FC2ブログ
「ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ」展 パナソニック汐留ミュージアム
新橋
chariot

新橋のパナソニック汐留ミュージアムでは開館15周年特別展、「ジョルジュ・ルオー 
聖なる芸術とモデルニテ」展が開かれています。
会期は12月9日(日)まで、水曜日は休館日(但し11月21・28日、12月5日は開館)です。

img542.jpg


ジョルジュ・ルオー(1871-1958)における、聖なる芸術とモデルニテ(現代性)に
焦点を当てた展覧会ということで、作品約90点が展示されています。
宗教的主題の作品が中心で、ルオーの深い精神性、宗教性の伝わる展覧会です。

第1章 ミセレーレ -甦ったイコン

「ミセレーレ」とはラテン語で、「憐れみたまえ」という意味です。
父の死と第一次世界大戦を経験したルオーが制作した58点の銅版画集で、
そのうち12点が展示されています。
力強いモノクロで、深い悲しみと愛の感情が表れています。

「ミセレーレ 13 でも愛することができたなら、 なんと楽しいことだろう」 
 1923年 パナソニック汐留ミュージアム


ルオーimg176 (5)


「青い鳥は目を潰せばもっとよく歌うだろう」、 通称「青い鳥」
 1934年 油彩、グワッシュ、淡彩、透写紙 個人蔵

ルオーimg176 (3)

「ミセレーレ」に組み入れられる予定で、採用されなかった作品です。
「ナイチンゲール(小夜啼鳥)は目を潰すとよく歌う」という伝説に依っているとのことです。


第2章 聖顔と聖なる人物 -物言わぬサバルタン

サバルタンとは抑圧された人びとという意味です。

「聖顔」 油彩、グワッシュ、紙 1933年 ポンピドゥーセンター・パリ国立近代美術館
モ006

ゴルゴダの丘に曳き立てられて行くイエスに聖ヴェロニカがヴェールを差し出し、
イエスが顔を拭ったところ、そのヴェールにイエスの顔が映ったという逸話に
基いています。
額縁の様な枠の中に描かれた茨冠を被ったイエスは、棘の傷のため顔は血で赤く
染まり、大きく眼を見開いてこちらを見ています。

ルオーは1904年からキリストの顔(聖顔)を描き始め、特に1930年代に集中的に
描いています。

「ヴェロニカ」 油彩、麻布 1945年頃 ポンピドゥーセンター・パリ国立近代美術館
ルオーimg176 (6)

青色に囲まれ、十字を付けた布を被り、静かで優しい表情を浮かべています。

「我らがジャンヌ」 油彩、紙 1948-49年頃 個人蔵
モ002

旗を掲げ、馬上で昂然と顔を上げて進むジャンヌ・ダルクを
縦横の線を強調した画面で描いています。
ジャンヌ・ダルクは抑圧への抵抗の象徴でもあります。

ジョルジュ・ルオー 「マドレーヌ」
 油彩、紙 1956年 パナソニック汐留ミュージアム

マティス0_1

ルオー最晩年の作品で、サーカスの女道化師を描いています。
マドレーヌはマグダラのマリアのフランス名で、晩年のルオーは聖書の人物を
題名にすることが多いようです。

「サラ」 油彩、紙 1956年 ジョルジュ・ルオー財団
ルオーimg176 (4)

最晩年の作品で、アーチで囲まれ、ステンドグラスのように輝いています。
サラは旧約聖書のアブラハムの妻ですが、ルオーの死後、慣例的に
この名で呼ばれています。


第3章 パッション[受難] -受肉するマチエール

「受難(エッケ・ホモ)」 油彩、麻布 1947‒1949年 
 パリ国立近代美術館・ポンピドゥー・センター

ルオーimg176 (7)

新約聖書のヨハネ福音書にある一場面で、裁判にかけられるイエスをローマ総督
ポンテオ・ピラトが「エッケ・ホモ(この人を見よ)」と言って群衆に指し示します。
イエスはマタイ福音書の通り、茨の冠をかぶり、赤い衣を着せられ、王笏の代わりに
葦の棒を持たされています。
その表情は深く静かで、自らの苦難を引き受けています。

特別セクション

ルオーはステンドグラスやタピスリーなどの装飾的な作品も手掛けています。

「聖心」 七宝、銅 1951年 ヴァチカン美術館
ルオーimg176 (8)

七宝による縦24cmの小さな作品で、イエス・キリストの愛の象徴である聖なる心臓
(サクレ・クール)をかたどっています。
元は聖櫃の扉装飾で、ルオーの下絵に基いて制作されています。

こちらの作品は撮影可能です。

「飾りの花」 1947年 油彩、紙 個人蔵
ルIMG_0046

ルオーはタピスリーの原画として花の絵を描いたことから、1930年以降、
花の絵をよく描いています。

「飾りの花」 1947年 油彩、紙 パナソニック汐留ミュージアム
ルIMG_0060

「盛り花 I」 ステンドグラス 1949年 ジョルジュ・ルオー財団
ルIMG_0049


床にはステンドグラスからの光が映っています。

ルIMG_0066


「キリスト十字架像(ルオーにより着彩)」 
 17世紀 木彫、着彩 清春白樺美術館

ルIMG_0058

ルオーが気に入って入手し、着彩して毎日祈りを捧げていたそうです。
ルオーの娘イザベルが山梨県の清春芸術村にルオーに捧げる礼拝堂が
建立されるのを聞き、寄贈したものです。


第4章 聖書の風景 -未完のユートピア

「キリストと漁夫たち」 油彩、厚紙 1947年頃 汐留ミュージアム蔵
ルオー007

夕暮れの水辺の風景ですが、キリストも描かれていて、聖書によく出てくる
キリストと漁夫の話の場面になっています。
空と水の青色が深い精神性を表わしています。


「秋 または ナザレット」 油彩、紙 1948年 ヴァチカン美術館
ルオーimg176 (2)

ルオーが1957年にローマ教皇ピウス12世に贈った作品で、ナザレット(ナザレ)は
イエスの育った所です。
穏やかな景色の中に母子が立ち、奥にはイエス・キリストのような人物も見えます。


ルオーギャラリーにはいつもルオーの作品、数点が展示されていて、新収蔵品もありました。

「夜の風景 または よきサマリヤ人」 木炭、水彩、パステル、紙 1897年

初期の作品で、大きな暗い画面の中にかすかに建物や灯火が見えます。
どこがよきサマリヤ人なのか分かりませんが、重く凄味のある絵で、
ルオーの力量を感じます。


展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「子どものための建築と空間展」です。

会期は2019年1月12日(土)から3月24日(日)までです。




関連記事

【2018/10/13 22:32】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
please comment















管理者にだけ表示を許可する

trackback
trackback url ↓
http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/3679-c0101597

プロフィール

chariot

Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム |