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「原三渓の美術」展 みなとみらい 横浜美術館
みなとみらい
chariot

みなとみらいの横浜美術館では、「原三渓の美術」展が開かれています。
会期は9月1日(日)まで、休館日は木曜日です。
会期中、細かい展示替えがあるので、展覧会のHPでご確認下さい。

原img001 (1)


横浜を中心に活動した実業家、原三渓の「美術品のコレクター」「茶人」「アーティスト」
「芸術家のパトロン」としての側面を紹介する展覧会です。
原三渓(1868-1939)は岐阜県の出身で、初名は青木富太郎、横浜の原家の養子となり、
絹糸の製造と貿易で財を成しています。
美術品のコレクター、芸術家のパトロンとしても知られ、また三渓園を造ってもいます。

プロローグ

「武蔵野隅田川図乱箱」 尾形乾山 寛保3年(1743) 大和文華館 重要文化財
光琳img308 (7)

8月7日までの展示です。
木製の箱で、外側に薄、内側に川波、蛇篭、水鳥が描かれています。 
伊勢物語の中の、隅田川で遠く離れた都を懐かしむ場面を想像させます。
波は琳派風の面白い形をしています。

 名にし負はばいざこと問わん都鳥わが思ふ人はありやなしやと


第1章 三溪前史――岐阜の富太郎

岐阜時代の資料です。
岐阜では母方の叔父から絵画を学んでいます。


第2章 コレクター三溪

茶人だった原三渓は始め、茶道具を集め、やがてコレクションの幅を
大きく広げていきます。

「孔雀明王像」 平安時代・12世紀 東京国立博物館 国宝
原img001 (5)

原img001 (6)

8月7日までの展示です。
孔雀は毒蛇を食べてしまうことから、孔雀明王は災厄や苦痛を取り除く
功徳があるとされています。
4本の手は孔雀の尾羽根、開敷蓮華(開いた蓮華)、ザクロ、倶縁果
(レモンなどの果実)を持ちます。
金箔を糸のように細く切って貼り付けた截金(きりかね)で飾られた羽根が
きらびやかです。
原三渓が35歳の時に、元老の井上馨から当時としては破格の1万円で
購入したことで評判になっています。

「蜀葵遊猫図」 伝毛益 南宋時代・12世紀 大和文華館 重要文化財
原img001 (3)

8月7日までの展示です。
毛益(生没年不詳)は中国の南宋画院の画家で、小鳥や小動物の描写に巧みでした。

「龍虎図屏風」 雪村周継 室町時代・16世紀 根津美術館
(左隻)
絵の音002

8月16日からの展示です。
虎が吼えて起こす強風で竹がなぎ倒されています。
どこか、のどかな顔の虎ではあります。
(右隻:部分)
絵の音007

龍が唸り、雲が湧き、波が逆立っています。
通常は龍虎を左右両隻の端に寄せて描くところ、それぞれの中心に置いて、
迫力を出しているそうです。
河と海の水流と翻波が二つの空間を一つにしています。

「伊勢物語図 武蔵野・河内越」 尾形光琳 江戸時代前期 MOA美術館
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左の「武蔵野」は伊勢物語の、男が女を盗み出して武蔵野に逃げていくお話です。
男女が草むらで語り合い、手前では松明を手に追手が迫っています。

  むさし野はけふはなやきそ若草のつまもこもれりわれもこもれり

右の「河内越」は男が河内にいる別の女の許に通うのを、女が送り出してから歌を詠み、
物陰に隠れてそれを聞いた男は愛しく思って、河内に行くのを止めたというお話です。
 
  風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとりこゆらん

竜田山は大和と河内の間にある山で、紅葉の名所で、絵にも紅葉が描かれています。

他に、雪舟、狩野永徳、久隅守景、宮本武蔵、円山応挙、渡辺崋山、浦上玉堂、
富岡鉄斎らの作品も展示されています。


第3章 茶人三溪

茶人としての原三溪の紹介で、茶器などが展示されています。


第4章 アーティスト三溪

原三溪の描いた絵の展示です。
岐阜で絵を学んだこともあって、かなりの技量の持ち主です。

「白蓮」 原三溪 昭和6年(1931)
原img001 (2)

