「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」 東京都美術館
上野
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上野の東京都美術館では特別展、「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」が開かれています。
会期は2018年1月8日(月・祝)までです。

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浮世絵や日本に高い関心を寄せていたフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)の作品が
展示され、そのゴッホにあこがれ、終焉の地のオーヴェル=シュル=オワーズを訪れた
日本人たちについも紹介されています。


「花魁(溪斎英泉による)」 1887年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
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1886年の「パリ・イリュストレ」誌の表紙を飾った溪斎英泉の浮世絵を基に描かれています。
背景は別の浮世絵から借りていて、この頃には浮世絵に強い興味を持っていたことが
分かりますが、赤、黄、青、緑と色彩は強く、ゴッホになっています。

溪斎英泉 「雲龍打掛の花魁」 
 1820~30年代 (文政後期~天保前期) 及川茂コレクション

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溪斎英泉(1791-1848)は武士の子で、美人画を得意としています。
「パリ・イリュストレ」誌の表紙では絵が左右反転していて、ゴッホもそれを写しています。

『「カフェ・ル・タンブラン」のアゴスティーナ・セガトーリ』 1887年 
 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

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パリ時代の作品で、モデルはゴッホの出入りしていたカフェのマダム、
アゴスティーナ・セガトーリです。
お店の名前の由来になった、タンバリンのようなテーブルに肘を置き、
煙草を手にしています。
パリの画塾で知り合ったロートレックに絵具の薄塗りを勧められて描いたそうで、
ゴッホにしてはさらりとしています。
テーブルと、変わった形の帽子の赤が印象的で、背景に浮世絵も見えます。
ゴッホはこの店で浮世絵展を開いたこともあるそうです。

「種まく人」 1888年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
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木を画面の手前に大きく描くという、はっきりと浮世絵の影響の分かる作品で、
歌川広重に倣っています。
ミレーの「種まく人」のテーマへの関心はゴッホの初期の頃から続いています。
沈む太陽と、これから芽生える種という、生命の連環を表現しているとのことです。

歌川広重  「名所江戸百景/ 亀戸梅屋舗」 1857(安政4)年 中右コレクション
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「夾竹桃と本のある静物」 1888年 
 ヘンリー&ローズ・パールマン財団 (プリンストン大学美術館長期貸与)

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花も葉も花瓶から広がり、夾竹桃の生命力を感じさせる作品です。
ゴッホ特有のある種の息苦しさもあります。

「寝室」 1888年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
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ゴッホの代表作で、自身がアルル時代の最良の作品と認めているとのことです。
「ここでは色彩がすべて」と、手紙にも書いているそうです。
きっぱりと明るい色遣いで、まったく影も無く、特にベッドの黄色が目を惹きます。
水色と黄色など、大胆な色の対比はゴッホの魅力です。
実際の部屋は台形で、右側の壁の方が長く、窓のある壁は斜めになっていたそうです。
建物は第2次世界大戦中の1944年にローヌ川にかかる橋を連合軍が爆撃した時に
損壊したということで、現存していません。

「タラスコンの乗合馬車」 1888年 
 ヘンリー&ローズ・パールマン財団 (プリンストン大学美術館長期貸与)

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タラスコンはアルルの北にある、ローヌ川沿いの町です。
南仏の明るい日の光を意識して白が強調され、影まで描かれています。

「ポプラ林の中の二人」 1890年 シンシナティ美術館(メアリー・E・.ジョンストン遺贈)
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亡くなる少し前に、終焉の地、オーヴェル=シュル=オワーズで描かれた作品です。
木々が一列に並んで奥行きがあり、二人の男女は林に溶け込むように
たたずんでいます。
真ん中に木の幹を据えるという思い切った構図ですが、これも浮世絵の影響が
感じられます。


ゴッホの死後、多くの日本人がゴッホに惹かれ、オーヴェル=シュル=オワーズを
訪れています。
ゴッホと交流があり、ゴッホの最期を看取った医師、ポール・ガシェ(1828-1909)の
遺族を訪ねた日本人の芳名録によって、ゴッホへの傾倒の強さが分かります。

佐伯祐三(1898-1928)や前田寛治(1896-1930)という、ゴッホと同じ早世の画家や、
日本画家の結城素明(1875-1957)の名前が見え、同じく日本画家の橋本関雪
(1883-1945年)が訪れた際のフィルムも上映されています。
日本でのゴッホ研究者として知られる、精神科医の式場隆三郎(1898-1965)に
ついての資料も展示されています。

前田寛治 「ゴッホの墓」 1923(大正12)年 個人蔵
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オーヴェル=シュル=オワーズのゴッホ兄弟の墓を訪れた前田寛治は
赤い花弁を摘んで、この絵に塗り込めたそうです。

佐伯祐三 「オーヴェールの教会」 1924(大正13)年 鳥取県立博物館
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ゴッホが描いたのと同じ教会を描いています。
最初にフランスに渡り、オーヴェル=シュル=オワーズに住むヴラマンクを
訪ねた頃の作品で、ヴラマンク風の荒々しさが見えます。
ヴラマンク自身、ゴッホの強い影響を受けた画家です。


ゴッホは浮世絵とわずかな文献などによって、現実とは異なる理想境としての
日本を思い描いていました。
日本では白樺派によってゴッホが紹介され、理想化され、憧れの対象となっています。
双方に共通して思い入れの強さのあるのは、なかなか興味深いところです。

展覧会のHPです。


次回の特別展は「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」です。
会期は2018年1月23日(火)から4月1日(日)までです。


上野広小路の証券会社のパンダもハロウィーンで盛り上がっています。

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