「名作誕生-つながる日本美術」展 前編 東京国立博物館
上野
chariot

上野の東京国立博物館では特別展、「名作誕生-つながる日本美術」が
開かれています。
会期は5月27日(日)までです。
会期中、細かい展示替えがありますので、展覧会のHPでご確認ください。
内容が多いので、前編、後編に分けて、記事にします。

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岡倉天心たちによって明治22年(1889)に創刊された日本・東洋美術の月刊研究誌、
「國華」の創刊130周年を記念しての展覧会で、
日本美術の作品同士の影響関係や共通する美意識に着目した展覧会で、仏像、
絵画、工芸品など、約130件が展示されています。

第1章 祈りをつなぐ

仏像、仏画、説話画などの展示です。

「十一面観音菩薩立像」 奈良時代・8世紀 大阪・道明寺 重要文化財
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像高約50㎝のカヤと思われる材による、足元の台座まで含めた一木造で、
細密な彫りが施され。頭に比べ体が短いのが特徴です。
道明寺は古代豪族、土師氏の氏寺だった寺で、菅原道真も土師氏の出です。

「伝薬師如来立像」 奈良時代・8世紀 奈良・唐招提寺 重要文化財

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像高約160㎝の足元の台座まで含めた一木造で、頬はふくらみ、堂々とした体躯で、
太腿の張りが大きく、衣文の流れが面白い形を作っています。
鑑真に伴われた唐の仏師の作の可能性があり、日本には良い石材が無いので、
カヤの木などを使った一木造の像が作られたということです。

後の時代の一木造の薬師如来も6体展示されていますが、9世紀から10世紀に
進むにつれ、姿がやさしくなっていくのが分かります。
最初の展示室に大きな一木造の仏像が並んでいる様は壮観です。

「普賢菩薩像」 平安時代・12世紀 東京国立博物館 国宝
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5月6日までの展示です。
普賢菩薩は女人往生を説く法華経に登場するので、特に女性の信仰を集めています。
白象に乗った、この上なく優美な姿で、天蓋には花が飾られ、蓮華座には金箔を糸の
ように細く切って貼付ける截金が施されているのが見えます。
明治41年の「國華」では、平安時代の最大傑作と評されています。

「普賢菩薩騎象像」 平安時代・12世紀 大倉集古館 国宝
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優しい顔立ちの菩薩で、袖には切金模様が見えます。
定朝の弟子に始まる円派の作と考えられ、乗っている象の体の長いところが
ユーモラスです。

「普賢十羅刹女像」 平安時代・12世紀 根津美術館 重要文化財
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5月8日からの展示です。
普賢菩薩が唐風の衣装の十羅刹女を従えています。
十羅刹女は法華経陀羅尼品に登場する10人の鬼神で、法華経信者を守護します。

「平家納経 観普賢経」  平安時代・長寛2年(1164) 広島・厳島神社 国宝
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5月6日までの展示です。
平家納経は平家一門が厳島神社に奉納した、法華経30巻を中心にした経典で、
観普賢経は法華経の中の結びのお経です。
見返には十羅刹女のうちの黒歯が剣を持ち、和装の女房姿で描かれています。
法華経への女性の信仰の深さが知られます。

「扇面法華経冊子」 平安時代・12世紀 東京国立博物館 国宝
5月8日からの展示です。
扇面に貴族や庶民の様子を描いた上に法華経を写し、冊子の形にしています。
宮廷周辺の女性の発願で制作されたと考えられるとのことで、大阪の四天王寺に
伝来しました。

「聖徳太子絵伝」 秦致貞 平安時代・延久元年(1069) 東京国立博物館 国宝
全10面の大きな絵で、5月6日までは6面、5月8日からは4面が展示されます。
聖徳太子の事績が描かれており、聖徳太子信仰の高まりを伝えています。

「聖徳太子絵伝」 遠江法橋 鎌倉時代・元亨3年(1323) 大阪・四天王寺 重要文化財
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6幅の掛軸で、5月6日までの展示です。
この絵では画面下に蘇我馬子と物部守屋の戦いが描かれています。
四天王寺は聖徳太子による建立と伝えられる寺院です。
聖徳太子の事績を絵にした聖徳太子絵伝の成立はかなり古く、絵伝を参詣者へ
見せる建物、四天王寺絵堂は8世紀後半には存在していたそうです。

