FC2ブログ
「印象派からその先へ—世界に誇る 吉野石膏コレクション展」、ブロガー内覧会 三菱一号館美術館
東京
chariot

丸の内の三菱一号館美術館で開かれている、「印象派からその先へ—世界に誇る
吉野石膏コレクション展」、ブロガー内覧会に行ってきました。
展覧会の会期は2020年1月20日(月)までです。

img026_2019110816245466d.jpg


吉野石膏美術振興財団の近現代絵画コレクションのうち、印象派を中心に72点を
展示する展覧会です。
吉野石膏コレクションの多くは山形美術館に寄託され、一部が常設展示されています。

「弐代目・青い日記帳」主催のTakさんをモデレーターに、岩瀬慧学芸員の解説を
伺いました。
会場の写真は特別の許可を得て撮影しています。

よIMG_0292


それぞれの展示室の壁の色は作品に使われている色にちなんでいるとのことで、
どの絵の色なのか当ててみるのも面白そうです。

よIMG_0168


展示はコロ―やミレーから始まります。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー 「牧場の休息地、農婦と三頭の雌牛」 1870-74年
よIMG_0171

コロー独特の、銀色めいた緑色の穏やかな風景です。

ジャン=フランソワ・ミレー 「群れを連れ帰る羊飼い」 1860-65年
よIMG_0180

バルビゾン派を代表するミレーの作品で、夕暮れの情景を情感を込めて描いています。

ギュスターヴ・クールベ 「ジョーの肖像、美しいアイルランド女性」 1872年頃
よIMG_0177

長い髪を手に鏡を見ている女性はホイッスラーの恋人、ジョアンナ・ヒファーナンです。
赤毛はアイルランド人に多いとされ、クールベも豊かな巻き毛を強調して描いています。

エドゥアール・マネ 「イザベル・ルモニエ嬢の肖像」 1879年頃
よIMG_0252

エドゥアール・マネ(1832-1883)の晩年の作品で、平面的な描き方をしていて、
つつましい表情の顔は緻密に描かれていますが、ドレスなどはベラスケスに倣った、
ざっくりとした筆遣いです。
イザベル・ルモニエは、ルノワールのパトロンでもあったジョルジュ・シャルパンティエの
義妹で、マネと親しくしています。

ウジェーヌ=ルイ・ブーダン 「アブヴィル近くのソンム川」 1890-94年頃
よIMG_0183

アブヴィルはフランス北部のソンム川沿いの町です。
ウジェーