「怖い絵展」 上野の森美術館
上野
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上野の森美術館では、「怖い絵展」が開かれています。
会期は12月17日(日)までです。

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作家・ドイツ文学者の中野京子氏が2007年に出版した「怖い絵」の刊行10周年を記念して、
人間の「恐怖」に焦点を当てた展覧会です。

「オデュッセウスに杯を差し出すキルケー」 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 
 1891年 オールダム美術館

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ホメーロス作の「オデュッセイア」では、魔女キルケーの住む島に辿り着いた
オデュッセウスの一行はキルケーから与えられた食物を食べ、薬草を持っていた
オデュッセウス以外は豚に変えられてしまいます。
部下を人間に戻してもらったオデュッセウスは島を出る時、海の怪物セイレーンの
いる海では絶対にその歌を聴いてはならないと忠告を受けます。
この絵でキルケーは右手に杯を持ち、左手で魔法の杖を掲げていて、
床には豚が転がり、鏡にはオデュッセウスの姿が映っています。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(1849-1917)はイギリスの画家で、
神話や文学の世界を題材にしています。

「オデュッセウスとセイレーン」 ハーバード・ジェイムズ・ドレイパー 
 1909年 リーズ美術館

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オデュッセウスは航海の途中、キルケーの忠告を受けたももの、セイレーンの
美しい歌声を聴きたいと思い、乗組員に蜜蝋で耳栓をさせ、自分は耳栓をせず、
体を帆柱に縛り付けます。
セイレーンは上半身は女性、下半身は魚または鳥で、その歌声で航海中の
人を惑わし、難破させて喰い殺したとされ、サイレンの語源となっています。
帆は風を孕み、乗組員は平然と櫓をこぎ続けますが、船によじ登ってくる
セイレーンたちの歌声に半狂乱になっています。
海の怖ろしさをも感じさせる作品です。
ハーバード・ジェイムズ・ドレイパー(1863-1920)はイギリスの画家で、
古典的な主題の絵を描いています。

「ドルバダーン城」 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 
 1800年 ロンドン、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ

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ドルバダーン城はウエールズ北西部にある城で、13世紀にウエールズの王族内の
争いで兄弟に敗れたオウエン(オワイン)が幽閉されていたともされています。
ターナー(1775-1851)の初期の、ロマン主義的な作品で、荒涼とした風景の中で
円塔が日の光に浮かび上がっています。

「レディ・ジェーン・グレイの処刑」 ポール・ドラローシュ 
 1833年  ロンドン、ナショナル・ギャラリー

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ポール・ドラローシュ(1797-1856)はフランスの画家で、歴史画を得意としています。
横3mの大作で、ロマン主義風な劇的な場面構成ですが、描写は写実的で、
アングルを思わせます。
ジェーン・グレイ(1537-1554)は政治的な陰謀に巻き込まれ、エドワード6世の後に
16歳でイングランド王に即位しますが、わずか9日で廃位され、メアリー1世の命により、
ロンドン塔で斬首されています。
ジェーン・グレイは実際には屋外のタワーグリーンで処刑されていますが、作品では
劇的効果を高めるため、舞台を暗い屋内にして、純白のドレスのジェーン・グレイを
際立たせています。

この作品は1834年にパリのサロンで公開され、ロシア貴族が購入し、その後
イギリス人が購入し、1902年にナショナルギャラリーの所蔵となります。
ところが、1928年のテームズ川の洪水の混乱で、所在が不明になりますが、
1973年に再発見されて公開され、大評判となったということです。
死刑執行人の斧もすり減っていますが、公開した展示場の床もすり減って
しまったそうです。

版画では、フランシスコ・デ・ゴヤ、オーブリー・ビアズリー、エドヴァルド・ムンク、
オディロン・ルドン、ウィリアム・ホガース、マックス・クリンガーなどの作品もあります。


普段とは変わった視点による展覧会で、かなりの評判です。
私は初日の午後に行きましたが、待ち時間が40分という、怖いことになっていました。

展覧会のHPです。

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【2017/10/10 19:25】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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