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「水を描く―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」 山種美術館
恵比寿
chariot

山種美術館では企画展、「水を描く―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」が
開かれています。
会期は9月6日(木)までです。

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今年9月に国際水協会(IWA)世界会議が東京で開かれるということで、
水にちなんだ作品の展示です。

歌川広重 「東海道五拾三次」より「庄野・白雨」 1833~36(天保4-7)年頃 
浮5-30-2010_002

8月5日までの展示です。
広重の 「東海道五拾三次」を代表する作品です。
にわか雨に慌てて、鍬を担いで坂を駆け下る人、駆け上がる駕篭、風に揺れる
木々には動きがあり、しかも叙情性に満ちた絵になっています。
対角線の構図は、広重の学んだ四条派の影響とのことです。

  牛方のあきらめて行くにわか雨  江戸川柳

歌川広重 「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」 1857(安政4)年
浮世絵1_1

8月7日からの展示です。
隅田川の新大橋(大橋)を西側から見た図です。
川向こうに幕府の御船蔵があり、安宅船(戦艦)を収容していたので、「あたけ」の
地名が付いています。
びっしり並んだ細い線で雨を表し、あてなしぼかしという摺りの技法を使って、
むらむらとした雨雲を表現しています。
広重は雨の表現が巧みです。

  本降りになって出て行く雨宿り  江戸川柳

奥村土牛 「雨趣」 1928年
前田001

麻布谷町(今の六本木1丁目)の雨の日の眺めです。
谷あいに並ぶ木造家屋の上に降る雨が、細かく一本一本描かれています。
厳密な写実を行なう速水御舟の影響でしょう。
色数を抑えてじっくり描くという画風は、この頃にはすでに見られます。

川合玉堂 「渓雨紅樹」  1946年
原風景006

谷あいの村は雨に煙り、紅葉した木々の葉はうなだれています。
白抜きで表された道を傘を差した人が二人歩いています。
川合玉堂はよく風景の中に何人かの人を描いて、人のつながりを表しています。
川合玉堂は写生の折に見かけた水車小屋の風景を気に入り、自宅の庭に
水車を作ってその音を楽しんだということです。

千住博 「ウォーターフォール」 1995年
パンフレットに使われている作品です。
大作で、白い絵具を流して描く、千住さん独特の技法による作品です。
絵具の滝が滝の絵になる、と千住さんは述べています。
しんと静かな画面を観ていると、轟く水音が聴こえてきます。

  嬉しや水 鳴るは滝の水 日は照るとも 絶えずとうたり  平家物語、額打論
                     
奥田元宋 「奥入瀬(秋)」(部分) 1983年
高山002

縦約2m、横約5mの大作で、奥入瀬渓流の紅葉を描いています。
年を取ると大きな作品を描けなくなるので、80歳までは日展とは別に
年に1作描くことにしたそうで、これは71歳のときの作品です。
奥田元宋は赤色をあふれるように使ったことで有名で、「元宋の赤」と
呼ばれています。
その赤は深く、荘厳さがあります。

  ちはやふる神代もきかず竜田川唐紅に水くくるとは  在原業平

小林古径 「河風」 1915年
和003

黒の絣の浴衣姿の女が河原に置いた縁台に掛け、桔梗の団扇を持って
足を水にひたしています。
後ろに垂らした帯の色が鮮やかで、水の描き方にも特徴があります。
小林古径の33歳頃の作品で、後の画風と違い、絵に生々しさがあります。
菱川師宣の見返り美人などの浮世絵を参考にしていて、流れの描き方には
紅児会で共に活動した今村紫紅の影響が見られるそうです。

  夏河を越すうれしさよ手に草履  蕪村

速水御舟 「埃乃土人ノ灌漑」 1931年 
前田002

小品で、1930年の欧州旅行の船旅の途中で見かけた、エジプトの情景です。
2つの跳ね釣瓶を使った水汲みの様子を描いています。
人物の姿は古代のエジプト絵画風で、1人は赤い腰巻に白い鉢巻、
1人は白い腰巻に赤白の鉢巻です。
左右対称の面白い構図で、烏が1羽、のんびり止まっています。
肩の力を抜いた、楽しい絵です。

竹内栖鳳 「緑池」 1927年
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一匹の蛙が池から顔を出しています。
いかにも暖かそうな春の情景です。
竹内栖鳳の描く動物はどれも見事にその姿を捉えています。

東山魁夷 「緑潤う」 1976年
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修学院離宮の庭です。
親交の深かった川端康成に、京都の風景の残っている今のうちに描くように奨められ、
取り組んだ4点のうちの一つです。

小堀鞆音 「那須宗隆射扇図」 1890年
教科書2

平家物語の一節の那須与一が屋島の戦いで扇を射落す場面です。
波の形は様式的ですが、平家物語の記述を参考にした戦装束の与一の姿は
濃い色彩で写実的に描かれています。
小堀鞆音(1864~1931)は安田靫彦の師で、歴史画を得意としています。

  折節北風激しくて 磯打つ波も高かりけり   平家物語、扇の的の段

川端龍子 「鳴門」 1929年
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横約8m以上もある大作で、濃い群青の波が渦巻く、迫力いっぱいの画面が広がっています。
川端龍子は従来のいわゆる「床の間芸術」に対抗し、広い展示場での展示に耐える、
「会場芸術」を追及しています。
自身の設立した青龍社の第1回展の出品作です。

奥村土牛「鳴門」 1959年
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近景の渦潮と遠景の島の静が一体となった、重厚な作品です。
幾重にも塗り重ねた堅牢な画面造りは、奥村土牛の特徴です。
小さな連絡船に乗っていて、たまたま渦潮に出会い、奥さんに帯を
掴んでもらって渦潮を覗き込んで写生したということです。

宮廻正明 「水花火(螺)」 2012年
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四国の四万十川の投網漁を題材にしていて、真昼に一瞬咲いた花火を捉えています。
水面を点描で描き、網の目も細かく一本一本描き込んでいます。
宮廻さんの作品は幾何学的な構図が新鮮です。

小野竹喬 「沖の灯」 1977年
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夕陽に焼けた雲の色が海に映り、沖には漁火が見えます。
最晩年の作で、色も形も単純化され、本質だけになっています。

雨、滝、川、池、海という、それぞれの水の表情を見せてくれる展覧会です。

山種美術館のHPです。


次回の展覧会は企画展、「日本美術院創立120 年記念 日本画の挑戦者たち
―大観・春草・古径・御舟―」です。
会期は9月15日(土)から11月11日(日)までです。

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【2018/07/26 20:29】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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