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「名作誕生-つながる日本美術」展 後編 東京国立博物館
上野
chariot

上野の東京国立博物館では特別展、「名作誕生-つながる日本美術」が
開かれています。
会期は5月27日(日)までです。
会期中、細かい展示替えがありますので、展覧会のHPでご確認ください。
前編に続いて、後編を書きました。

名作img278 (1)


第3章 古典文学につながる

伊勢物語や源氏物語とのつながりです。

「伊勢物語八橋図」 江戸時代・18世紀 東京国立博物館
光008

5月6日までの展示です。
伊勢物語の東下りの一節です。
三河の国の八橋というところで、かきつばたの咲いているのを見て、在原業平とされる
人物が「か き つ ば た」を詠み込んだ和歌を詠じている場面です。

  から衣 着つつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ

食事の膳を前に置いた男たちの眺めているのは、咲き乱れるかきつばたの群れでしょう。
八橋の橋板も見えます。

「八橋蒔絵螺鈿硯箱」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 東京国立博物館 国宝
ハ0167

5月6日までの展示です。
写真は平常展の時に撮影したものです。
燕子花の花を螺鈿、葉を漆絵、橋を鉛板で表し、箱の内側には川波が描かれています。
根津美術館では4月14日から、恒例の尾形光琳の国宝「燕子花図屏風」の展示があります。

「蔦細道図屏風」 伝俵屋宗達筆・烏丸光広賛  
 江戸時代・17世紀 京都・相国寺 重要文化財

燕子花003

5月8日からの展示です。
伊勢物語の駿河の宇津ノ谷峠の場面です。
蔦の茂る細道で在原業平が知り合いの修行者に出会い、都に残した女への手紙を
言づてます。

  駿河なる宇津の山辺のうつつにも夢にも人に逢わぬなりけり

人物は描かず、金箔地を緑色の土坡で区切り、濃淡を付けた蔦の葉をあしらっています。
デザイン感覚にあふれた画面構成です。


「色絵竜田川文透彫反鉢」 尾形乾山 江戸時代・18世紀 岡田美術館 重要文化財
名作img289 (8)

5月8日からの展示です。

伊勢物語の主人公とされる在原業平の歌に拠っています。

ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは

「初音蒔絵火取母」 室町時代・15世紀 神奈川・東慶寺 重要文化財
名作img289 (7)

火取母(ひとりも)は衣に香をたきしめるときに香炉を入れる容器です。
松竹梅にウグイスが絵が描かれ、源氏物語の「初音」の帖にある歌の一部を
芦手書きにしています。
芦手書きは絵の中に文字を忍ばせておく装飾技法です。
明石の上が娘の明石の姫君に送った歌です。

  年月を松にひかれてふる人に今日鴬の初音きかせよ

「初音蒔絵櫛箱」 幸阿弥長重 江戸時代・17世紀 徳川美術館 国宝
名作img289 (2)

5月8日からの展示です。
「初音の調度」の中の一対です。
「初音の調度」は3代将軍徳川家光の娘の千代姫が尾張家2代光友に
嫁した時の道具類で、技巧を凝らした華麗な蒔絵が施され、葵の紋も入っています。


第4章 つながるモチーフ/イメージ

山水、花鳥、人物などのモチーフによるつながりです。

「松林図屏風」 長谷川等伯 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館 国宝
等2-28-2010_003等2-28-2010_002

右隻
等2-28-2010_002

左隻
等2-28-2010_003

5月6日までの展示です。
遠くにかすかに見える山を頂点にした、ゆるやかな三角形の構図で、
霧の中に濃く薄く現われる松林の情景は、等伯独自の画境です。
近づいて観ると、松の枝は簡潔ながら力強く描かれています。
下描きではないかとも言われていますが、様式性や装飾性を超えて、
自分たちが現実に観て感じている自然の佇まいを描き出しています。

「吉野山図」 六曲一双(左隻) 渡辺始興 江戸時代 18世紀
東花004

5月8日からの展示です。
琳派風の装飾的で、華やかな作品です。
色彩が穏やかで、山の連なりにリズム感があります。
渡辺始興(1683-1755)は狩野派、大和絵の様式の絵を描き、尾形光琳にも
師事したとされています。

