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「生誕150年 横山大観展」 東京国立近代美術館
竹橋
chariot

竹橋の東京国立近代美術館では「生誕150年 横山大観展」が開かれています。
会期は5月27日(日)までです。
この後、京都国立近代美術館で6月8日(金)から7月22日(日)まで開かれます。
会期中、細かい展示替えがありますので、展覧会のHPでご確認ください。

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横山大観(1868-1958)の生誕150年を記念して、代表作の「生々流転」など、
約90点が展示されています。

「村童観猿翁」 明治26(1893)年7月 東京藝術大学
美術002

5月8日からの展示です。
横山大観は東京美術学校の第1回の卒業生で、1896年の図案科の新設時には
教官となっています。
この作品は卒業制作で、猿使いの男は教官の橋本雅邦、子供たちは大観ら
同級生とされています。

「菊慈童」 明治30(1897)年頃 吉野石膏株式会社
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能の「菊慈童」で有名な中国の説話に拠っています。
濃淡に描き分けられた菊の表現が見事です。

「白衣観音」明治41(1908)年 個人蔵
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100年以上、行方が分からず、最近、発見された作品です。
岡倉天心の奨めで、明治36(1903)年にインド旅行をした経験を基にしています。
白衣観音(びゃくえかんのん)は三十三観音の一人で、白衣を着けています。
横に壺のようなものが置いてあるところは楊柳観音にも似ています。
岩の描写は菱田春草とともに始めた、輪郭線を用いない、いわゆる朦朧体に
拠っています。
大観は人体デッサンが不得手だったそうで、組んだ足の形にもちょっと
不自然なところがあります。

「彗星」 明治45(1912)年頃  個人蔵
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5月6日までの展示です。
1910年のハレ―彗星の接近を描いています。
水墨画としては極めて珍しい題材で、彗星の本体や空の星は胡粉で
点を打っていますが、尾の部分は墨を塗らずに地を残しています。
この時の接近では、彗星の尾の中を地球が通過する際に、地球が毒性ガスに
包まれたり、一時的に空気が無くなるという噂が広まったりしています。
アメリカ旅行で見たナイアガラの滝を描いた金屏風も展示してあり、
何でも絵の題材にしようという、大観の意欲に感心します。

「山路」 明治45(1912)年 京都国立近代美術館
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5月8日からの展示です。
冬枯れの山道を行く人が、葉を落とし、風の吹き渡る木々を見上げています。
洋画を意識して厚塗りにした画面で、木の葉の表現が西洋画の点描法の
ようだと評判になった作品です。
合成顔料や近代に開発された岩絵具も使われているそうです。

横山大観は新しい技法の獲得に熱心で、果敢に取り組んでいます。
大観とともに日本美術院の設立にも参加した下村観山は、自分は伝統が
身に付いてしまっていて中々新しいことが出来ないが、
大観はかまわずに思い切ったことをやる、と述べています。
また、大観は日本美術院で若い画家が新味の無い絵を描いていると
叱り付けていたそうです。

「作右衛門の家」 大正5(1916)年9月 山種美術館
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5月15日からの展示です。
木々の生い茂る中を、男が馬に食べさせる草を担いで帰って来るところです。
厩では馬が嬉しそうに足掻いています。
桐の木は大きな葉を付け、栗の木には青い実が生っています。
自然と人事が一体となった理想郷です。

「生々流転」 大正12(1923)年9月 東京国立近代美術館 重要文化財
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絹本墨画の巻物で、全長40m以上あり、会場では全場面を観ることが出来ます。
水が雨となって山に降り、川を下り、野を越え、やがて海に注ぎ、龍となって
空に昇るまでを、季節の移ろいも交えて描き上げています。
会得した水墨の技法を集大成した作品で、大観の代表作となっています。
上野で展覧会に出品した9月1日に関東大震災が起きていますが、
幸い被災を免れています。

「群青富士」 大正6(1917)年頃 静岡県立美術館
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5月6日までの展示です。
琳派風の装飾的な描き方で、金地の空を背景にして、もくもくとした雲の上に
顔を出した富士山も、どこかユーモラスな佇まいです。
色彩も絞られ、デザイン的な感覚があります。

「霊峰十趣のうち 山」 大正9(1920)年4月 個人蔵
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5月6日までの展示です。
実際の風景とは異なる、波のように沸き立つ山々の中に富士が立っています。
大正期に描かれた富士山は装飾的で、形や色彩に面白さがあります。

「夜桜」 昭和4(1929)年11月 大倉集古館
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右隻
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左隻
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5月8日からの展示です。
篝火に浮かび上がる満開の山桜と山の端にかかる満月です。
豪華極まりない装飾画で、桜の花はおしべまで描き込んであります。
周辺を暗く描いているので、桜は吹き上がるように輝いて見えます。
大倉財閥の二代目、大倉喜七郎がが昭和5年(1930)にローマで開催した、
「羅馬開催日本美術展」に出品され、特に評判の高かった作品とのことです。

「紅葉」 昭和6(1931)年9月 足立美術館
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5月8日からの展示です。
春の「夜桜」に対して、秋の「紅葉」で、対角線構図の画面は赤と青の
対比が鮮やかです。

「海に因む十題のうち 波騒ぐ」 昭和15(1940)年4月 霊友会妙一コレクション
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昭和15年の皇紀2600年を奉祝して制作した「海山十題」の一部です。
太平洋戦争開戦の前年に当たります。
大観は作品の販売代金50万円で、軍用機4機を軍に献納しています。
献納した機が飛行場を飛び立つ様を大観が眺めているフィルムも現存しています。

「或る日の太平洋」 昭和27(1952)年9月 東京国立近代美術館
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昭和になると富士山の描き方も写実的になり、荘厳さが強調されます。
愛国者だった大観は戦前戦中に多くの富士山の絵を描いています。
この絵は戦後に描いた富士山で、大観の代表作の一つとなっています。
白波が逆巻き、稲妻が走り、龍が姿をのぞかせる向こうに、白雪をいただいた
富士山が浮かんでいます。
心象風景でもあるような、凄みのある作品です。

「霊峰飛鶴」 昭和28(1953)年 横山大観記念館
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富士の周りを鶴の群れが飛ぶ、目出度い光景です。
淡い光が画面から湧いてくるような、絶妙な色遣いです。

横山大観の画業の全体の分かる展覧会で、特に「生々流転」のすべての場面
を観ることの出来る貴重な機会です。

2013年には横浜美術館で、「横山大観展 良き師、良き友」が開かれていました。

「横山大観展 良き師、良き友」の記事です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「ゴードン・マッタ=クラーク展」です。
会期は6月19日(火)から9月17日(月・祝)です。

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【2018/05/03 18:39】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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