上野
上野の東京都美術館では「クリムト展 ウィーンと日本1900」が開かれています。
会期は7月10日(水)までです。
19世紀末を中心にウィーンで活躍したグスタフ・クリムト(1862-1918)の没後100年を
記念しての展覧会です。
展示は初期のアカデミックな習作から始まっていて、クリムトが基礎をしっかり
学んでいたことを示しています。
「ヘレーネ・クリムトの肖像」 1898年 個人蔵(ベルン美術館寄託)
弟のエルンストが早くに亡くなっており、クリムトはその娘のヘレーネを養育しています。
ヘレーネが6歳の時の肖像で、顔や髪は細密に描かれています。
真横から見た構図は、クリムトが結成したウィーン分離派に出展したベルギーの
フェルナン・クロップフの影響を受けたものということですが、ルネッサンス絵画の
ようでもあります。
首を少し前に傾けることで幼さを表しています。
ウィーン分離派は当時のウィーンの保守的な美術界に対抗して、1897年に
クリムトたちが結成したグループです。
「ユディトⅠ」 1901年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
旧約聖書外典にあるお話で、ユディトはアッシリア軍が町に攻めてきた時に、
その将軍ホロフェルネスを誘惑し、泥酔している隙にその首を獲って町を救っています。
クリムトの代表作の一つで、初めて金箔を使った装飾的な作品です。
当時は日本趣味の流行した時代で、特にクリムトは強い影響を受けています。
額縁もクリムトがデザインし、弟で金属工芸家のゲオルクが制作しています。
JVDiTH VND HOLOFERNESと書かれていて、古いラテン語風にUとVを同じ文字に
しています。
「オイゲニア・プリマフェージの肖像」 1913/1914年 豊田市美術館
モデルはパトロンで銀行家のオットー・プリマフェージの妻です。
瞳の緑、頬の紅が画面全体に広がり、きらびやかで装飾性満点の肖像画です。
右上に描かれているのは鳳凰だそうです。
クリムトは肖像画を数多く手掛けていますが、自画像は描いていません。
「赤子(ゆりかご)」 1917/1918年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
ピラミッドのように重ねたさまざまな衣類の先をたどっていくと赤ちゃんの顔がある、
迫力いっぱいの画面構成です。
「アッター湖畔のカンマー城III」 1909/1910年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
アッター湖はザルツブルクの東にある湖で、カンマー城はその北岸にあります。
点描を使い、水面と樹木、建物で画面を埋め、空を見せておらず、平面的な画面です。
クリムトは風景画も描いていますが、気分転換の意味もあったそうです。
「ベートーヴェン・フリーズ 正面の壁「敵意に満ちた力」」
1901-1902年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
1984年の原寸大複製です。
ベートーヴェンを主題にした、1901年の第14回ウィーン分離派展示会のために
描かれた壁画です。
縦約2m、横約34mの大作で、第9交響曲に基いて描かれ、3面に分かれており、
左は「幸福への憧れ」、正面は「敵対する勢力」、右は「歓喜の歌」となっています。
ゴリラのような動物はギリシャ神話に出てくるテュフォンという怪物で、神々の王
ゼウスとも壮絶に戦っています。
左側の3人はギリシャ神話の怪物、ゴルゴン姉妹で、髪の毛は生きた蛇です。
何ともおどろおどろしい画面で、第9の中にこんな情景はあっただろうかと思います。
「右の壁「歓喜の歌」」
コーラスが歓喜の歌を歌い上げる前で男女が抱擁しています。
金をふんだんに使った、装飾美の極致のような画面です。
きわめてアクの強い表現ですが、装飾性も存分に生かされた印象深い壁画で、
見応えがあります。
日本でもなじみの深いクリムトの魅力をたっぷり味わえる展覧会です。
展覧会のHPです。
chariot
上野の東京都美術館では「クリムト展 ウィーンと日本1900」が開かれています。
会期は7月10日(水)までです。
19世紀末を中心にウィーンで活躍したグスタフ・クリムト(1862-1918)の没後100年を
記念しての展覧会です。
展示は初期のアカデミックな習作から始まっていて、クリムトが基礎をしっかり
学んでいたことを示しています。
「ヘレーネ・クリムトの肖像」 1898年 個人蔵(ベルン美術館寄託)
弟のエルンストが早くに亡くなっており、クリムトはその娘のヘレーネを養育しています。
ヘレーネが6歳の時の肖像で、顔や髪は細密に描かれています。
真横から見た構図は、クリムトが結成したウィーン分離派に出展したベルギーの
フェルナン・クロップフの影響を受けたものということですが、ルネッサンス絵画の
ようでもあります。
首を少し前に傾けることで幼さを表しています。
ウィーン分離派は当時のウィーンの保守的な美術界に対抗して、1897年に
クリムトたちが結成したグループです。
「ユディトⅠ」 1901年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
