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「生誕125年記念 速水御舟」 広尾 山種美術館
恵比寿
chariot

広尾の山種美術館では開館10周年記念特別展、「生誕125年記念 速水御舟」が
開かれています。
会期は8月4日(日)までです。

速水img950 (1)


速水御舟(1894―1935)の作品を国内外で最も多く所蔵する山種美術館では
過去にも何回か速水御舟展を開いていますが、
今回の展覧会では前期後期に分け、所蔵する全作品120点が展示されています。
ともに重要文化財の「炎舞」と、「名樹散椿」(7月7日までの展示)も3年振りの
同時展示となります。

「錦木」 1913年
速水img950 (3)

初期の作品で、能などで知られる、秋田の錦木伝説を題材にしています。
若者が求婚の印である錦木(5種の木の枝)を恋する人の家の門に立てているところです。

  錦木はたてなからこそ朽にけれけふの細布むねあはしとや  能因法師

「春昼」 1924年
速水img950 (5)

埼玉県片山村(現・新座市)に住んだ頃の作品です。
農家の廂に拵えた鳩の巣に鳩が集まり、あわあわとした春の日の風情に満ちています。

速水御舟 「百舌巣」 1925年
御舟002

モズの雛を描いていて、宋画の雰囲気があり、緊張感と一種の凄味を感じます。

「桃花」 1923年
速水img950 (4)

長女の初節句のために描かれた作品です。
宋時代の院体画風の描き方で、落款も痩金体という、徽宗の作り出した
細くて硬い書体になっています。

「紅梅・白梅」 1929年
速水img950 (2)

まだ早春の冷気の残る夜に咲く梅の花です。

  春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる 凡河内躬恒

「牡丹花(墨牡丹)」 1934年 
御舟2

描線を使わず、墨のにじみによって花弁を描き出しています。
墨色でありながら、華やかです。


「あけぼの・春の宵のうち あけぼの」 1934年
速10-9-2009_005

淡青色または白群青色の朝鮮色紙に描かれているそうです。
小品で、薄紅の空を背景に、真横に伸びた柳の枝が上に立ち上がり、
更に滝のように垂れ下がっています。
烏が枝に止まって、その空を見上げています。
春も浅いのでしょう、柳はまだ葉を付けていません。

「あけぼの・春の宵のうち 春の宵」 1934年
速10-9-2009_006

淡紅色の朝鮮色紙に描かれているそうです。
薄墨色の夜のなかで、斜めに伸びた満開の桜の枝から、はらはらと
花が散っています。
三日月に照らされた桜は、盛りの最後の時の妖しさを湛え、
白く浮かんでいます。

「朝鮮牛図」 1926年
院003

牛の絵は日本画の画題として多くの画家に取り上げられています。
この牛は盛り上がった肩と三角形のお尻が目を惹きます。
黄土色のかたまりの中で、くっきりと描かれた目が生き生きとしています。

速水御舟 「埃乃土人ノ灌漑」 1931年 
前田002

小品で、欧州旅行の船旅の途中で見かけた、エジプトの情景です。
2つの跳ね釣瓶を使った水汲みの様子を描いています。
人物の姿は古代のエジプト絵画風で、1人は赤い腰巻に白い鉢巻、
1人は白い腰巻に赤白の鉢巻です。
左右対称の面白い構図で、烏が1羽、のんびり止まっています。

「炎舞」 1925年  山種美術館 重要文化財
速10-9-2009_004

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夜の焚き火に集まる蛾の群れです。
やがて炎に焼かれてしまう蛾の舞う、一瞬の時を捉えています。
揺らぎながら燃える炎は仏画の不動の火炎に倣っていますが、暗い背景との
境はぼかされています。
煙が渦を巻いて昇り、集まった蛾は円を描いて飛び、円の中心を飛ぶ蛾は
小さく、周りの蛾は大きく描かれています。
立体感と動きのある画面です。
御舟は、背景の色について、「もう一度描けといわれても二度とは出せない色」と
述べているそうです。

「翠苔緑苔」 1928年
速10-6-2009_007

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四曲一双の金箔地の屏風で、右隻に枇杷と青桐、つつじです。
枇杷の木には、まだ青い実から熟れた実まで付いていて、木の下では
黒猫が振り向いています。
左隻には紫陽花と2匹の白兎です。
紫陽花は咲き始めから満開まで様々に咲いています。
白兎は、向こうに黒猫がいるのも知らずに、呑気に草をかじったり、
寝ころがったりしています。

全体に、右奥から左手前に広がり、右上から左下に下がっていく構図です。
琳派風の装飾性を極め、きっちりとまとまった、近代的な作品です。
御舟の言葉、「もし無名の作家が残ったとして、この絵だけは面白い絵だと
後世言ってくれるだろう」。

「名樹散椿」 1929年 重要文化財
速10-6-2009_009

7月7日までの展示です。
京都の地蔵院の五色八重散り椿を描いたものです。
花びらが一枚づつ散るという、珍しい椿です。
「翠苔緑芝」と同じく、琳派の装飾的な画面ですが、印象はやや違います。
右から左に下る構図で、椿の枝はねじれながら伸び広がっています。
紅、白、斑の花を付けた枝は重みで傾き、地面には花びらが散っています。
奥にある葉、手前の葉を一枚一枚描き分け、量感と立体感があります。
背景は「撒きつぶし」という、金砂子を竹筒に入れて撒いていく方法です。
金箔のような縦横の線が無く、同じ調子の金地がびっしりと広がっています。
しんと静まった画面で、有無を言わせぬ迫力と緊迫感があります。

やはり、「炎舞」「翠苔緑苔」「名樹散椿」の3点には張り詰めたものがあり、
代表作と呼ぶにふさわしい作品です。

山種美術館のHPです。


次回の展覧会はご広尾開館10周年記念特別展、「Seed 山種美術館アワード2019」展です。
会期は8月10日(土)から8月23日(金)までです。

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【2019/07/02 20:40】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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