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「全員巨匠! フィリップス・コレクション展」 三菱一号館美術館
東京
chariot

三菱一号館美術館では「全員巨匠! フィリップス・コレクション展」が開かれています。
会期は2019年2月11日(月・祝)までです。

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フィリップス・コレクションは鉄鋼業の創業者の孫であるダンカン・フィリップス
(1886-1966)と妻のマージョリー(1894-1985)の収集した、ヨーロッパ美術や
近代アメリカ美術のコレクションです。、
1921年にワシントンの私邸を使って開館し、現在4000点以上の作品を所蔵しています。

展覧会ではシャルダンに始まり、ドラクロワ、コロ―、印象派からピカソ、ブラックまで、
75点が展示されています。

ジャン・シメオン・シャルダン 「プラムを盛った鉢と桃、水差し」 1728年頃
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展覧会の中で最も古い作品で、清朝の磁器に当たる光は優しく、実に好ましい絵です。
シャルダンは影を右側に置き、対称的に背景は左側を暗くして、全体の明暗を
際立たせる技法をよく使っています。

2012年には同じ三菱一号館美術館で、「シャルダン展」が開かれていました。
「シャルダン展」の記事です。

フランシスコ・デ・ゴヤ 「聖ペテロの悔恨」 1820-24年頃
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捕えられたイエスの弟子ではないかととがめられたペテロが、三度もそれを否定し
(ペテロの否認)、それを後悔している場面です。
三角形の構図で、ペテロは天を仰ぎ、手許にはペテロの象徴である、天国の鍵が
置かれています。

ドミニク・アングル 「水浴の女(小)」 1826年
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小品で、アングル(1780-1867)がローマに留学中に描いた、「ヴァルパンソンの浴女」
(1808)と同じ絵柄ですが、背景に小さく何人かの人物像が描き込まれています。
新古典派のリーダーの作風を表した、優美な後ろ姿です。

カミーユ・コロー 「ローマのファルネーゼ庭園からの眺め」 1826年
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小品で、最初のイタリア旅行の時の作品です。
明るい陽射しの中の風景をきっちりと描き留めています。
ファルネーゼ庭園はローマのパラティーノの丘にある庭園です。

オノレ・ドーミエ 「蜂起」 1848年以降
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1848年のフランスの二月革命を題材にしていると思われます。
オノレ・ドーミエ(1808-1879)は社会風刺の版画で有名ですが、油彩画も
多く描いています。
フィリップスは最も早い時期にドーミエを擁護したアメリカ人の一人ということですが、
ドーミエとブルジョワに属するフィリップスの組合せはちょっと意外でした。

クロード・モネ 「ヴェトゥイユへの道」 1879年
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ヴェトゥイユはパリの北西にあるセーヌ川沿いの町です。
モネは1878年にアルジャントゥイユから引っ越し、同じ場所を景色や時間を変えて
連作していて、この絵では木の長い影が道路を横切っています。

エドガー・ドガ 「稽古する踊り子」 1880年代はじめ – 1900年頃
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パステル画のような色調の油彩画で、赤い壁に水色の衣装が映えています。
腕の描き直しもそのままに残しています。

ジョルジュ・スーラ 「石割り人夫」 1882年
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画業の短いジョルジュ・スーラ(1859-1891)の初期には、体をかがめて作業する
労働者をよく描いています。
小品で、まだ点描にはなっていませんが、光を意識しています。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「道路工夫」 1889年
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サン=レミの精神病院に入院中に、外出して描いた作品の一つです。
通りのプラタナスの並木は誇張され、幹も枝もうねっています。

ポール・ゴーガン 「ハム」 1889年
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ゴーガンにしては珍しい静物画です。

ピエール・ボナール 「犬を抱く女」 1922年
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犬を抱いているマルトで、動物好きのボナールはよく犬や猫を描いています。
縦長の画面で、対象も縦に揃っています。
フィリップスが1925年に見て気に入り、購入した作品です。
以後、フィリップスはボナールの後援者になり、1930年にはアメリカの美術館での
最初の個展を開いています。
ボナールの作品は4点、展示されています。

ピエール・ボナール 「棕櫚の木」 1926年
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南仏のル・カネに買った家で描いた作品で、浮世絵風に画面上を棕櫚の葉が覆い、
手前にはマルトが居ます。
おだやかな色調と筆致で明るい南仏の気分を表しています。

ハインリヒ・カンペンドンク 「村の大通り」 1919年頃
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ハインリヒ・カンペンドンク (1889 – 1957)はドイツの画家で、カンディンスキーや
フランツ・マルクの「青騎士」に参加しています。
シャガールのようなプリミティブで幻想的な作風の画家で、フランツ・マルクの
動物画の影響を受け、動物もよく描いています。

オスカー・ココシュカ 「クールマイヨールとダン・デュ・ジェアン」 1927年
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イタリア旅行中の作品で、クールマイヨールはモンブランのイタリア側の山麓にあり、
ダン・デュ・ジェアンはモンブラン山系の一部です。
オスカー・ココシュカ(1886-1980)はウィーン生まれで、表現主義の画家とされていますが、
風景画には有無を言わさぬ迫力があります。

アンリ・マティス 「サン=ミシェル河岸のアトリエ」 1916年
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窓の景色、額入りの絵、テーブル、椅子、貼紙などを入れ込み、にぎやかで、
ベッドの赤が目を惹きます。
窓の向こうにはサン=ミシェル橋も見えます。

パブロ・ピカソ 「緑の帽子をかぶった女」 1939年
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愛人だったドラ・マールがモデルです。
「泣く女」のモデルにもなった女性ですが、この絵はあっさりと描かれて静かです。
ピカソの作品は4点、展示されています。

ジョルジュ・ブラック 「驟雨」 1952年
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キュビスムの画家として有名ですが、晩年の作品で、ポップな雰囲気です。
にわか雨を線で表すところは浮世絵の影響でしょうか。
フィリップスはブラックを気に入っていたということで、ブラックの作品は7点、
展示されています。

アルベルト・ジャコメッティ 「モニュメンタルな頭部」 1960年
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彫刻作品も何点か展示されています。
フィリップスはジャコメッティを高く評価し、購入後に展覧会を開いたそうです。

他にもドラクロワ、クールベ、セザンヌ、カンディンスキー、クレー、スーティンなど、
数多くの作家の作品が展示されていて、そのコレクションの豊富さには驚きます。
作品や作家についてのダンカン・フィリップスのコメントも掲示されており、
フィリップス夫妻の審美眼の確かさを示しています。

展覧会のHPです。

2011年には国立新美術館で「モダン・アート,アメリカン-珠玉のフィリップス
・コレクション」展が開かれました。
それまで、アメリカの近現代絵画をまとめて観る機会が無かったので、とても
興味深い展覧会でした。

「モダン・アート,アメリカン-珠玉のフィリップス・コレクション」展の記事です。


次回の展覧会は「ラスキン生誕200年記念 ラファエル前派の軌跡展」です。
会期は2019年3月14日(木)から6月9日(日)です。

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【2018/11/15 19:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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