「夢二繚乱」展と「イザベラ・バード展」 東京ステーションギャラリー
東京
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東京駅の東京ステーションギャラリーでは、「夢二繚乱」展が開かれています。
会期は7月1日(日)まで、入館料は一般900円です。

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千代田区との共催の展覧会で、千代田区九段南にある出版社の龍星閣の創業者、
澤田伊四郎の収集した、竹久夢二コレクションが千代田区に寄贈されたのを
記念して開かれています。
澤田伊四郎の龍星閣は竹久夢二の画集を何度も出版し、出版に当たって
澤田は夢二に関する膨大な作品・資料を収集しています。

「故郷の秋」 明治42年(1909) 夢二郷土美術館蔵
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竹久夢二(1884-1934)は岡山県瀬戸内市邑久町本庄の酒造業の家に生まれています。
邑久町(おくちょう)は里山に近く、現在ものどかな農村です。
夕暮れ時の郷愁を誘う情景で、木の枝は葉を落とし、蓮池の蓮も枯れています。

「画文集『揺籃』表紙」 明治36年(1903)
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手書きの冊子で、外国文学の翻案や創作、挿絵が載っていて、文章には
推敲の跡が残っています。
ドイツのシラーやフランスのドーデを読んでいたことが分かります。

竹久夢二は大正3年(1914)に東京日本橋に「港屋絵草紙店」を開いて、
千代紙などを販売しています。

千代紙「きのこ」 大正3-5(1914-16)
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千代紙にしては珍しい図柄で、モダンなアール・ヌーヴォーの影響が見られます。

「得度の日」(「桜さく国 紅桃の巻」口絵) 明治45年(1912) 
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夢二独特の、袖で顔をおおって泣く女性が描かれています。

セノオ楽譜 「夢見草」
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セノオ楽譜は大正6-昭和4年(1917-29)に妹尾幸陽が西洋音楽の普及のために
発行した1000曲以上の楽譜集で、
竹久夢二は約280曲の表紙を手掛けています。
オペラや賛美歌などの他に、夢二自身の作詞した、「宵待草」もあります。
ヨーロッパ風の図柄が多く、少年時代に神戸に居た時以来という、
ヨーロッパへの憧れが強く表れています。

「歌劇 ホフマン物語 船歌」はヴェネツィアの運河とゴンドラです。

「ケンタッキィホーム」はベンチでアコーディオンを弾く若い男性と寄り添う女性で、
ヒマワリも咲いています。

「お江戸日本橋」は浮世絵風で、振袖姿の女性が傘を手に橋の上に立ち、
遠くには白壁の土蔵が見えます。

中山晋平作曲全集表紙絵 昭和5年(1930)
大ヒットした「東京行進曲」は、粋な洋装の女性がリキュールのグラスを手にしています。

「鉾をおさめて」はクジラ漁の歌ですが、漁師が大きな魚を背に負っていて、
青木繁の「海の幸」を思わせます。
竹久夢二は青木繁を見たことがあるのでしょうか。

「緊縮小唄」という、時世を反映した歌もあって、富士山の麓の民家からは
炊煙が上がっています。
仁徳天皇の故事にちなんでいるのでしょう。

「『出帆』原画」 昭和2年(1927)
夢二img443 (1)

「出帆」は都新聞に連載された自伝的小説で、134点の自筆挿絵の原画が
展示されています。
都新聞は1884年に東京で創刊された新聞で、現在の東京新聞の前身です。

展示室では、「出帆」の挿絵を使った、波乱の多い竹久夢二の長大な経歴解説が
展示されています。

龍星閣の出版した、竹久夢二の美麗な画集や肉筆画、楽譜集、絵本、絵葉書、千代紙など、
500点以上が展示され、竹久夢二の世界を存分に味わえる展覧会で、澤田伊四郎の
夢二への思い入れの深さが分かります。
作品を一点一点観ていくと、夢二の抒情性とともに、モダンなデザイン感覚の面白さも
伝わってきます。

展覧会のHPです。


竹久夢二の故郷、瀬戸内市邑久町本庄には夢二郷土美術館があります。

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夢二郷土美術館のHPです。


また、東京都文京区弥生には竹久夢二美術館があります。

竹久夢二美術館のHPです。

******

東京ステーションギャラリーの回廊では、「TRAIN SUITE 四季島」運行開始1周年
記念企画 、「イザベラ・バード展」が開かれています。
会期は7月1日(日)までで、入館には「夢二繚乱」展の入館券の購入が必要です。

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イザベラ・バード(1831-1904)はイギリスの旅行家で、明治11年(1878)に通訳だけを
連れて、東北から北海道を旅行し、アイヌ文化にも触れ、旅行記を残しています。

JR東日本のクルーズトレイン、「TRAIN SUITE 四季島」とイザベラのコースとは
かなり重なることからのタイアップ企画です。


次回の展覧会は、「生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。」展です。
会期は7月14日(土)から 9月9日(日)までです。

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【2018/05/26 18:55】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(4) |
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  • こんばんは。
  • 澤田伊四郎は夢二を現代に甦らせた人とも言えます。
    装丁への意気込みからも、夢二への思い入れの深さが分かります。

    【2018/06/30 23:11】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 装丁
  • 貴重な挿し絵の他、本の装丁の仕事もダイナミックで見応えがありました。

    【2018/06/30 18:29】 url[pinewood #mdX0xzVk] [ 編集]
  • こんばんは。
  • 江戸時代から日本では女性だけの巡礼が可能だったというので、治安は良かったのでしょうが、彼らの好奇心、冒険心には感心します。しかも女性なのですから尚更です。

    【2018/05/28 23:25】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 当時の日本を歩いた勇気に乾杯
  •  外国から来て見知らぬ国をほぼ一人旅。まあ、通訳は連れていたにせよ、心細くは無かったのでしょうか。しかも当時の欧米人にとっては日本は訳のワカメの未開な国だった筈。冒険心と度胸の据わったお姐様だったんでしょうなぁ。

    【2018/05/28 20:12】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















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