「皇室の彩(いろどり)  百年前の文化プロジェクト」 東京藝術大学大学美術館
上野
chariot

上野の東京藝術大学大学美術館では東京藝術大学創立130周年記念特別展、
「皇室の彩(いろどり) 百年前の文化プロジェクト」が開かれています。
会期は11月26日(日)までです。

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今から約100年前、大正から昭和初期にかけて、皇太子(昭和天皇)御成婚など、
皇室の慶事に献上された美術工芸品が展示されています。
ほとんどが宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵です。

「御飾棚 鳳凰菊文様蒔絵」 昭和3年(1928) 蒔絵、螺鈿
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部分
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皇太子(昭和天皇)御成婚を祝して文武官一同により献上された一対の飾棚で、
高蒔絵によって昭和天皇には鳳凰、香淳皇后には鶴の文様があしらわれ、
鳳凰の蒔絵は縁を角立て、鶴は丸みを持たせて、雰囲気を変えてあるそうです。

島田佳矣(しまだよしなり)東京美術学校図案科教授の指揮の下で制作され、
棚に置かれる陶磁器や金属工芸などの品々を加えると、全体で135人が参加しています。
置かれる品々は、高村光雲の木彫、大島如雲の彫金、安藤重兵衛の七宝、
板谷波山の磁器、六角紫水の蒔絵などで、当時の日本工芸の力を結集しています。

「現代風俗絵巻」のうち、第5図、遠藤教三「百貨店」 昭和3年(1928)
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部分
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御成婚を祝して、文武官一同より献上された絵巻物で、
松岡映丘を中心とする新興大和絵の12名の画家による合作です。
第1図の松岡映丘「宮城」に始まり、第2図は服部有恒の「演習」、第3図は
狩野光雅の「村の学校」、第4図は岩田正巳の「収穫」です。
遠藤教三(1897-1970)は東京美術学校を卒業し、松岡映丘らの結成した
新興大和絵会に参加しています。
大正時代には「今日は帝劇、明日は三越」という宣伝文句が流行り、
百貨店は都市生活の象徴でした。
女性はほとんど着物姿で、下駄や草履の売場も見えます。

「瑞彩」のうち「雛祭」 上村松園 大正13年(1924) 絹本着色 
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市松模様の着物に桜を散らした帯の女性が犬筥を飾ろうとしているところです。
「瑞彩」は御成婚を祝して東京府より献上された3冊仕立ての画帖で、73名の画家の
作品が納められています。
展示されている部分では、富岡鉄斎、川合玉堂、横山大観、竹内栖鳳、土田麦僊、
上村松園、安田靫彦、松岡映丘、小堀鞆音、小林古径、吉川霊華、下村観山が
並んでいて、横山大観は富士山、土田麦僊は大原女を描いています。
東京府は1943年に東京都になっています。

「奉祝御成婚花電車絵図」 島田佳矣ほか 大正13年(1924) 絹本着色
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御成婚を祝して、東京市が花電車のデザインを東京美術学校に依嘱し、
島田佳矣が20点を考案し、そのうち10点が採用され、高島屋が製作して、
16日間運行されています。
東京市は現在の東京23区に相当し、1943年に東京都になっています。

皇室に献上される美術工芸品については、東京美術学校の第5代校長、正木直彦
((1862-1940)が指揮を取り、最高峰の作品を制作することに尽力したとのことで、
正木直彦の事績を紹介する展示もあります。

「松樹鷹置物」 高村光雲 大正13年(1924) 木彫
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皇太子ご成婚に際し、大正天皇、貞明皇后より拝領の品で、東宮御所玄関の
置物として制作されています。
うねるように上に向かう松の幹に翼を広げ、下に飛び立とうとする鷹が合わさって、
迫力に満ちた場面をつくっています。

「住吉詣」 松岡映丘 大正2年(1913) 絹本着色
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部分
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部分
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源氏物語の「澪標」の巻で、行列を整えて住吉詣をする光源氏の一行と、
それを舟から眺めやる明石の君です。
大和絵でよく描かれる画題で、人物の中には法然上人絵伝に描かれて
いたような人物もいて、絵巻物などをよく研究していることが分かります。
30歳前半の作で、第7回文展に出品され、宮内省買上げとなっています。

「三熊野の那智の御山」 山口蓬春 大正15年(1926) 絹本着色
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熊野灘に始まり、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社、那智の滝、
峰に沈む月が描かれています。
山口蓬春(1893-1971)の東京美術学校卒業間もない頃の作で、「古名画が
目の前にちらついて本当に弱りました」と述べています。
古名画とは根津美術館所蔵の国宝、「那智瀧図」のことでしょう。
第7回帝展に出品され、特選となり、宮内省買上げとなっています。

「那智瀧図」の展示された、2013年に根津美術館で開かれた、「新春の国宝 那智瀧図 
仏教説話画の名品とともに」の記事
です。

「日出処日本」 横山大観 昭和15年(1940) 紙本着色
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横4mほどの大作で、皇紀二千六百年奉祝展覧会出品後に、昭和天皇に
献上されています。
横山大観はよく皇室に富士山の絵を献上していましたが、翌年、太平洋戦争が始まり、
以後、献上されることは無くなります。


皇室への献上品は三の丸尚蔵館で一部が時々展示されますが、今回のように
まとまって観る機会は滅多にありません。
大正から昭和初期にかけての美術工芸の最高レベルの作品に接することの出来る、
貴重な展覧会です。

展覧会のHPです。


東京藝術大学大学美術館で、2018年3月31日(土)から5月6日(日)まで開かれる
「東西美人画の名作 《序の舞》への系譜」では、修復の終わった上村松園の
「序の舞」が5年振りに公開されます。

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【2017/11/07 19:21】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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