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「横山華山展」 東京ステーションギャラリー
東京
chariot

東京駅の東京ステーションギャラリーでは、「横山華山展」が開かれています。
会期は11月11日(日)まで、入館料は一般1000円です。
10月14日までの前期と16日からの後期で、かなりの展示替えがあります

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江戸時代後期に京都で活躍した絵師、横山華山(1781/1784~1837)の画業を
紹介する展覧会です。

横山華山は京都で西陣織業を営む横山家の分家の養子となっています。
横山家は曾我蕭白(1730~1781)を支援していたことから、蕭白の作品に触れ、
私淑しています。
狩野派を学んだ後、岸駒(1756/1749~1839)に師事し、円山四条派の影響も
受けています。

曾我蕭白 「蝦蟇仙人図」 ボストン美術館
横山華山 「蝦蟇仙人図」 個人蔵

蝦蟇仙人(がませんにん)は三本足のひきがえるを従えた仙人です。
蕭白の作品とそれを模写した作品が並んでいますが、華山は蕭白のえぐみを薄め、
柔らかくしています。
また、仙人とひきがえるのポーズを同じにして、ユーモラスな画面にしています。

横山華山 「寒山拾得図」 ボストン美術館
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寒山と拾得(じっとく)は唐時代の伝説的な風狂の僧で、禅画の題材として
よく描かれています。
巻物を読む寒山と箒を杖にして覗き込む拾得が墨の濃淡をはっきりさせた、
巧みな筆さばきで描かれています。
 
横山華山 「雪中烏図」(部分) 個人蔵
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縦長の掛軸の一部です。
雪の積もった枝に黒いからすが止まる寒々とした景色で、蕪村の鳶鴉図を
思わせます。

横山華山 「夕顔棚納涼図」 大英博物館
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久隅守景の「夕顔棚納涼図」と同じ画題で、さらりとした和やかな風情も同じです。
夕顔の柔らかな表現には呉春の影響が見られるそうです。

横山華山 「藤花図」 桑名市博物館
掛軸で、松平定信(1759~1829)と北村季文の賛があります。
松平定信の白河藩は定信の老中引退後に桑名に転封になっています。

横山華山 「虫干・土用干図」 個人蔵
前期の展示です。
縦長の掛軸で、女性が着物を干している向こうで、並んで掛けられている書画を
侍が鑑賞しています。
さらりとしてユーモラスです。

横山華山 「唐子図屏風」(左隻部分) 文政9(1826)年 個人蔵
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六曲一双の屏風で、右隻には遊び戯れる唐子(からこ)と、鶏、子犬、鰻などの動物と、
飛ぶ鳳凰が描かれています。
左隻は草花を集める唐子と鶴です。
唐子の顔には影を付けて立体感を出すなど、西洋画の影響も見られるそうです。

横山華山 「唐子遊戯図屏風」(部分) 個人蔵
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六曲一隻の屏風で、いたずら盛りの唐子たちを描いています。
虎の皮をかぶって走り回る子、居眠りしている子の顔に落書きしている子、
本を積み木にしている子など、やりたい放題です。
渡辺崋山の「一掃百態図」の寺子屋の場面を思い出します。


横山華山 「祇園祭礼図巻」(上巻部分) 天保6-8(1835-37)年 個人蔵
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上下合わせて約30mある長大な絵巻で、全部広げて展示されています。
上巻は山鉾や山車の運行を描き、すべての鉾、山車を実際に写生し、
細密に描き留めています。
右端の大船鉾から始まり、左端の長刀鉾まで、見所である街の角を曲がる辻回しも
描かれています。
下巻には神輿巡行や、現在は行なわれていない、祇園の芸妓が着飾って練り歩く
「祇園ねりもの」も描かれ、貴重な資料ともなっています。


横山華山 「紅花屏風」 文政8(1825)年 山形美術館
前期の展示です。
京都の紅花問屋が屏風祭のために注文した六曲一双の屏風です。
屏風祭は祇園祭の際に各家が屏風や調度を展示する催しです。
右隻
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関東武州(埼玉県)の情景とされています。
種蒔きから収穫、団子状の紅餅を作る工程が描かれています。
商人でしょうか、喧嘩している人たちもいます。

左隻
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奥州山形か宮城とされています。
加工から出荷の様子が描かれています。
紅花は最上川を下り、酒田の港から北前船に載って上方に向かいます。

現地で取材した、とても丁寧な描き振りの力作で、人物には影を付けて
立体感を出しています。

横山華山 「富士山図」 京都府
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「紅花屏風」の取材のため、東海道を旅した時に見た富士山を描いた作品と思われ、
様式的な三峰型ではなく、写実的です。
山の端に薄紅色が見え、夜明けの光景のようで、富士山の上半分には雪が
積もっています。
陰翳も描かれ、立体的で、西洋版画に似た趣きがあります。

横山華山 「宝船図」 天保8(1837)年 京都府
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崋山の亡くなる年に描かれた作品ですが、濃淡を強調した勢いのある筆遣いで、
活き活きとしています。

華山の弟子の作品も数点、展示されています。

小澤華嶽 「ちょうちょう踊図屏風」 細見美術館
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蝶々踊は天保10(1839)年の3~4月に京都で大流行した仮装踊りで、チョイチョイ踊り、
豊年踊りとも呼ばれています。
揃いの衣装や仮装姿で町人たちが踊り狂い、仮装も犬、蛙、カタツムリ、お化け、
大根、石灯籠、奴凧などさまざまです。
槍持ちを連れた武士も踊りに囲まれて困った顔をしています。
巧みな人物描写は師譲りです。


横山華山は明治大正時代までは有名だったということですが、現在はあまり
知られていません。
特定の画派に属さず、さまざまな画風で自由に描いていたため、かえって
美術史での分類から外れていったためではないかということです。
たしかに狩野派、円山四条派風から美人画まで、実に巧みな筆遣いで、
華山の画風を一言では言い難くしています。
同じくさまざまな画風で描いた伊藤若冲が最近になって再評価されたのと
似たところがあります。
個性が重視される近代では、技量の高さがそのまま評価にはつながらなく
なったようです。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「吉村芳生 超絶技巧を超えて」展です。
会期は11月23日(金・祝)から2019年1月20日(日)までです。

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【2018/10/02 19:32】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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