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「はじめての古美術鑑賞―漆の装飾と技法―」 南青山 根津美術館
表参道
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南青山の根津美術館では企画展、「はじめての古美術鑑賞―漆の装飾と技法―」が
開かれています。
会期は7月8日(日)までです。

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漆は縄文時代には塗料として使われており、奈良時代には中国から漆の装飾が
伝えられています。

展覧会では日本で発展した蒔絵や、中国や朝鮮から渡り、唐物漆器として珍重されてきた
漆工芸品が展示され、その技法も解説されています。

「春日山蒔絵硯箱」 室町時代 15世紀 重要文化財
春日013

8代将軍足利義政愛用の硯箱の一つです。
鳴く鹿に秋草を配し、銀の満月には薄がかかっています。
雅びで繊細な作品で、義政の洗練された好みを伝えています。
この硯箱は古今集の壬生忠岑の歌に依っています。

  山里は秋こそことにわびしけれ鹿の鳴く音に目をさましつつ

鹿、山、秋、月などから春日山が連想され、作品名にもなったそうです。

春日山蒔絵硯箱にはいろいろの蒔絵の技法が使われています。

葦手(あしで)
蒔絵img518 (1)

和歌の一部の字を絵の中に忍ばせる技法です。

平文(ひょうもん)
蒔絵img518 (2)

金属の板を貼って、漆で塗り込め、表面を研ぎ出します。

高蒔絵(たかまきえ)
蒔絵img518 (3)

漆を高く盛り上げて、立体感を出します。

梨子地(なしじ)
蒔絵img518 (4)

細かい金粉を蒔いた後、漆で塗り込めます。

「花白河蒔絵硯箱」 室町時代 15世紀 重要文化財
根津003

8代将軍足利義政の所持とされる品で、満開の桜の下に公達を描き、幹などに
花・白・河の文字を葦手書きで表しています。
新古今和歌集の飛鳥井雅経の歌に拠っています。

  なれなれてみしはなこりの春そとも なとしら河の花の下かけ

「嵯峨山蒔絵硯箱」 室町時代 15−16世紀 重要文化財
古美術4

蓋表には雅楽の大太鼓、蓋裏と箱には山の端の月、樹木、屋敷などが描かれています。
葦手(あしで)文字で、嵯峨、乃、御幸、絶にし、千代の字が配され、後撰和歌集の
在原行平の歌が表されています。

  さがの山みゆき絶にし芦川の千世のふる道跡はありけり

夕顔蒔絵板戸 柴田是真・三浦乾也合作 江戸時代 19世紀
是003

小さな板戸に立体感のある分厚い塗りで夕顔を描いています。
瓢箪の部分は尾形乾山の系統の陶工、三浦乾也の作です。

「業平蒔絵硯箱」 柴田是真 明治時代 19世紀 
是006

伝尾形光琳作の「業平蒔絵硯箱」を模した作品で、伝尾形光琳作と並べて
置かれています。
原作は狩衣の線や扇の骨を錫の板で作ってあるのを、錫の粉や灰墨を使って
蒔絵で再現してあるそうです。


中国の漆工芸品です。

「螺鈿人物文八角合子」 木胎漆塗螺鈿 南宋時代 12世紀
根005

机に向かって絵を描く女性、香を焚いたり、団扇を持つ侍女が螺鈿(らでん)を使って
描かれています。
八角形の枠に合わせて、欄干や机、香の台の線が揃えられています。
机の上の紙には絵も線彫りされるなど、細かい細工がされています。

「堆黒屈輪文香合」 木胎漆塗 元時代 14世紀
香合img208 (4)

堆黒(ついこく)は素地に黒漆を何層にも塗り重ねて厚みを出し、
彫り込んで模様を出す技法で、宋時代に始まっています。
屈輪文(ぐりもん)は渦巻文様のことです。
間に朱漆も塗って、赤い線を出し、器を華やかにしています。


展示室5のテーマは、「茶道具の銘と和歌」です。

銘を和歌から採った茶道具の展示です。

「文琳茶入 銘 亀尾」 薩摩 施釉陶器 江戸時代 17世紀
蒔絵img518 (6)

胴の白い部分を瀧に見立てています。

  亀の尾の山の岩根をとめておつる瀧のしら玉千世の数かも

古今集所収の紀惟岳(きのこれおか、生没年未詳)の歌です。

「鼠志野茶碗 銘 山の端」 美濃 施釉陶器 桃山~江戸時代 17世紀 重要文化財
和001

  五月雨ははれんとやする山端にかかれる雲のうすくなりゆく

花園天皇(1297-1348)の歌にちなんだ銘です。


展示室6のテーマは、「季夏の茶の湯 ─名水点て─」です。

名水点ては夏の茶席の趣向で、名水を汲んで茶を点てるものです。

「青磁擂座三足水盤」 龍泉窯 施釉陶器 元時代 14世紀
蒔絵img518 (5)

水を張って草花を活ける鉢です。

「広沢切」 伏見天皇筆 鎌倉時代 14世紀
床の間には広沢切が掛けられています。
和歌や書に優れた伏見天皇の御製集の断簡です。

  あめのゝちのゆふべのいけは水すみてうつる木ずゑのいろぞすゞしき

展覧会のHPです。


次回の展覧会は企画展、「禅僧の交流 墨蹟と水墨画を楽しむ」です。
会期は9月1日(土)から10月8日(月・祝)です。

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【2018/06/26 19:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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