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「没後90年記念 岸田劉生展」 東京ステーションギャラリー
東京
chariot

東京駅の東京ステーションギャラリーでは、「没後90年記念 岸田劉生展」が
開かれています。
会期は10月20日(日)までです。

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大正期を中心に活躍した岸田劉生(1891-1929)の展覧会です。
約150点が展示され、会期中、9月23日までの前期と9月25日からの後期で、
一部展示替えがあります。

「自画像」 1921年4月27日 泉屋博古館分館
岸田img073

岸田劉生は自画像や友人知人の肖像画を多数、描いています。
片っ端から友人を捉まえて描くので、「岸田の首狩り」と呼ばれたそうです。
展覧会では、木村荘八や武者小路実篤など、多数の肖像画、自画像が
展示されています。
岸田の特徴の、当時主流のフランス絵画とは異なる、デューラーや
北方ルネッサンスに倣った、重厚な自画像です。
帽子をかぶっているところは、ホルバインの描いたエラスムスの肖像を思い出します。
やがて描き方は変化し、重厚なままで細密になっています。

「道路と土手と塀(切通之写生)」 1915年11月5日 重要文化財
近1-3-2010_002

麗子像と並ぶ、岸田の代表作です。
夏の景色のようですが、朝でしょうか、電信柱の影が長く伸びています。
強い日の光に照らされた白い石垣とコンクリートの壁は、細密に立体的に
描き込まれ、ぎらぎらと光っています。
右側の崖は対照的に黒い影になっています。
真中の地面は盛り上がって、まるで生き物のような迫力があります。
代々木に住んでいた時に近所の切通しを描いたとのことですが、いわゆる
東京の風景といった感じではありません。

同じ坂道を別の場所から見た作品も展示されています。

「壺の上に林檎が載って在る」 1916年11月3日 東京国立近代美術館
岸田img076 (3)

岸田は存在感のある静物画を描いています。
今回の展示に備えて、クリーニングを行なったとのことで、染付の壺に当たる光や
布の質感がはっきりするようになりました。

岸田劉生 「初夏の小路」 1917年5月17日 下関市立美術館
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1917年に結核を疑われ、療養のため鵠沼に滞在していた頃の作品です。
1915年の「道路と土手と塀(切通之写生)」と似た、奥に向かっていく構図です。
病気が快方に向かっていた頃の作とのことで、明るく、柔らかな雰囲気があります。
第4回の二科展に出展し、ニ科賞を受賞した作品で、岸田は前衛的な傾向のニ科会を
好まなかったものの、知名度が高いので出展したとのことです。

「麗子肖像(麗子五歳之像」 1918年10月8日 東京国立近代美術館
近代004

娘の麗子を描いた最初の作品です。
赤いアーチ型を描き込んだ擬古典的な図柄で、藍色の浴衣を着て、手には
アトリエの向かいの原っぱに生えていたイヌタデ(アカマンマ)を持っています。
髪も梳いていない姿をそのまま描いていて、生々しいほどの迫力があります。
岸田は、「感心によくモデルになってくれました」と感想を述べています。

「麗子坐像」 1919年8月23日 ポーラ美術館
岸田img076 (1)

岸田は描き始めると夢中になってモデルのことを忘れてしまうので、正座が辛い麗子は
涙をぬぐってモデルを努めたそうです。

洋装の麗子像など、麗子像は何点も展示されていますが、微笑みを浮かべた作品は
東洋画の寒山拾得に似た趣きがあります。

「冬瓜葡萄図」 1927年10月 岡山県立美術館
岸田img083

岸田は冬瓜の絵をよく描いています。
粉を吹いたような肌合いに興味を持ったようです。

岸田は東洋画への関心を深めていきます。
宋元画と南画の二つの傾向の絵を描いたそうで、展示されている南画風の絵は
趣きのある、なかなか達者な描き振りです。
デューラーなどに倣った洋画の時代とはかなり違うのも興味深いところです。

「満鉄総裁邸の庭」 1929年11月 ポーラ美術館
会場の最後に展示されています。
岸田は1929年に南満州鉄道の招きで、初めて国外に渡っています。
大連の南満州鉄道総裁邸の庭を描いていて、青空の下、海の見える晩秋の庭を
明るい色調とセザンヌを思わせる筆遣いで描いています。
大連で描いた絵は他に2点、展示されていますが、どれも明るい色調が特徴です。
当初は大連で描いた絵を売った資金でヨーロッパに行く予定でしたが、果たせず、
その年のうちに帰国し、38歳で急逝しています。
もし、もっと寿命に恵まれていれば、どのような作風になっていたのだろうと思います。

岸田劉生の初期の作品から、麗子像、肖像画、風景画、南画などが多数揃った、
見応えのある本格的な回顧展です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は、「辰野金吾と美術のはなし 没後100年特別小企画」です。
会期11月2日(土)から11月24日(日)です。

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【2019/09/03 19:11】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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