「真言八祖行状図(龍智)」 保延2年(1136) 出光美術館 重要文化財
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真言宗の龍猛、龍智、金剛智、不空、善無畏、一行、恵果、空海の事績を描いた
大きな8幅の掛軸で、5月6日までと5月8日からで、4幅ずつ展示されます。
龍智は南インドの人で、龍猛から密教を授かり、これを金剛智に伝えています。
紅葉の風景の中で、左には龍智と玄奘、下には龍智と金剛智、善無畏、
右上には楽器を持った二人の人物が描かれています。
明治の廃仏毀釈で廃寺となった、奈良県の内山永久寺の旧蔵です。


第2章 巨匠のつながり

雪舟と中国絵画、宗達と古典など、継承と新しい工夫によるつながりです。

「山市晴嵐図」 玉澗 南宋~元時代・13世紀 出光美術館 重要文化財
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4月29日までの展示です。
大きな空間の中に、山中の人家、行く人、小橋などが簡略に描かれています。
無駄の無い、観ていて心地の良い作品です。
玉澗(ぎょくかん)は南宋末期から元初期の禅僧の画家で、簡潔で勢いのある
筆遣いを特徴にしていて、日本の水墨画に大きな影響を与えています。
東山御物の「瀟湘八景図巻」の中の一つで、他に「遠浦帰帆」(徳川美術館蔵)、
「洞庭秋月」(個人蔵)が現存しています。

「倣夏珪山水図」  雪舟等楊  室町時代・15世紀 山口県立美術館寄託
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5月8日からの展示です。
雪舟は明に渡り、中国画を学んでいます。
夏珪は南宋の画家で、山水画を得意としていました。

「潑墨山水図」  雪舟等楊  室町時代・15世紀 根津美術館
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5月6日までの展示です。
潑墨は墨を散らし、ぼかすようにして描く技法です。

「天橋立図」 雪舟等楊 室町時代・15世紀 京都国立博物館 国宝
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5月8日からの展示です。
高い視点から見下ろした、ほぼ実景に近い景色ですが、一部は実景と
異なる加工もされているそうです。
部分的に朱も入った水墨で、広々とした空間を感じる画面です。

「四季花鳥図屏風」 雪舟等楊 室町時代・15世紀 京都国立博物館 重要文化財
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5月6日までの展示です。
雪舟は中国画の画風を、四季の屏風という和の様式に取り入れ、新たな花鳥画を
作り上げたということです。

「四季花鳥図」 狩野元信 8幅のうち4幅 
 室町時代・16世紀 京都・大徳寺大仙院 重要文化財

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5月6日までの展示です。
元信の代表作で、大きな画面は緻密に描き上げられ、色彩も華やかです。
雪舟に比べ、画面構成がすっきりとしていて、障壁画の制作を得意とする
狩野派の始まりを見せています。

「平治物語絵巻六波羅合戦巻断簡」 鎌倉時代・13世紀 石橋財団ブリヂストン美術館
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5月13日までの展示です。
平安末期の平治元年に起こり、源義朝と平清盛が戦った平治の乱を描いています。
弓を持った騎馬武者と長刀を手にした徒歩武者が駆けています。
ボストン美術館所蔵の「三条殿夜討巻」や東京国立博物館所蔵の「六波羅行幸巻」と
同じセットの「六波羅合戦絵巻」の断簡で、破損した1巻から切り取ったと推定されています。

「扇面散屏風」 俵屋宗達 江戸時代・17世紀 宮内庁三の丸尚蔵館
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5月13日までの展示です。
絵の描かれた扇面が、八曲一双の金屏風に並んでいます。
題材は平治物語や伊勢物語で、「六波羅合戦絵巻」の場面も使われています。
左下は筒井筒の段で、女が自分でご飯をよそっているのを、
男が見て幻滅しています。
俵屋宗達に始まる琳派はよく古典を下敷きにした作品を描いています。

「雪梅雄鶏図」 伊藤若冲 江戸時代・18世紀 京都・建仁寺両足院
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両足院は建仁寺の塔頭で、多くの書籍・美術品を所蔵しています。
若冲得意の鶏を描いていて、白と赤の対比が鮮やかです。

「鶏図押絵貼屏風」 伊藤若冲 江戸時代・18世紀 細見美術館 
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六曲一双の屏風で、右隻は5月6日まで、左隻は5月8日からの展示です。
尾羽を立てた元気の良い雄鶏がずらりと並んでいます。

「仙人掌群鶏図襖」 伊藤若冲 江戸時代・18世紀 大阪・西福寺
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金箔地の襖に、仙人掌(サボテン)と一緒に、雄や雌、ヒヨコなど、さまざまな柄と姿の
鶏がにぎやかに描かれています。
いろいろな形の取り合わせの面白さを狙っています。

続きは次回、後編で。

展覧会のHPです。

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【2018/04/17 19:43】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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