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「ミケランジェロと理想の身体展」 国立西洋美術館
上野
chariot

上野の国立西洋美術館では、「ミケランジェロと理想の身体展」が開かれています。
会期は9月24日(月・休)までです。

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イタリア・ルネッサンスの彫刻家、ミケランジェロ(1475-1564)の彫刻2点を中心に、
男性美を表現した古代ギリシャ・ローマとルネッサンス期の作品、約70点が
展示されています。


「アメルングの運動選手」 紀元前1世紀 フィレンツェ国立考古学博物館蔵
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古代オリンピックの選手でしょうか、発達した筋肉が強調されています。
片足に重心をかけた、コントラポストという形をしています。
コントラポストは人体表現にやわらかさと動きを与えます。

古代ギリシャ彫刻でも、アルカイック期のクーロス(男性像)やコレー(女性像)は
まだ片足を前に出しただけで、左右対称の形をしていました。

(参考)
「コレー像」 前530年頃 アテネ、アクロポリス、エレクテイオンより出土 
 アテネ、アクロポリス博物館蔵
ギリシャ2

2016年に東京国立博物館で開かれていた、「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」の
時の写真です。

次のクラシック期に人体表現は自然になり、コントラポストも生まれます。

「ヘラクレス」 紀元前4世紀後半 フィレンツェ国立考古学博物館蔵
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ギリシャ神話の英雄、ヘラクレスがライオンと闘った棍棒を持った姿で表されています。
高さ約50㎝の小像で、堂々とした体格をしていて、コントラポストのポーズで立っています。

「アキレウスとケイロン」 65-79年 ナポリ国立考古学博物館蔵
ポン5-6-2010_001

フレスコ画で、ギリシャ神話の英雄アキレウスに、ケンタウロスの賢者ケイロンが
竪琴を教えているところで、アキレウスはコントラポストのポーズです。
ポンペイ郊外のエルコラーノの邸宅にあった壁画で、エルコラーノは紀元79年の
ヴェスヴィオ火山の噴火で埋没しています。

「プットーとガチョウ」 1世紀半ば ヴァチカン美術館蔵
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古代にもよく幼児の像が制作されています。
愛らしい姿ですが、捉まっているガチョウは文句を言っています。


ヴィンチェンツォ・デ・ロッシ 「ラオコーン」 
 1584年頃 ローマ、個人蔵、ガッレリア・デル・ラオコーンテ寄託

ミIMG_0245

ミIMG_0242

この作品のみ撮影可能です。
古代ギリシャの彫刻、「ラオコーン」は1506年にローマで発掘され、ルネッサンス芸術に
大きな影響を与えています。
トロイアの神官、ラオコーンと2人の息子が海蛇に取り付かれ、殺されるところで、
苦しむラオコーンの肉体には力がみなぎり、劇的な場面となっています。
教皇ユリウス2世に呼ばれ、ローマで霊廟建設に当たっていたミケランジェロも
実際に見ています。
コピーもいくつか造られていて、これもその一つです。

ミケランジェロ・ブオナローティ 「若き洗礼者ヨハネ」  高さ130cm 1495-96年 
 ウベダ、エル・サルバドル聖堂/ハエン(スペイン)、エル・サルバドル聖堂財団法人蔵

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洗礼者ヨハネはヨルダン川でイエスに洗礼を授けた人物とされ、皮衣を着
た姿で表されます。
20歳頃の作品で、少年のように若い洗礼者ヨハネです。
コントラポストのポーズはルネッサンス期の彫刻にも受け継がれています。
メディチ家の注文で制作されましたが、すぐに行方不明になり、20世紀になって
スペイン北部ウベダのエル・サルバドル聖堂にあるのが発見されますが、
直後にスペイン内戦(1936-1939)に巻き込まれ、破壊されてしまいます。
残った14個の石片を使って、1990年代からイタリアで修復され、2013年に
公開されたということで、残っていた顔の上半分は少し黒くなっています。

白の部分が残っていた石片で、全体の約40%に当たります。
img513.jpg


ミケランジェロ・ブオナローティ 「ダヴィデ=アポロ」 高さ147cm 1530年頃 
 フィレンツェ、バルジェッロ国立美術館蔵

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フィレンツェを支配していたメディチ家を市民は1527年に追放しますが、神聖ローマ皇帝
カール5世が介入して、1530年にフィレンツェは陥落し、メディチ家が復帰しています。
ミケランジェロはフィレンツェ防衛の要塞建築を指揮していたため、罰せられる
ところでしたが、何とか赦されています。
そこで、皇帝と教皇の連合軍の司令官のバッチョ・ヴァローリの御機嫌取りで制作した
作品とのことです。
これもコントラポストの形ですが、左腕を右肩に大きく回し、体をねじって、上に向かって
渦を巻くような動きを作っています。
若々しい姿ですが、顔には憂いの表情が浮かんでいます。
しかし、製作途中でミケランジェロは教皇パウルス3世に呼ばれ、ローマに行ってしまい、
作品は未完成のまま残されています。
彫られているのは旧約聖書に登場するダヴィデ王か、ギリシャ神話の神アポロらしい
のですが、未完成のためどちらか分からないままとなっています。
肩に背負っている物が投石器ならダヴィデ、矢筒ならアポロとなります。

(参考)
ミケランジェロ・ブオナローティ 「十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)」
1514-1516年 大理石 バッサーノ・ロマーノ、サン・ヴィンチェンツォ修道院付属聖堂
レIMG_0399

2017年に三菱一号館美術館で開かれた、「レオナルド×ミケランジェロ展」の時の
写真です。
やはりコントラポストになっています。


ミケランジェロの2つの彫刻を中心にした展示ですが、古代とルネッサンス、両時代の
男性像が数多く展示されていて、しっかり比較して観ることが出来ました。
特にコントラポストという表現方式を面白く思いました。

仏教彫刻では左右対称の仏像が多いですが、コントラポストと同じ、重心を片足に置く
形も多くあります。

(参考)
「八大童子立像」 運慶作 6軀 
 鎌倉時代・建久8年(1197)頃 和歌山・金剛峯寺 国宝
運慶img222 (5)

2017年に東京国立博物館平成館で開かれた、「運慶展」の時の写真です。

展覧会のHPです。

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【2018/06/30 19:07】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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