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「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」 東京国立博物館
上野
chariot

上野の東京国立博物館では特別展、「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から
光琳、北斎まで―」が開かれています。
本館 特別5室・特別4室・特別2室・特別1室での展示で、会期は6月2日(日)までです。

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「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』―皇室の至宝・国宝プロジェクト―」の一環として
開催する特別展で、文化庁、宮内庁三の丸尚蔵館、東京国立博物館の所蔵する
日本美術の名品が展示されています。

「元暦校本万葉集 巻一(古河本)」 平安時代・11世紀 東京国立博物館 国宝
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巻二十に元暦元年(1184)の校合との記載があることからこの名が付いています。
万葉仮名と平仮名の両方で書かれています。

中皇命徃于紀温泉之時御歌

 きみがよもわがよもしるやいはしろのおかのくさねをいざむすびてな

「寛平御時后宮歌合(十巻本)」 平安時代・11世紀 東京国立博物館 国宝
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46の歌合を10巻本にまとめた草稿のうちの第4巻、寛平御時后宮歌合
(かんぴょうのおんとききさいのみやうたあわせ)を書写したものと思われます。
寛平御時后宮歌合は寛平初年(889年)頃に、宇多天皇の母后班子女王の邸で
催された歌合です。
写真は2014年の平常展に展示されていた時のものです。

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冒頭は紀友則の歌です。

 花の香を風のたよりにたぐへてぞ鶯さそふふしるべにはやる

「更級日記」 藤原定家筆 鎌倉時代・13世紀 宮内庁三の丸尚蔵館
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更級日記は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ、1008 -1059以降?)の書いた
回想録で、藤原定家特有の書風で書かれています。
藤原定家は王朝文化を残すため、多くの写本を記しており、更級日記の写本はすべて
定家の写本が元になっています。

 ところどころかたるをきくにいとどゆかしさまされどわがおもふままに

「浜松図屏風」(左隻) 室町時代・15世紀 文化庁 重要文化財
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一面に松の緑が広がり、右隻は春と夏、左隻は秋と冬の景色を描いています。
秋の紅葉、冬の雪山も見えます。

「秋冬山水図」 雪舟等楊 室町時代・15世紀末~16世紀初  東京国立博物館 国宝
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漢画特有のくっきりした描き方で、近くの岩や遠くの山は平面を前後に並べた
ように見えます。

「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館 国宝
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元は八条宮家(後の桂宮家)の襖絵で、引き手の跡がうっすらと残っています。
八条宮智仁親王(1579-1629)は後陽成天皇の弟で、豊臣秀吉の猶子となった後、
秀吉の援助で八条宮家を創設し、御殿も造営しています。
その御殿のための襖絵と思われ、狩野永徳の工房が手掛けています。
永徳最晩年の作で、桃山らしい豪快な筆捌きによってぐいぐい描いてあります。

「四季草花図屏風」 伝狩野永徳 安土桃山時代・16世紀 宮内庁三の丸尚蔵館
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こちらも八条宮家(後の桂宮家)に伝わった屏風で、「檜図屏風」と同じ時期に
狩野永徳の工房によって制作されたと思われ、芍薬、菊、竜胆、百合などが
描かれています。

「唐獅子図屛風」 宮内庁三の丸尚蔵館
[右隻]狩野永徳 安土桃山時代・16世紀
[左隻]狩野常信 江戸時代・17世紀

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右隻は狩野永徳作で、安土桃山時代の代表作です。
元は毛利家の所蔵で、豊臣秀吉から贈られた品との説もあります。
見上げるばかりの大きな屏風で 、二頭の獅子は力強く地面を踏みしめ、
顔も恐ろしげで威圧感に満ちています。

左隻は曽孫の狩野常信作で、江戸時代の作品です。
右隻に合わせて描かれたとのことですが、時はすでに泰平の世、雰囲気も
かなり変わってきます。
右隻の獅子の子供ということでしょうか、軽やかで、顔もユーモラスな表情です。

「芦穂蒔絵鞍鐙」 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館 重要文化財 
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豊臣秀吉所用とされ、高蒔絵が施された豪華な鞍鐙です。
写真は2014年の平常展に展示されていた時のものです。

「色絵牡丹図水指」 野々村仁清 江戸時代・17世紀 東京国立博物館
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金彩もふんだんに用いて、何とも色鮮やかな、いかにも京焼らしい作品です。
絵柄が永平寺伝来の狩野探幽筆、四季花鳥図に似ているそうで、狩野探幽や
弟の安信は仁清の陶器に絵付けをしたという記録もあるそうです。
明治41年(1908)に昭憲皇太后より帝室博物館に下賜されています。

