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「円山応挙から近代京都画壇へ」 上野 東京藝術大学大学美術館
上野
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上野の東京藝術大学大学美術館では「円山応挙から近代京都画壇へ」展が
開かれています。
会期は9月29日までで、9月1日までの前期と3日からの後期に分かれ、
細かい展示替えもありますので、展覧会のHPでご確認下さい。

応挙img035

芸IMG_0182


京都を中心に活躍した円山応挙(1733~1795)に始まる円山派と、応挙に師事した呉春
(1752~1811)に始まる四条派は円山・四条派と呼ばれ、京都画壇の中心となっています。

展覧会では応挙、呉春から上村松園、河合玉堂に至る円山・四条派の作品が題材別に
展示されています。

展示のハイライトは大乗寺の襖絵です。
兵庫県香美町の大乗寺は応挙寺とも呼ばれ、住職が若い頃の応挙を支援したお礼に、
応挙は呉春や長沢芦雪らの弟子たちを率いて趣き、襖絵や屏風絵を描いており、
その内、165面は重要文化財に指定されています。

「松に孔雀図襖」(部分) 円山応挙 寛政7年(1795) 重要文化財
応挙img036 (7)

全16面のうち、8面が展示されています。
金箔地に墨で松と孔雀が描かれ、対角線の構図で、松は広々とした空間に
伸び広がっています。

大乗寺の襖絵は他に「少年行図」(山本守礼)、「採蓮図」(亀岡規礼)、
「群山露頂図」「四季耕作図」(呉春)が展示されています。

孔雀はとても好まれた画題で、王瑞(応挙の子)、芦雪、呉春らによる鮮やかな
作品が展示されています。

「写生図巻」 乙巻 円山応挙 明和7年−安永元年(1770−72) 株式会社千總蔵 重要文化財
応挙img036 (8)

前期と後期で巻替えがあります。
博物画のように写実的に描かれており、応挙の技量を見せています。

「薔薇蝶狗子図」 長沢芦雪
 寛政後期頃(1794-99頃) 愛知県美術館

応挙img036 (3)

前期の展示です。
師の応挙譲りの可愛い子犬たちです。

「春暖」 竹内栖鳳 昭和5年(1930) 愛知県美術館
応挙img036 (4)

前期の展示です。
春に生まれた子で、スズナと一緒に居ます。
竹内栖鳳は応挙、王瑞、中島来章、幸野楳嶺と続く円山派の画家で、
特に動物の絵を得意にしています。
また、上村松園、土田麦僊、小野竹喬など、多くの画家を育てています。

「猛虎図」 岸竹堂 明治23年(1890) 株式会社千總蔵
応挙img036 (5)

前期の展示です。
岸竹堂は四条派の影響を受けたとされる岸連山の弟子で、長沢芦雪にも
私淑しています。
虎の絵を得意としていましたが、サーカスで初めて本物の虎を見て驚き、
写実的な虎の絵を志します。
この絵もまさしく、従来の猛虎ではなく、どう猛なトラです。
竹内栖鳳も1900年に渡欧した時にアントワープの動物園でライオンを見て、
帰国を遅らせてまで写生を重ね、帰国して「大獅子図」を描いています。

「保津川図」 円山応挙 寛政7年(1795) 株式会社千總蔵 重要文化財
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右隻
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左隻
応挙img036 (15)

後期の展示です。
八隻一双の屏風で、川の流れが左右から中心に向かって勢いよく流れ込む
大きな絵柄で、音も聞こえるようです。

「山水図」 木島櫻谷 明治時代後期 株式会社千總蔵
前期の展示です。
木島櫻谷は四条派の画家ですが、近代西洋画を研究し、取り入れることに努めています。
大きな屏風絵で、水墨の山水画の形ですが、山々の量感、遠近感を巧みに
描き出していて、見応えがあります。
夏目漱石は展覧会でこの絵を見て、日本画に西洋画を取り入れることを不自然である
として酷評したそうですが、文学であれ、美術であれ、西洋とどう立ち向かうかは
避けられない課題だったはずで、櫻谷も櫻谷なりの工夫、努力をしています。