白蓮は原三溪の好んだ画題で、輪郭線を用いない没骨法で描いています。


第5章 パトロン三溪

原三溪は特に日本美術院の画家を支援しています。

「賢首菩薩」 菱田春草 明治40年(1907) 
 東京国立近代美術館 重要文化財

菱田003

8月14日までの展示です。
賢首菩薩とは華厳宗第3祖の法蔵のことで、則天武后の庇護を受けて華厳宗を
大成させています。
則天武后に華厳の教えを述べた時、側にあった金の獅子像を使って説明した
という逸話から、横に金獅子が置かれています。
細かい点描を使って色彩を表現するという、斬新な技法に依っていますが、
これも斬新な分だけ当初は不評だったようです。
岡倉天心に請われ、この絵を絵を購入したものの、あまり乗り気ではなく、
後に手放したそうですが、春草の没後にはその作品を13点、入手しています。

下村観山 「白狐」 大正3年(1914) 東京国立博物館
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7月24日までの展示です。
再興院展の第1回に出展された作品で、前年に亡くなった岡倉天心を偲んで、
天心の書いたオペラ台本「白狐」、1911年に亡くなった菱田春草を偲んで、
春草の代表作「落葉」「黒き猫」の木立と柏の葉を取り入れています。
稲荷神のお使いの白狐は稲穂を咥えています。
写実でありながら、装飾性に満ち、静かで心に沁みる作品です。
横山大観や下村観山らによる日本美術院庄林業再興に当たって、原三渓は
賛助会員になっています。

「弱法師(よろぼし)」 下村観山 大正4年(1915) 東京国立博物館 重要文化財
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下008

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8月9日からの展示です。
能の「弱法師」を題材にした作品で、下村観山の代表作です。
讒言を信じた父によって家を逐われた俊徳丸は盲目となり、あちこち彷徨ったのち、
春の彼岸の日に四天王寺に辿り着きます。
満開の梅の傍らに立つ俊徳丸は痩せ衰えた姿で、杖を持ち、大きな赤い入り日に
向かって合掌しています。
束の間の極楽の様を表していて、能の家に生まれた下村観山ならでは作品と云えます。

「近江八景」 今村紫紅 1912年 東京国立博物館 重要文化財
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8月7日までと9日からで、4幅ずつ展示替えされます。
画像の「比良」で9日からの展示です。
今村紫紅(1880-1916)は日本画の革新を目指して精力的に活動した画家です。
近江八景は中国の瀟湘八景に倣って選ばれ、広重の浮世絵でも有名な景色ですが、
今村紫紅は大胆に再構成して第6回文展に出品しています。

「極楽井」 小林古径 明治45年(1912年) 東京藝術大学大学美術館
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8月2日からの展示です。
小石川伝通院裏の宗慶寺にあった極楽井の水を汲む乙女たちです。
白木蓮は裏箔によって描かれているそうです。
イエズス会の紋章を模様にした着物やロザリオなど南蛮趣味をあしらって
いますが、清楚で気品に満ちています。

他に原三渓の支援を受けた横山大観、安田靫彦、前田青邨、速水御舟らの
作品も展示されています。


原三渓のコレクションは戦後、散逸していますが、展示されている作品を観ると、
その質の高さには驚きます。
今回、まとめて鑑賞出来たのはとても良い機会でした。

展覧会のHPです。


横浜美術館では9月1日(日)まで、コレクション展も開かれていて、
横浜美術館のコレクション約280点と、淺井裕介、今津景、菅木志雄の
3人のゲスト・アーティストの作品が一緒に展示されています。

淺井裕介さんの壁画作品、「いのちの木」が円形の展示室の壁一面に
広がっていて、目を奪われます。

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【2019/07/18 20:21】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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