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「生誕100年 藤本能道 生命を描いた陶芸家」展 虎ノ門 菊池寛実記念智美術館
神谷町
chariot

虎ノ門の菊池寛実記念智美術館では「生誕100年 藤本能道 生命を描いた陶芸家」展が
開かれています。
会期は12月1日(日)までです。
会期中、一部展示替えがあります。

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8月3日に特別鑑賞会が開かれたので、参加して解説を伺いました。
写真は許可を得て、撮影しています。

藤本能道(1919-1992)は東京出身で、東京美術学校工芸科を卒業し、加藤土師萌、
富本憲吉に師事し、色絵磁器を学んでいます。

戦後しばらく、30歳台の頃はオブジェのような物を制作していますが、
1970年代、50歳台になると、色絵磁器に戻っています。
その後、色絵磁器の技術を極め、東京藝術大学の学長も努め、人間国宝にも
指定されています。
智美術館の設立者、菊池智とも交流があり、最後の新作展は智美術館の前身の
菊池ゲストハウスで開いたとのことで、美術館は多くの藤本の作品を所蔵しています。
また、展示室も藤本の作品を展示することを想定して設計されたそうです。

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右:オブジェ「もだえ」 1956年 青梅市立美術館
左:オブジェ 1956-62年頃 青梅市立美術館

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初期の作品です。
「もだえ」は目や口のようなものがあって、何かの生命を表しているようです。
藤本は1963年に青梅に窯を築いています。

「幻の食器」 1976年
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1976年に茨城県で開かれた全国植樹祭では昭和天皇皇后両陛下は菊池家の
宿泊施設に宿泊されています。
菊池智は藤本に一行のためのディナーセットを依頼し、藤本の工房は15客、
230ピースの食器を造り上げています。
晩餐で使用後は公開される機会も少なく、今回は10年ぶりの展示ということです。
有田などでは大規模な工房が存在しますが、関東でこれだけの量を制作できる
工房は珍しいそうです。

「色絵木蓮文果物皿」 15枚のうち12枚
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「幻の食器」の一部で、それぞれ異なる絵柄です。

「コーヒー碗皿、サラダ皿、ミルク碗皿」 1976年
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「幻の食器」の一部で、ミルクが好物の昭和天皇のためにミルク碗皿(右)も制作されました。

藤本は1983年頃には釉描加彩という技法を開発し、厚み、奥行きのある表現を
可能にしています。
また、白磁の色も草白釉や雪白釉など、4種類の色を開発しています。

「草白釉釉描色絵金銀彩五位鷺図扁子壷」 1989年
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五位鷺は濃く、背景は淡く、絵画のような立体感があります。
藤本は鳥や虫を好み、よく描いています。

霜白釉の作品が揃っています。
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「霜白釉釉描色絵金彩花と虫図六角大筥」 1990年
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白磁に沸き上がるような紅の花、その上を金彩の昆虫が飛んでいます。

「雪白釉釉描色絵金銀彩飼鳥の春図六角大筥」 1991年
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亡くなる前の年に制作されています。
藤本がガンのため入院し、退院した後の作品です。
入院中にインコの夢を見て、退院したらお弟子さんにインコを買いに行かせて、
描いたそうです。
絵柄も大胆になり、心象風景のような趣きがあります。

「霜白釉釉描色絵金彩陶火窯焔に舞ふ陶額」 1991年
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縦80㎝の大きな陶額です。
速水御舟の「炎舞」(1925年)に倣った作品で、紅い炎の周りを蝶と蛾が舞い、
束の間の生と死を意識させます。

「雪白釉釉描色絵金彩夏の苑図八角小筥」 1991年
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こちらも亡くなる前の年の作品で、金彩も使って蝶や昆虫を描いています。
蓋を開けて中を見せてもらいましたが、内側がまったく趣きの異なる
幾何学模様なのには驚きました。

藤本は大蔵省書記官の子で、エリート校である麹町小学校、府立一中と進みますが、
美術への道を志しています。
しかし、早世した父に代わって養育していた祖父の藤本太郎は土佐出身の陸軍中将で、
そんな希望を認めず、東京美術学校への受験も当時から難関だったので、どうせ
受かる筈も無いと思って許したそうです。
ところが現役合格者2名の内の1名で合格したため、仕方なく実業である工芸に進むと
いうことでようやく認めてもらったとのことです。
画帖を見てもなかなかの技量で、画家としても大成したのではないかと思われます。

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どれも高い技量と写実の力に支えられ、生命感のある作品で、特に晩年の作には
凄味さえあります。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「第8回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉」です。
会期は12月14日(土)から2020年3月22日(日)までです。

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【2019/08/06 19:11】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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