旧約聖書外典にあるお話で、ユディトはアッシリア軍が町に攻めてきた時に、
その将軍ホロフェルネスを誘惑し、泥酔している隙にその首を獲って町を救っています。
クリムトの代表作の一つで、初めて金箔を使った装飾的な作品です。
当時は日本趣味の流行した時代で、特にクリムトは強い影響を受けています。
額縁もクリムトがデザインし、弟で金属工芸家のゲオルクが制作しています。
JVDiTH VND HOLOFERNESと書かれていて、古いラテン語風にUとVを同じ文字に
しています。
「オイゲニア・プリマフェージの肖像」 1913/1914年 豊田市美術館
モデルはパトロンで銀行家のオットー・プリマフェージの妻です。
瞳の緑、頬の紅が画面全体に広がり、きらびやかで装飾性満点の肖像画です。
右上に描かれているのは鳳凰だそうです。
クリムトは肖像画を数多く手掛けていますが、自画像は描いていません。
「赤子(ゆりかご)」 1917/1918年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
ピラミッドのように重ねたさまざまな衣類の先をたどっていくと赤ちゃんの顔がある、
迫力いっぱいの画面構成です。
「アッター湖畔のカンマー城III」 1909/1910年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
アッター湖はザルツブルクの東にある湖で、カンマー城はその北岸にあります。
点描を使い、水面と樹木、建物で画面を埋め、空を見せておらず、平面的な画面です。
クリムトは風景画も描いていますが、気分転換の意味もあったそうです。
「ベートーヴェン・フリーズ 正面の壁「敵意に満ちた力」」
1901-1902年 ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
1984年の原寸大複製です。
ベートーヴェンを主題にした、1901年の第14回ウィーン分離派展示会のために
描かれた壁画です。
縦約2m、横約34mの大作で、第9交響曲に基いて描かれ、3面に分かれており、
左は「幸福への憧れ」、正面は「敵対する勢力」、右は「歓喜の歌」となっています。
ゴリラのような動物はギリシャ神話に出てくるテュフォンという怪物で、神々の王
ゼウスとも壮絶に戦っています。
左側の3人はギリシャ神話の怪物、ゴルゴン姉妹で、髪の毛は生きた蛇です。
何ともおどろおどろしい画面で、第9の中にこんな情景はあっただろうかと思います。
「右の壁「歓喜の歌」」
コーラスが歓喜の歌を歌い上げる前で男女が抱擁しています。
金をふんだんに使った、装飾美の極致のような画面です。
きわめてアクの強い表現ですが、装飾性も存分に生かされた印象深い壁画で、
見応えがあります。
日本でもなじみの深いクリムトの魅力をたっぷり味わえる展覧会です。
展覧会のHPです。
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クリムトは銀行家の家系、
ハプスブルク家最後の皇帝のフランツヨーゼフ一世にも授与されましたっけ。
フランツヨーゼフの時代、この時代ヨハンシュトラウスも宮廷音楽家で
世紀末に行きたいです♪
絵描き支援してたのがユダヤ人で
最後の皇
弟は金細工師でクリムトの額縁作ってましたっけ。
ユダヤ人のスポンサーの妻「アデーレ」の絵が有名。
「金のアデーレ」
名作で大好きです。
水蛇も好きです。金の装飾美術としての額縁(弟作)の
素晴らしさといい・・・
ゴールドの美術品の最高峰だと思います。
私も金箔アート作りたい・・・。
大阪の国際美術館でも
今からクリムト来るので
久しぶりに楽しみです
国立国際美術館は
レセプションパーティに招待されていったっきりなので
好きな画家クリムトみにいきます♪
前期に行こうと思ってた
ルソーの豹の絵はみそこねましたし・・・。
ハプスブルク家最後の皇帝のフランツヨーゼフ一世にも授与されましたっけ。
フランツヨーゼフの時代、この時代ヨハンシュトラウスも宮廷音楽家で
世紀末に行きたいです♪
絵描き支援してたのがユダヤ人で
最後の皇
弟は金細工師でクリムトの額縁作ってましたっけ。
ユダヤ人のスポンサーの妻「アデーレ」の絵が有名。
「金のアデーレ」
名作で大好きです。
水蛇も好きです。金の装飾美術としての額縁(弟作)の
素晴らしさといい・・・
ゴールドの美術品の最高峰だと思います。
私も金箔アート作りたい・・・。
大阪の国際美術館でも
今からクリムト来るので
久しぶりに楽しみです
国立国際美術館は
レセプションパーティに招待されていったっきりなので
好きな画家クリムトみにいきます♪
前期に行こうと思ってた
ルソーの豹の絵はみそこねましたし・・・。
モデルの女性は黒髪なので、たしかに日本人に似た雰囲気もあります。
絵の中に知った人に似た人を見つけると、親近感が湧きます。
絵の中に知った人に似た人を見つけると、親近感が湧きます。
クリムトの金を使った装飾性は他の画家には見られない特徴で、素晴らしいものがあります。
写実的に描かれた顔との取り合わせに、東洋と西洋との出会いを感じます。