「色絵若松図茶壺」 野々村仁清 江戸時代・17世紀 文化庁 重要文化財
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艶やかな漆黒の背景に金彩の山の連なり、松や椿などを描いた、鮮やかな作です。
丸亀藩京極家の旧蔵です。

「納涼図屏風」 久隅守景 江戸時代・17世紀 東京国立博物館 国宝
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久隅守景の代表作で、月夜の夕顔棚の下で涼む家族のおだやかな情景です。
淡く着色され、月は、輪郭に沿って外側を墨で塗る外隈(そとくま)という技法に
拠っています。
四季農耕図の一場面のような情景で、棚にぶら下がっている瓢箪がユーモラスな
味わいを見せています。
これは守景自身と娘の雪信、息子の彦十郎を描いた、家族の肖像ではないかとも
言われています。

「伊勢物語八橋図」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
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伊勢物語の東下りの一節です。
三河の国の八橋というところで、かきつばたの咲いているのを見て、在原業平とされる
人物が「か き つ ば た」を詠み込んだ和歌を詠じている場面です。

  から衣 着つつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ

食事の膳を前に置いた男たちの眺めているのは、咲き乱れるかきつばたの群れでしょう。
八橋の橋板も見えます。

「八橋図」 尾形乾山 江戸時代・18世紀 文化庁 重要文化財
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同じく、伊勢物語の三河の国の水辺の八橋に咲くカキツバタを歌に詠み込んだ
お話を描いています。
絵巻物の一部のようで、軽い筆さばきに味わいがあります。

「牡丹孔雀図」 円山応挙 安永5年(1776) 宮内庁三の丸尚蔵館
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豪華な作品で、羽根の艶、首や銅の立体感も表現され、優れた技量を示しています。
応挙は孔雀図を何点か描いています。

「花鳥遊魚図巻」(部分) 長沢芦雪 江戸時代・18世紀 文化庁
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11mの長い絵巻で、薔薇、雀、啄木鳥、山桜、鮎、鯉、亀、鯰、藤などが描かれています。
師の円山応挙譲りの可愛い子犬たちもいます。

 「新緑杜鵑図」 与謝蕪村 江戸時代・18世紀 文化庁 重要文化財
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広々とした新緑の木々の上をホトトギスが飛ぶ、気持ちの良い絵です。
木の葉は池大雅風の点描です。

「玄圃瑤華 花菖蒲・棕櫚」 伊藤若冲自画・自刻 
 江戸時代・明和5年(1768) 東京国立博物館

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玄圃は仙人の居所、瑤華は玉のように美しい花という意味です。
版木に紙を当て、その上から墨を打つ、拓本に似た拓版画という技法に拠っており、
版木も自ら彫っています。
草花と虫などを組合わせた48図で、写実性は動植綵絵に通じるものがあります。

 「西瓜図」 葛飾北斎 天保10年(1839) 宮内庁三の丸尚蔵館
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北斎80歳の作ですが、不思議な雰囲気の絵です。
長く剥かれた西瓜の皮が吊り下げられ、半分に切られた西瓜には紙が被せられ、
包丁が載っています。
包丁は輪郭線を使わずに描かれ、西洋画に倣っているそうです。
なぜこのような絵を描いたのかは分かっていませんが、七夕の飾りを模したもの
という説があります。
七夕では五色の糸を飾り、タライに水を張って牽牛星と織女星を映すので、
その形に似せているのではないかとのことです。

「舞妓」 明治26年(1893) 東京国立博物館
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モデルは舞妓の「小ゑん」で、女中は「まめどん」と呼ばれていたそうです。
青を基調にしていて、この作品も逆光を使い、鴨川に反射する光も取り入れています。
全体に印象の強い作品で、頬に光の当たった小ゑんの表情には張りがあり、
活き活きとしています。
まめどんは半身が画面の枠で切れていますが、これは印象派の手法によるそうです。
もっとも印象派も広重などの浮世絵からこの手法を学んでいます。

「龍蛟躍四溟」 横山大観 昭和11年(1936) 宮内庁三の丸尚蔵館
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六曲一双の屏風に、雲間に躍る龍を配した作品で、躍動感にあふれ、墨の色にも
深味のある傑作です。
帝展に出品の後、大観自ら皇室に献上しています。
漢詩の楽府詩集の一節が書かれています。

風雲馳九域 龍蛟躍四溟


各時代の名品の揃った展示で、これだけの作品を一度に観る機会はなかなかありません。
会期が短いのがもったいない展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の特別展は「三国志展」です。
会期は7月9日(火)から9月16日(月・祝)までです。

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【2019/05/16 19:41】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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