FC2ブログ
「仙厓礼賛」展 出光美術館
有楽町・日比谷
chariot

丸の内の出光美術館では「仙厓礼賛」展が開かれています。
会期は10月28日までです。

仙厓img112 (2)


仙厓義梵(せんがいぎぼん)(1750~1837)は江戸時代の臨済宗の僧で、
博多の聖福寺の住持を勤め、引退後も境内の中の嘘白庵に住んでいます。
その洒脱な人柄と巧みな書画から、町の人に「仙厓さん」として親しまれました。 

出光美術館は仙厓の書画を数多く所蔵していて、よく展覧会を開いています。
出光美術館の創設者である出光佐三は仙厓に惹かれ、そのコレクションの始まりは
仙厓の「指月布袋画賛」で、最後の蒐集品はやはり仙厓の「双鶴画賛」だそうです。

第1章 長寿は天からの授かりもの―「老人六歌仙画賛」を中心に

「老人六歌仙画賛」
仙厓img112 (5)

老人で仕立てた六歌仙図です。
画賛は、「しわかよるほ黒か出ける腰曲る(皺が寄るホクロが出来る腰曲がる)」に始まり、
「達者自まんに人はいやかる(達者自慢に人は嫌がる)」で終ります。
名古屋の横井也有(1702-1783)の狂歌を基にしているとのことですが、読んで思わず
笑ってしまいます。

「百寿老画賛」 
ユー11-8-2009_004

百歳の老人が百人以上集まって、長寿の神様、南極寿星の乗った御輿を担ぎ、
酒樽の前で押し合いへし合い大騒ぎです。

 百歳百人 都一萬年 猶是有限 故迎南星於天

 百歳が百人集まってもせいぜい一万年、これでは限りがあるので、
 南極寿星をお迎えする

「双鶴画賛」 
仙厓img113 (1)

 鶴ハ千年
 亀ハ万年
 我れハ天年

自らの寿命は天からの授かりものとしています。


第2章 力を尽くせば、必ず報われる―仙厓画傑作選

「犬子画賛」
仙厓img117 (1)
 
 きやんきやん

可愛い子犬が棒切れにつながれ、鳴いています。
世の中のしがらみから逃れられない人間を表しているそうです。

「坐禅蛙画賛」
仙002

坐禅して人か佛になるならハ

いつも坐っている蛙だって悟りを開けることになるから、形ばかりを真似ても
真実は得られないという教訓です。
しかし、にやりと笑った蛙の顔には、本当に何か自得したような気配があります。

「○△□」
仙厓1_1

仙厓といえば、この絵が有名です。
画賛には、扶桑最初禅窟とあります。
後鳥羽上皇より聖福寺に賜った号で、日本最初の禅宗寺院という意味です。
聖福寺は南宋より帰国した栄西が最初に立てた禅寺です。
世界のすべての形、即ち世界その物を表しているという、空間的な意味にも思えます。

「一円相画賛」
仙003

 これくふて
 茶のめ

悟りを得てもそこに留まることなく、更に前に進めという意味です。
悟りを表す円もお茶菓子になってしまいます。

「指月布袋画賛」
仙厓img113 (2)

 を月様
 幾ツ
 十三七ツ

布袋が月を指差しても、人は布袋の指を見て月を見ない、本質を見なければ
仏の境地には行き着かない、という禅画の題材の一つです。
わらべ歌も書き入れた、月を見て喜ぶ布袋さんと子供の姿には、元の意味を超え、
活き活きとした自由な境地が表れています。

「堪忍柳画賛」 
仙厓7

 気に入らぬ風もあろふに柳哉

仙厓は分かりやすい処世訓をよく描いています。


第3章 楽しき思い出よ、いつまでも―「書画巻」をめぐって

晩年に、スケッチや着想を書き留め、書画巻としています。

「書画巻」(部分) 文政5-天保5年(1822-34)
仙厓img112 (3)

「猿猴捉月画賛」 
仙厓img112 (4)

 なしやありあり志やなきと
 探る手に
 捉えかねたる猿沢の月

書画巻に描かれた下絵を基にしています。
猿が水に映った月を取ろうとして溺れてしまったという、身の程を知らぬ欲を諫める
お話ですが、雅趣のある画題で、大津絵に描かれ、長谷川等伯や若冲も描いています。


第4章 悠々自適な隠居暮らし―旅行三昧・趣味三昧の日々

「龍虎画賛」 双幅
仙005

虎図の画賛は

 猫乎(猫か)
 虎乎(虎か)
 将和唐内乎(まさに和唐内か)

和唐内は、近松門左衛門の浄瑠璃「国性爺合戦」の主役、和藤内のことです。
和藤内が、日本人でも中国人でもないとうそぶくことになぞらえて、猫でも虎でも
ないぞ、と言っています。
和唐内は、「わからない」とも読めるという洒落も入っています。

龍図の画賛は

 是何
 曰龍
 人大笑 吾亦大咲

これは何だと問われ、龍だと答えたら大笑いされ、自分も一緒に大笑いした。


第5章 愉快なり、友との日々―仙厓流ユーモアを育んだ面々

仙厓の交流を物語る書画の展示です。

「涅槃図」 斎藤秋圃筆 仙厓義梵、二川相近、斎藤愚連堂(凹)賛
仙厓img112 (6)

仙厓を釈迦に見立てた、俳画風の涅槃図です。
寝台の上には、仙厓さんが昼寝をするように、向こう向きに寝ています。
その周りには、菩薩や弟子ならぬ、近所の人たちが大勢集まって座っています。
雲に乗って駆け付ける摩耶夫人たち、寝台に手を延ばす老女、突っ伏す阿難も
ちゃんと描かれています。

仙厓img112 (1)

仙厓img112 (9)

仙厓img112 (7)

手前の、嘆き悲しむ動物たちがいる筈の場所には、仙厓の愛用した、茶碗、眼鏡、
団扇、筆、盆栽などや、好物だったという、大根、茄子、筍などが並んでいます。

仙厓img112 (8)

摩耶夫人が地上に投げ下ろし、木の枝に引っ掛かった薬袋の代わりに
描かれているのは藁苞(わらづと)に包まれた納豆のようです。

仙厓img112 (1)

仙厓の賛

  松か枝に
  垂れかけたくそか
  納豆汁

本来の涅槃図では、弟子や動物は釈迦の死を悼んで、嘆き悲しんでいますが、
こちらのおやじさん、おかみさんたちは、にこやかな顔です。
いかにも仙厓さんらしい、心の和む涅槃図です。

斎藤秋圃(1768~1859)は円山応挙に学んだ絵師で、秋月藩黒田家に
仕えたこともあり、晩年は太宰府の町に住んだということです。
二川相近(1767-1836)は福岡藩士で、書家、歌人でもあります。
斎藤愚連堂(凹)(生没年不詳)も福岡藩士で狂歌を学んでいます。


仙厓さんの絵はいつ見ても面白く、又はっと気付かされるところもあって、
見飽きることがありません。

展覧会のHPです。

次回の展覧会は「江戸絵画の文雅」展です。
会期は11月3日(土・祝)から12月16日(日)です。

img118.jpg

関連記事

【2018/10/06 17:43】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
please comment















管理者にだけ表示を許可する

trackback
trackback url ↓
http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/3663-35d2b585

プロフィール

chariot

Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム |