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「安藤忠雄 初期建築原図展―個の自立と対話」と安藤さんのギャラリートーク 湯島 国立近現代建築資料館資料室
湯島
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湯島の国立近現代建築資料館資料室では、「安藤忠雄 初期建築原図展
―個の自立と対話」が開かれています。
会期は9月23日(月)まで、入館は無料です。
場所は文京区湯島4-6-15で、旧岩崎邸庭園に隣接しています。

資料館へのアクセスは少し難しいので、資料館のHPのアクセスの説明で、ご確認して下さい。

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当館の名誉館長でもある安藤忠雄さんの1973年から1990年代まで、初期の建築の
設計原図と模型が展示されています。

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「住吉の長屋―東邸」 1976年
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初期の代表作となった作品です。
真中に中庭の空間を開けているので、雨の日は傘を差して隣の部屋に行くという、
大胆極まりない設計です。

2008年にギャラリー・間で開かれた、『安藤忠雄建築展 「挑戦-原点から」』では
「住吉の長屋」の原寸大模型が展示されていました。

「安藤忠雄展―挑戦―」の記事です。


「冨島邸」 1973年
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大阪市北区にあり、安藤さんの最初の実作です。
予算を節約するため、コンクリートの打ちっ放しになっています。
中央が吹き抜けになっており、天窓から光が差し込みます。
その後、施主の家族構成が変わったため、現在は安藤さんが譲り受け、
増改築して安藤さんの設計事務所として使っています。

「領壁の家―松本邸」 1977年
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芦屋の山間部にあり、長い二つの壁の内側に二つの居住空間を設けていて、
住吉の長屋を思わせる構想です。


「六甲の集合住宅 I」 1983年
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安藤さんが最初に手掛けた集合住宅で、60度の斜面に貼り付くように
建てられています。


「六甲の教会」 1986年
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中世の修道院をイメージしたとのことで、礼拝堂と鐘楼と長いガラスの回廊で
構成されています。


「水の教会」 1988年
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北海道占冠村にある教会で、最初は架空のプロジェクトとして設計され、
展覧会を見た人から申し出があって建設されています。
水や空、林といった自然と一体化した設計です。


「光の教会」 1989年
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大阪府茨木市にある茨木春日丘教会礼拝堂です。
2つの長方形が斜めに重なり、祭壇部分は十字架形に開かれ、日の光が
差し込んできます。


住宅建築を中心に、全部で24件の資料が展示され、安藤さんの初期の業績を
一覧できる展覧会です。

また、7月23日(火)に安藤さんのギャラリートークが開かれたので、行ってきました。
建築を学ぶ学生さんたちが100人以上、集まっていました。

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右は司会の中谷礼仁早稲田大学創造理工学部教授、左は川向正人
国立近現代建築資料館主任建築資料調査官

以下は安藤さんのギャラリートークの簡単な内容です。

「自分が建築家を志したのは、子どもの頃、近所の大工さんの仕事を見て面白いと
思ったこと、若い時、磯崎新さんの建築を見て、素晴らしいと感じたことがきっかけ。
今は90代まで生きる時代だから、20代の人は自分がどの仕事が好きかよく考えてほしい。
建築と同じく基礎は大事、若い時に相撲の四股を踏むように、自分の基礎を
固めないといけない。
知的体力が衰えないように勉強を続けないといけない。
去年亡くなった東京大学法学部教授だった大沼さんのお別れの会で(安藤さんも
東京名誉教授)、同じ東京大学の法学部教授だった渡辺さんが弔辞を述べたが、
二人は学生時代から同期で、隣の研究室に長い間居たのに、一度も一緒に食事もお茶も
したことが無い、天国では一緒に飲みましょう、というものだった。
それくらい研究に没頭していたのかと思って驚いた。

金持ちになるのでなく、豊かな人生を送れるのが人生の成功。
大手の建設会社の現場監督は大体63歳(定年の数年後)で亡くなっている。
利益の追求ばかりでストレスが強いため。
私に住宅の設計を依頼した施主さんは建設を長谷川工務店に依頼した。
ところが長谷工は、自分たちはマンションしか手掛けておらず、住宅は不得手なので
断りたいといった。
それでもやってもらったら、実に良い建物が出来た。
やはりそこはプロ、やるとなったら挑戦する気が起きたようで、良い仕事になった。

1990年頃まではまだコンピューターで図面を書くことはなく、手で書いていた。
手書きだと、食い違いもあったりするが、そこが面白く、情報量が多い。
コンピューターは間違えないが、かえって見ていて印象が薄く、情報量が少ない。
建築家の思いを建築現場に伝えるのにコンピューター図面は適さない。
そこで、現場の人には自分の思いの込められた建築を見てもらうことで、
伝えないといけない。
現在は便利だが難しい時代に生きていることを自覚しないといけない。

今回は昔の貴重な建築原図が展示されているので、じっくり見てほしい。

東京には名建築が多い。
代々木体育館、東京カテドラル(共に丹下健三の設計)などに行って、実際に見て
触ってみるとよい。
何でも自分で見に行き、触って感じないといけない。
タイでもインドでも行って触って、自分が地球のどこで生きるかを考えること。
自分が前を向いた顔をしていると、前を向いた顔をした人との付き合いが始まる。

自分の設計した住宅はどれも残っており、よくメンテナンスされ、増改築もされている。
自分の設計事務所が施主さんと常にコミュニケーションをとっているので、
メンテナンスにつながっている。
増改築の時は、単に追加するのではなく、新築のように基本から考えて設計している。
そうでなければ面白くない。
個々の建築には良い所もあれば悪い所もある。
住み良さだけなら、3LDKのマンションで十分(安藤さんはマンション住まい)。
住吉の長屋の施主さんはあの建物の良い所を気に入って、今も住んでおられる。

(コンクリートをよく使う理由を訊かれて)
何でもコンクリートではなく、小学校や中学校などの設計では木材を使っている。
コンクリートは世界中、どこでも手に入る。
そんな材料で誰も造らないものを造ってみたいという気持ちがある。」

安藤さんの若い世代に向けた熱意の伝わるトークでした。

展覧会のHPです。

2017年には国立新美術館で「安藤忠雄展―挑戦―」が開かれ、原寸大で再現された
「光の教会」が展示され、安藤さんのギャラリートークもありました。

「安藤忠雄展―挑戦―」の記事です。

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【2019/07/25 19:28】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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