「運慶」展 東京国立博物館
上野
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上野の東京国立博物館平成館では、興福寺中金堂再建記念特別展、「運慶」が
開かれています。
会期は11月26日(日)までです。

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平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した仏師、運慶(生年不詳―1223)を
特集した展覧会です。
運慶と縁の深い興福寺の中金堂の再建を記念しての開催で、31体とも言われる、
運慶の造った仏像のうち、22体が展示されています。

「大日如来坐像」 運慶作 平安時代・安元2年(1176) 奈良・円成寺 国宝
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会場の最初に展示されています。
円成寺は奈良市にある真言宗の寺院です。
台座内墨書に父の康慶とともに運慶の名と花押があり、運慶の最初期の作と
考えられます。
張りのある体で、頬は膨らみ、凛としたお姿です。
目には玉眼(水晶などを嵌め込んだ目)が入り、金箔の剥がれた地の漆の色が
かえって荘厳さを増しています。
康慶や運慶は興福寺を拠点に活動した奈良仏師のグループに属しています。

「運慶願経(法華経巻第八)」 平安時代・寿永2年(1183) 国宝
治承4年(1180)に平重衡の南都焼討によって東大寺、興福寺の主要伽藍が
焼亡しています。
これを悲しんだ運慶が願主となって制作された法華経で、軸木に焼け落ちた
東大寺大仏殿の木を用い、墨を磨る水は比叡山、園城寺、清水寺から取り寄せています。
結縁者の中には快慶の名も見えます。

「毘沙門天立像」 運慶作 
 鎌倉時代・文治2年(1186) 静岡・願成就院 国宝

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像内に納められた札から北条時政の発願で運慶が制作したことが分かります。
堂々とした姿ですが、顔には誇張が少なく、写実的です。
願成就院は真言宗の寺院で、北条氏の氏寺でした。
運慶の力強く写実的な作風は鎌倉武士たちに好まれていました。

「大日如来坐像」 鎌倉時代・12~13世紀 栃木・光得寺 重要文化財
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光得寺は足利市にある臨済宗の寺院です。
運慶作の可能性の高い像で、足利氏2代の足利義兼の発願とされ、獅子の座に乗り、
造像時からの厨子に入っています。
像内には人の歯が入っており、これは願主の足利義兼の歯かもしれません。

「聖観音菩薩立像」 運慶・湛慶作 
 鎌倉時代・正治3年(1201)頃 愛知・瀧山寺 重要文化財

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瀧山寺(たきさんじ)は岡崎市にある天台宗の寺院です。
鎌倉時代の僧・寛伝が母方の従兄弟の源頼朝追善供養のため、運慶・湛慶父子に造らせ、
像内に頼朝の鬢(耳ぎわの毛)と歯を納めたとされています。
左手に蓮華を持ち、右手でその花弁を開こうとしていて、像の口の辺りには人の歯が
入っているそうです。
彩色は後世に為されたものです。

「八大童子立像」 運慶作 6軀 
 鎌倉時代・建久8年(1197)頃 和歌山・金剛峯寺 国宝

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八大童子は不動明王に仕える童子です。
8体のうち、運慶作の6体の展示です。
どの童子も玉眼が輝き、活き活きとした表情です。

制多迦童子
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「無著菩薩立像」 運慶作 鎌倉時代・建暦2年(1212)頃 奈良・興福寺 国宝
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世親菩薩立像とともに展示されています。
無著・世親は現パキスタンのペシャワール出身の大乗仏教の僧で、唯識思想を広めた
とされています。
2mほどの大きな像で、写実的な顔立ちは実際にその人がそこにたたずんでいるように
見えます。
頭は現代人に比べかなり前後に長い長頭型です。


運慶の子の湛慶、康弁など、運慶のグループ(慶派)の作品も展示されています。

「重源上人坐像」 奈良・東大寺 鎌倉時代 東大寺 国宝
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10月7日からの展示です。
東大寺は平重衡の南都焼討で焼亡し、俊乗房重源(1121-1206)が責任者となって
再建されています。
60歳になって大事業に着手し、大仏と大仏殿の再建も成し遂げた重源の晩年の姿で、
口をへの字に結んだ、いかにも意思の強そうな顔をしています。
座って数珠を持つ姿勢は智拳印を結ぶ大日如来と似ていて、仏像制作と同じ要領で
造られていることが分かります。

「十二神将立像のうち 辰神・巳神・未神・申神・戌神」 
 京都・浄瑠璃寺伝来 鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館 重要文化財

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手前:戌神 奥:辰神
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巳神
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画像は2012年に同じ東京国立博物館で開かれた、「館蔵仏像名品選」の時のものです。
京都の浄瑠璃寺にあったと伝えられる像で、運慶の系統の作と思われます。
それぞれの像はその干支の動物を頭に戴いていて、巳神では蛇がとぐろを巻いています。
今回は、静嘉堂文庫の所蔵する子神・丑神・寅神・卯神・午神・酉神・亥神と合わせ、
12体すべてが揃って、展示されています。

「子犬」 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺 重要文化財
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ころころとして愛らしい子犬です。
高山寺の明恵上人は動物を愛し、湛慶作とされるこの像も明恵が側に置いていたと
伝えられています。
湛慶(1173-1256)は運慶の長男で、慶派の中心の仏師となっていますが、
明恵と交流があったそうです。
仏師というより彫刻家の作品のようです。

「天燈鬼立像」「龍燈鬼立像」 
 康弁作(龍燈鬼) 鎌倉時代・建保3年(1215) 奈良・興福寺 国宝

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像高約78㎝、邪鬼が灯篭を掲げているユーモラスな像です。
龍燈鬼の顔は俵屋宗達の風神雷神図に似ていて、体に巻き付けた龍も玉眼を
光らせています。
龍燈鬼の像内に入っていた紙から、この像が康弁作とが分かります。
康弁は運慶の三男ですが、康弁作と分かっている作品はこの1点のみです。


大変評判の展覧会で、私は2日目の朝の開館と同時に行きましたが、すでにかなりの
来館者で混雑していました。
早めの時期に行かれることをお勧めします。

展覧会のHPです。


次回の特別展は、「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」です。
会期は2018年1月16日(火)から3月11日(日)までです。

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【2017/09/28 20:09】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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