「蓮池図屏風」 鎌倉時代・13世紀 奈良・法隆寺 重要文化財
法013

蓮池水禽は中国の江南で良く描かれた画題で、鎌倉時代に日本に受容されている
とのことです。
法隆寺のは現存最古の蓮池図で、中国画の画風をそのまま伝えています。
岡倉天心が明治17年(1884)にフェノロサらとともに関西の古社寺を
調査した時、この絵を「大作妙品」と高く評価しています。

「白蓮図」 酒井抱一 江戸時代・19世紀 京都・細見美術館
名作img289 (3)

抱一得意の、縦長の画面を活かした作品で、白蓮がふわりと浮き上がり、
花びらは落ちかけていますが、下の池にはつぼみが顔を出しています。

「洛中洛外図屏風 舟木本」 岩佐又兵衛 江戸時代・17世紀 東京国立博物館 国宝
右隻
京002

左隻
京005

滋賀県の舟木家に伝わったことから、この名があります。
上京と下京を別の視点から見る従来の方式と違って、東寺の五重塔の上からの
視点で、右隻の右端に豊臣家の象徴の方広寺大仏殿、左隻の左端に徳川家の象徴、
二条城を置いた形です。
右隻には喧嘩の場面、左隻にはお裁きの場面が描かれているのも象徴的です。
戦国大名の荒木村重の子とされる岩佐又兵衛の作で、特徴は2728人もの人物が
描かれているということで、どれも活き活きとした姿です。

「湯女図」 江戸時代・17世紀 MOA美術館 重要文化財
5月13日までの展示です。
下げ髪や切り揃えた髪の女性が5人、桜、文箱、松皮菱などの模様の小袖を着て、
そぞろ歩いています。
その姿は活き活きとして、生命力にあふれています。

「風俗図屏風(彦根屏風)」 江戸時代・17世紀 彦根城博物館 国宝
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5月16日からの展示です。
小さな屏風で、教養人のたしなみの四芸を題材にした「琴棋書画図」を
元にしていて、遊里の情景を写しています。

「誰が袖美人図屏風」 江戸時代・17世紀 根津美術館
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5月13日までの展示です。
右隻には大きく桜や松が描かれ、屋外と室内が一体化しています。

左隻では扇面散らしの屏風の前に立つ三つ巴文の小袖に唐輪髷の遊女が
鹿の子絞りに木の葉文の小袖を着て三味線を持つ禿(かむろ)から何かを
受け取るように手を差し出しています。
刀掛けには大小が、衣桁には武士好みの菖蒲柄の袴が掛かっています。

誰006

「見返り美人図」 菱川師宣 江戸時代・17世紀 東京国立博物館
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肉筆浮世絵で、玉結びの髪に吉弥結びの帯、振袖は菊と桜の花の丸模様です。
後ろ姿にすることで、後ろ結びである吉弥結びを見せ、左袖をひるがえして
模様を際立たせています。
洛中洛外図のような都市景観図から、集団を描いた作品に、さらに一人を描く
美人画に進んでいく様子が分かります。

「くだんうしがふち」 葛飾北斎 江戸時代・19世紀 東京国立博物館
名作img289 (4)

5月13日までの展示です。
九段坂と牛ヶ淵、田安門に続く土手を描いていて、坂は極端にデフォルメされています。
後ろから押されて坂を上る荷車や槍を立てて下ってくる武家の主従も見えます。
九段坂には荷車を押すのを手伝って駄賃を取る人足もいたそうです。
現在は画面右外に靖国神社、左外に日本武道館があります。

参考 現在の九段坂
さIMG_0535 - コピー


「道路と土手と塀(切通之写生)」 岸田劉生 1915年 東京国立近代美術館 重要文化財
近1-3-2010_002

夏の朝でしょうか、電信柱の影が長く伸びています。
強い日の光に照らされた白い石垣とコンクリートの壁は、細密に立体的に
描き込まれ、ぎらぎらと光っています。
右側の崖は対照的に黒い影になっています。
真中の地面は盛り上がって、まるで生き物のような迫力があります。
劉生は北斎などの浮世絵にも通じていたので、「くだんうしがふち」を見たことが
あるのでしょう。

文字通り名作が揃い、それぞれのつながりが分かるように展示されていていて、
見応えのある展覧会です。


「名作誕生-つながる日本美術」展、前編の記事です。

展覧会のHPです。

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【2018/04/19 19:14】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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