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「ルーベンス展―バロックの誕生」 国立西洋美術館
上野
chariot

上野の国立西洋美術館では、「ルーベンス展―バロックの誕生」が開かれています。
会期は2019年1月20日(日)までです。

ルーベンスimg235 (1)


バロック絵画の大家、ペーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)について、
イタリアとの関係に焦点を当てた展覧会です。

ルーベンス 「眠るふたりの子供たち」 1612-1613年頃 
 日本、国立西洋美術館

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兄フィリプスの子を描いたものとされていて、西洋美術館の平常展示で
よく観ることが出来ます。
頬っぺたも赤く丸々と可愛い子供たちです。

「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」 1615-16年 
ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション

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5歳の長女の肖像です。
愛らしく利発な表情を見事に描き出しています。


ルーベンスはアントワープで育ち、画家となっていますが、1600年から1608にかけて
イタリア各地で過ごし、古代とルネサンスの芸術に接しています。
帰国後はスペイン・ハプスブルク家に外交官としても重用され、マドリードに滞在し、
外交使節としてイギリスを訪れてもいます。
スペインでは宮廷画家だったディエゴ・ベラスケス(1599-1660)と親交を結んでいます。


「毛皮を着た若い女性像」 1629-30年頃
 ブリスベン、クィーンズランド美術館
 
ル004
 
ティツィアーノの作品の模写で、ルーベンスがスペインの外交使節として
イギリスに滞在中に描いたものです。
ルーベンスは古典古代の芸術やティツィアーノなどのルネサンス芸術に傾倒し、
その影響を深く受けています。
またカラヴァッジョなど同時代の芸術も学んでいます。

「パエトンの墜落」 1604-05 年頃、おそらく1606-08 年頃に再制作
ワシントン、ナショナル・ギャラリー

ルーベンスimg235 (3)

パエトンはギリシャ神話の登場人物で、父の太陽神アポロンの馬車を駆りますが、
暴走させてしまい、世界中が大火災となります。
そこで、最高神ユピテルに雷を落とされ、死んでしまいます。
パエトンは跳ね狂った4頭立ての馬車から振り落とされ、蝶の羽を着けた女神たちは
恐れおののいています。
斜めに差す光が動きを誘う、ルーベンスらしいダイナミックな作品です。

「エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち」 1615-16 年
ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション

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ギリシャ神話のお話で、女神アテナ(あるいは地母神ガイア)は後にアテナイ王となる
赤ん坊のエリクトニオスを箱に入れて、アテナイ王ケクロプスの娘たちに預けます。
しかし、娘たちはアテナの言い付けを破って箱の中を見たため、死んでしまいます。
幼年、成年、老年の3者が一つの画面に描かれ、右上には地母神をかたどった
噴水もあります。

「マルスとレア・シルウィア」 1616-17年
ファドゥーツ/ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション

ルーベンスimg240 (2)

軍神マルスが女神ウェスタに仕える巫女のレア・シルウィアに迫る場面です。
二人の間の子がローマを建国したとされる双子の兄弟、ロムルスとレムスです。
マルスが兜を脱いでいるのは戦いの停止、すなわち平和の到来も意味するそうです。
ネーデルランドの独立戦争で、スペインとの一時的停戦条約が結ばれていた時期の
作品で、平和への強い思いもあったのでしょう。
この作品もエリクトニオスの絵も、ギリシャ・ローマというヨーロッパの始まりにまつわる
伝説を題材にしています。

「聖アンデレの殉教」 1638-39年 マドリード、ルロス・デ・アンベレス財団
ルーベンスimg240 (1)

ルーベンスが晩年、最後に制作したとされる宗教画の大作で、展覧会で一番印象に
残った作品です。
聖アンデレはイエスの十二使徒のひとりで、ギリシャのアカイアで殉教したと
伝えられています。
ローマ総督アイケアデスによってX字型の十字架に掛けられたアンデレは2日の間、
集まった2万人の人びとに教えを説きます。
人びとの怒りを恐れたアイケアデスはアンデレを十字架から降ろそうとしますが、
アンデレは生きたままでは降りないとして、それを拒みます。
すると天から光が差して、アンデレの霊は天に召されます。
両腕を上に伸ばしたアンドレイ、馬上の総督、キリスト教に改宗した総督の妻、
月桂冠と棕櫚の葉を持って舞い降りる天使が描かれています。
光と影を強調し、十字架のX字を巧みに使った、躍動的で見事な画面で、精神性も
感じられ、バロックを象徴する作品といえます。

バロック絵画はプロテスタントの興隆に対する、カトリック側の対抗宗教改革の
一環として始まったとされています。
ルーベンスが育ち、工房を構えたネーデルランドに独立戦争が起きたのも
この宗教対立がきっかけです。

会場にはルーベンスが影響を受け、制作の参考にしたとされる古代彫刻も
展示され、ルーベンスがどれほど古典古代やルネサンスに傾倒し、影響を受けたか
解説されています。
ルーベンスというと、歴史画・宗教画が中心で、その表現には大げさと感じることも
ありますが、やはりその力量は圧倒的で、感心してしまいます。

展覧会のHPです。

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【2018/10/25 19:57】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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