FC2ブログ
「三国志」展 東京国立博物館
上野
chariot

上野の東京国立博物館平成館では特別展、「三国志」が開かれています。
会期は9月16日(月・祝)までです。

img818.jpg


最新の発掘成果を踏まえた、中国古代の魏・呉・蜀、三国についての展覧会です。

会場は撮影可能です。

「関羽像」 明時代・15~16世紀 新郷市博物館
さIMG_0278

劉備に仕えた豪傑、関羽(?-220)の像が展示室の最初に置かれています。

NHKの人形劇「三国志」に登場した英雄たちも展示されています。
さIMG_0294

左から呉の孫権、蜀の劉備(161-223)、魏の曹操(155-220)です。
横山光輝作、「三国志」の原画も展示されています。

「会稽曹君喪軀」磚 後漢時代・2世紀
1976~77年、安徽省亳州市元宝坑1号墓出土 亳州市博物館

さIMG_0306

会稽郡の長官である曹氏の墓と書かれたレンガです。
魏の曹操は曹氏の出身です。

「貨客船」 後漢~三国時代(呉)・3世紀
2010年、広西チワン族自治区貴港市梁君垌14号墓出土
広西文物保護与考古研究所

さIMG_0299

南シナ海に面した広東・広西地方の河川や沿岸を航行した船で、漕ぎ手が並んでいます。
呉は海洋交易を盛んに行なっていました。

「壺」 前漢時代・前2世紀
1968年、河北省保定市満城区中山靖王劉勝夫婦墓出土
河北省文物研究所

さIMG_0301

銅製で、鍍金し、緑色のガラスを嵌めた豪華な壺です。
劉備の祖先とされる中山靖王劉勝(?-前113)夫妻の墓から出土しました。

「倉天」磚 後漢時代・2世紀 
1976~77年 安徽省亳州市元宝坑1号墓出土 中国国家博物館

さIMG_0327

曹氏一族の墓から出土した磚で、「倉天乃死」とも読める字が彫ってあります。
後漢末期の184年に起きた農民反乱、黄巾の乱で唱えられたスローガン、
「蒼天已死 黃天當立 歲在甲子 天下大吉」に似た文言です。

「儀仗俑」 10軀 後漢時代・2~3世紀 
1969年、甘粛省武威市雷台墓出土 甘粛省博物館

さIMG_0320

さIMG_0323

涼州の張将軍という人物の墓から出土しています。
後漢末期の混乱に乗じて台頭した、涼州出身の軍閥の董卓(とうたく、?-192)と
ゆかりがあるかもしれないそうです。

曹丕(右)と献帝(左)
さIMG_0337

曹丕(そうひ、187-226)は曹操の子で、後継者となり、後漢の献帝(181-234)から
帝位を譲り受け(禅譲)、自己の王朝、魏を開いています。
後の中国では禅譲した後に殺されてしまう皇帝が多かったのですが、
献帝は平和な余生を送っています。

「五層穀倉楼」 後漢時代・2世紀 
1973年、河南省焦作市山陽区馬作出土 焦作市博物館

さIMG_0343

墓の副葬品で、2階までは穀物倉、3階以上は物見櫓になった建物の模型です。
河南省焦作市は献帝が余生を送った地です。

「三連穀倉楼」 後漢時代・2世紀 
2005年、河南省焦作市建設銀行工地出土 焦作市博物館

さIMG_0352

こちらはサイロのような穀倉を3つ並べた上に建物が乗っています。

武器の展示コーナーの天井では矢戦が戦われています。
さIMG_0365


「鏃」 後漢~三国時代(呉)・3世紀 
湖北省赤壁市赤壁古戦場跡出土 赤壁市博物館

さIMG_0397

曹操軍と孫権・劉備の連合軍が戦った、有名な赤壁の戦い(208年)で使われたと
思われる鉄鏃です。
漢の時代になると鉄の鏃が盛んに生産されています。

「弩」 三国時代(呉)・黄武元年(222) 
1972年、湖北省荊州市紀南城出土 湖北省博物館

さIMG_0362

弓の部分は失われていますが、木の軸も残っている、珍しい例です。
下の部分は引金、上の部分は発射角度を調節する照準器です。
呉の年号、製作者、所有者、使用者の名が入っています。

「鉤鑲」 後漢~三国時代(蜀)・3世紀 
1998年、四川省綿陽市白虎嘴崖墓出土 綿陽市博物館

さIMG_0388

さIMG_0393

鉤鑲(こうじょう)は手盾の一種で、相手の戟や剣を受け、反撃する武器です。
中央の人物が左手に鉤鑲を持って闘っています。
魏の曹丕は両手に持って戦う、二刀流の技を学んだそうです。

「曹休」印 三国時代(魏)・3世紀 
2009年、河南省洛陽市孟津県曹休墓出土 洛陽市文物考古研究院

さIMG_0438

さIMG_0440

曹休(?-228)は曹氏の一族で、曹丕に従い武将として活躍しています。
三国志に登場する人物の、確かな印章はこれだけだそうです。

「毋丘倹紀功碑」 三国時代(魏)・正始6年(245)
20世紀初頭、吉林省集安市板岔嶺出土 遼寧省博物館

さIMG_0463

さIMG_0465

三国志には魏が高句麗を攻め、占領地に碑を建てたとあり、その破片と考えられます。

「三都賦」
さIMG_0468

西晋の左思(?-307)が魏、呉、蜀の都を描写した「三都賦」を著し、
大変な評判になり、書写する紙の値段が高騰したということです。
「洛陽の紙価を高からしむ」の故事です。

「舞踏俑」 後漢~三国時代(蜀)・2~3世紀 重慶市出土
左:重慶中国三峡博物館 右:四川博物院

さIMG_0483
女性の踊り手が袖をつかんだ右手を上げ、左手で裾を軽く持ち上げています。
当時の踊りの決めポーズだろうということで、宴の賑わいが伝わります。

「犬」 後漢~三国時代(蜀)・2~3世紀
1957年、四川省成都市天迴山3号墓出土 四川博物院

さIMG_0491

墓の前に置かれていて、忠実な番犬といった顔をして、狛犬のようです。

「神亭壺」 三国時代(呉)・鳳凰元年(272)
1993年、江蘇省南京市江寧区上坊墓出土 南京市博物総館

さIMG_0508

青磁の壺で、神亭とは呉から東晋にかけて作られた、墓に副葬する明器のことです。
家や人物、家畜、貯蔵瓶などが積み上がっています。

「羊尊」 三国時代(呉)・甘露元年(265)
1958年、江蘇省南京市草場門外墓出土 南京市博物総館

さIMG_0511

羽根も描かれた、宗教的な意味があったと思われる品で、見事な造形です。

曹操の墓である高陵の間取りも再現されています。
さIMG_0530

高陵は盗掘されていますが、頭痛持ちだったという曹操の頭蓋骨も発見されています。
曹操の遺志によるものか、残された副葬品は質素です。

さIMG_0531

「石牌」 後漢~三国時代(魏)・3世紀
2008~09年、河南省安陽市曹操高陵出土 河南省文物考古研究院

さIMG_0534

名札で、「魏武王」とあり、曹操の墓であることが分かりました。

「罐」 後漢~三国時代(魏)・3世紀 
2008~09年、河南省安陽市曹操高陵出土 河南省文物考古研究院

さIMG_0526

高陵から出土した白磁です。
白磁は6世紀後半に始まるとされていましたが、それより遥かにさかのぼることになります。

「圭、璧」 三国時代(魏)・3世紀
1951年、山東省聊城市東阿県曹植墓出土 東阿県文物管理所

さIMG_0546

曹丕の弟、曹植の墓から出土した品で、父の曹操が古の儀礼を重んじたことから、
伝統的な用具である圭や璧が副葬されたものと思われます。

曹植(192-322)は兄の曹丕と仲が悪く、不遇な生涯を送っています。
優れた詩人でもあり、豆がらを燃やして豆を煮るな(兄弟で争ってはいけない)という
「七歩詩」で有名ですが、「七歩詩」は曹植の作ではないとも言われています。
弟である曹植が自分を豆に、兄を豆がらに例えることはないだろうと思います。

「北園1号墓壁画模写」 車馬行列図、楼閣図 
20世紀(原本=後漢~三国時代(魏)・3世紀)
原本=遼寧省遼陽市北園1号墓出土 遼寧省博物館

さIMG_0474

さIMG_0479

中国東北部の遼陽市周辺に多数残っている、公孫氏の壁画古墳の一つで、
馬車を連ねた貴人の行列などが描かれています。
公孫氏は魏の時代、魏から独立して現在の遼陽市を中心に一帯を支配していました。

「把手付容器」 後漢~三国時代(魏)・3世紀
2008年、遼寧省遼陽市苗圃16号墓出土 遼陽博物館

さIMG_0469

公孫氏が支配した遼寧市に集中的に見られる形で、日本列島の日本海側の石川県や
島根県、鳥取県で似た形の器が出土するそうです。
邪馬台国と卑弥呼について書かれた魏志倭人伝は三国志の中にありますが、
魏から独立していた公孫氏と倭(日本)との交流があったことを示しています。
魏志倭人伝には238年に卑弥呼が魏に使いを送ったとあり、魏では2代か
3代皇帝の頃に当たります。

「晋平呉天下大平」磚 西晋時代・280年
1985年、江蘇省南京市江寧区索墅磚瓦廠1号墓出土 南京市博物総館

さIMG_0573

さIMG_0577

「晋平呉天下」「大平」と彫られています。

魏は265年に蜀を滅ぼし、同じ年に西晋の王、司馬炎が曹操の孫である魏の皇帝、
元宗から禅譲を受けています。
西晋は更に280年には呉を滅ぼし、遂に三国を統一しています。
三国志はこれを受けて西晋の陳寿(233-297)が著した歴史書です。
中国では、王朝が滅亡すると次の王朝が前王朝の歴史(断代史)を記すという
伝統があります。
関羽や諸葛孔明など英雄たちが活躍し、私たちに親しまれている「三国志演義」は
「三国志」を基に後世の明の時代に書かれた歴史小説であり、歴史書ではありません。

三国それぞれの生活、文化や戦いの跡を示す遺物が多数展示されている展覧会で、
観ていて興味が尽きません。

展覧会のHPです。

関連記事

【2019/07/11 19:44】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
please comment















管理者にだけ表示を許可する

trackback
trackback url ↓
http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/3898-ec64d3c0

プロフィール

chariot

Author:chariot
美術館・博物館めぐりとカフェの記事を書いています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム |