしていたようで、抱一作とされながら、其一の画風のはっきり表れた
屏風も展示されています。

「桜・楓図屏風」 鈴木其一 六曲一隻
琳派025

琳派026

楓は紅葉でなく青葉を描き、桜花の白と対比を見せています。
くっきりとした明快な図柄と強い色彩が鈴木其一の特徴です。

「四季花木図屏風」 鈴木其一 六曲一双
右隻
琳派027

左隻
琳派028

右隻(部分)
琳004

右隻には白牡丹を囲むように紅白梅、蒲公英、菫、燕子花が
描かれています。
左隻に描かれているのは楓、白菊、桔梗、水仙、薮柑子です。

「三十六歌仙図」 鈴木其一
琳005

尾形光琳の描いた図柄を元にしていて、其一が抱一を越えて、光琳への関心が
高かったことを示しています。
掛軸ですが、表装の扇面流しや錦の模様も一緒に描く、描表装(かきびょうそう)
という手法を用いています。
軸も螺鈿を使っていて豪華です。

描かれているのは35人で1人足りないのは高貴な身分の斎宮女御(徽子女王)を
御簾によって暗示しているためとのことです。
右側の矢を背負った武官の装いの美男子は在原業平でしょう。
琳006

「秋草図屏風」 鈴木其一 ニ曲一隻
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江戸img199 (3)


銀地に萩、薄、葛、撫子、女郎花、藤袴、朝顔が描かれ、万葉集の山上憶良の歌、
2首が添えられています。

秋の七草は山上憶良の歌に拠っています。

江戸img199 (2)

秋の野に 咲きたる花を指(および)折り かき数ふれば七種(ななくさ)の花

萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなへし) また藤袴 朝貌の花

「蔬菜群虫図」 鈴木其一 
江戸img199 (4)

江戸img199 (1)

胡瓜、茄子、蛇苺と雀、赤蜻蛉、糸蜻蛉、虻、蛇の目蝶が描かれています。
胡瓜と茄子の実は真っ直ぐに垂れ下がり、抒情性のある抱一に比べ、
デザイン性の強い其一の特徴が出ています。


江戸琳派の粋を味わえ、同じ江戸琳派の中でも、酒井抱一と鈴木其一の
画風の違いも分かる、面白い展覧会です。

展覧会のHPです。

次回の展覧会は、「書の流儀Ⅱ―美の継承と創意」展です。
会期は11月11日(土)〜12月17日(日)です。

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【2017/10/14 19:50】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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