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「大観・春草・玉堂・龍子―日本画のパイオニアー」展 広尾 山種美術館
恵比寿
chariot

広尾の山種美術館では開館10周年記念特別展、「大観・春草・玉堂・龍子
―日本画のパイオニアー」が開かれています。
会期は10月27日(日)までです。

山種img024


日本画の革新に取組んだ、横山大観(1868-1958)、菱田春草(1874-1911)、
川合玉堂(1873-1957)、川端龍子(かわばたりゅうし、1885-1966)の
4人の作品の展示です。

菱田春草 「釣帰」 1901年
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横山大観と菱田春草は日本美術院の創設に参加し、1900年頃からは光や空気感を
出すために輪郭線を使わないで描く技法を手掛けています。
輪郭線が無いため、ぼんやりした印象があり、当時は「朦朧体」と呼ばれ、
非難されています。

菱田春草 「月四題」のうち「秋」 1909-10年頃
教科書3

1911年に36歳で亡くなった春草の、最晩年の作品です。
朦朧体を終えた春草はやがて琳派風の画風に行き着いています。
葡萄の葉は琳派のたらし込みの技法を用いています。

2014年に東京国立近代美術館で開かれた「菱田春草」展の記事です。


横山大観は菱田春草とともに日本画改革に取組み、春草の亡くなった後、
1913年には日本美術院を再興しています。

横山大観 「作右衛門の家」 1916年
院002

男が鎌を手に飼葉を担いで帰ってくると、厩では馬が音を聞き付けて嬉しそうに
足掻いています。
作右衛門とは農民一般を表す名前です。
桐の木は大きな葉を付け、栗の木には青い実が生っています。
自然と人事が一体となった理想郷を描いていて、おだやかな味わいがあります。

横山大観 「喜撰山」 1919年
大観001

百人一首に載っている、喜撰法師の歌に拠っています。
喜撰法師は宇治に住んでいたとされます。

 わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり

金箋紙(裏に金箔を押した鳥の子紙の表面を薄く剥いだもの)に描いた
最初の作品で、明るく温かい地色が映えています。
京都の土の赤さを表現するために使ったと考えられるそうです。

横山大観 「心神」 1952年
若010 (3)

「心神」には「富士山」の意味もあるということです。
大観は戦前戦後を通じ、富士山の絵を数多く描いています。
晩年の作品で、雲海に屹立する富士の孤高の姿に、
敗戦後の日本の復興への思いを込めているのでしょう。

2013年に横浜美術館で開かれた「横山大観展」の記事です。


川合玉堂は日本美術院の設立当初から参加し、情趣豊かな風景画を描いています。

川合玉堂 「春風春水」 1940年 
玉006

川の急流に張ったワイヤーを使った渡し舟には農婦が乗り、
岩場には山桜が咲いています。
満々とした蒼い水の描写が印象的な作品です。

川合玉堂 「山雨一過」 1943(昭和18)年 
原風景005

雨上がりの山道の情景です。
谷から吹き上がる風に木々も草も馬子の蓑も揺れ、雲も千切れて飛んで行きます。
戦時中に作品とは思えない、おだやかな景色です。

川合玉堂 「早乙女」 1945(昭和20)年
玉堂img380 (1)

終戦の年に描かれていますが、常と変わらぬ農村の営みです。
畦道は一気に引いたような太い線で、たらし込みも使われています。
田植は早乙女が中心になる農作業ですが、戦時中で男手の足りない
時でもあり、「銃後の守り」の意味も込めているそうです。

川合玉堂 「渓雨紅樹」  1946年
原風景006

谷あいの村は雨に煙り、紅葉した木々の葉はうなだれています。
白抜きで表された道を傘を差した人が二人歩いています。
川合玉堂はよく風景の中に何人かの人を描いて、人のつながりを表しています。
写生の折に見かけた水車小屋の風景を気に入り、自宅の庭に水車を作って
その音を楽しんだということです。

2017年に山種美術館で開かれた「川合玉堂展」の記事です。


川端龍子は洋画を学んでいましたが日本画に転向し、横山大観の日本美術院に
参加しています。
そして青龍社を設立し、従来のいわゆる「床の間芸術」に対抗して、広い展示場での
展示に耐える、「会場芸術」を追及しています。

川端龍子 「鳴門」 1929(昭和4)年 山種美術館
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横約8m以上もある大作で、濃い群青の波が渦巻く、迫力いっぱいの画面が
広がっています。
青龍社の第1回展の出品作で、「会場芸術」を目指す川端龍子の意気込みが
表れています。

松竹梅を横山大観、河合玉堂、川端龍子の三人で描いた三幅対も展示されています。
向こう気の強そうな大観と龍子ですが、おだやかな性格の玉堂が取り持ったようです。

山種美術館のHPです。


次回の展覧会は山種美術館広尾開館10周年記念特別展、「東山魁夷の青・奥田元宋の赤
―色で読み解く日本画―」です。
会期は11月2日(土)から12月22日(日)までです。

山種img037 (2)

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【2019/10/19 19:40】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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