「山中採薬図」 呉春
 江戸時代後期 公益財団法人阪急文化財団逸翁美術館

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前期の展示です。
文人画で、古代中国で医薬の祖とされる神農が薬草を採っている
ところでしょうか。
呉春は始め蕪村の弟子となって文人画を描きますが、蕪村の没後、
円山応挙に近づき、四条派の祖となっています。

「江口君図」 円山応挙
 寛政6年(1794) 静嘉堂文庫美術館 重要美術品

応挙img036 (2)

前期の展示です。
江口の君は平安時代から鎌倉時代にかけて摂津国江口にいた遊女たちのことです。
書写山圓教寺を創建した性空上人が舟遊びをしている江口の君の長を見たところ、
それは白象に乗った普賢菩薩であっという伝説に依っています。
立兵庫の髪、前結びの帯、菱模様の着物を羽織った江口の君は普賢菩薩の化身らしく
清楚で気品があります。

「大原女図」 長沢芦雪
 江戸時代後期 静岡県立美術館

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前期の展示です。
紺の着物を片袖抜きにして、手拭いを被り、手っ甲脚絆を着け、
頭に大きな柴の束を載せています。
美人画として大原女を描くのは長沢芦雪に始まるとのことで、
土田麦僊の作品も有名です。

「楚蓮香之図」 上村松園
 大正13年(1924)頃 京都国立近代美術館

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後期の展示です。
外出すると芳香を慕って蜂や蝶が飛んできたという、唐の美人、楚蓮香です。
円山応挙の好んだ題材とのことで、上村松園も多く描いています。
豊麗な姿を流れるような線で表わし、蝶も飛んでいます。
上村松園らしい柔らかな色合いで、扇から着物が透けるように描かれています。

円山応挙を始めとする数多くの絵師・画家の作品が題材別に展示され、
京都画壇の層の厚みを見せてくれる、見応えのある展覧会です。

展覧会のHPです。

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【2019/08/22 19:24】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(4) |
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  • Ono.Y さん、こんばんは。
  • どういたしまして。
    岡田美術館所蔵の琳派の作品は私も見たことがありますが、そのコレクションの充実ぶりには驚きました。

    【2019/09/04 21:49】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 本当にありがとうございます
  • 猫アリーナさん

    教えてくださり、本当にありがとうございます!
    見られたのは大分前なのですね。
    調べてみたら、改修で作品を預かっている東博でも展示されていたことがあったみたいでした。
    とても装飾的で、ちょっと妖しさも感じる魅力があるなぁと個人的には思います。
    ぜひ9月以降、展示されないかチェックして見たみたいと思っています。

    教えてくださり、助かりました!本当にありがとうございます^_^

    【2019/09/04 00:38】 url[Ono.Y #-] [ 編集]
  • Ono.Y さん、こんにちは。
  • コメントありがとうございます。
    この画像は2011年10月31日の「彩り伝わる文様の世界」展(大倉集古館)の記事にあったものです。
    大倉集古館所蔵の「網代に葡萄図屏風」(六曲一双)で、江戸時代(17世紀)の作とのことです。
    濃緑色の地に金をふんだんに使った、琳派風のとても装飾的な屏風でした。
    大倉集古館は改修工事のため長く休館していましたが、9月12日にリニューアルオープンするとのことで、いつかこの屏風も展示されるかもしれません。

    【2019/09/03 09:13】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • こんばんは!この画像
    https://images.app.goo.gl/Pyiy14nHyG6emhcd8
    からお邪魔してブログ読ませていただきました!
    僕も美術館が好きで美術史を研究しているのですが、猫アリーナさんは沢山回られていてびっくりしました。

    上の画像の作品、最近のブログを中心に見て回ったのですが、作品名やどんな展覧会で見られたかはご存知でしょうか...?

    琳派のようにも思うのですが初めて見ました。これから機会があるならぜひ実物を拝見してみたいと思っています。

    よければなにかこの絵についてご存知でしたか、教えていただけないでしょうか。少しでも知れたら嬉しいです。

    この絵に似た屏風も出ていたのですが、個人的には今だと、9月末頃まで開催している岡田美術館の金屏風展が本当に壮観なのでおすすめです。蛇足でした。

    【2019/09/02 21:40】 url[Ono.Y #-] [ 編集]
    please comment















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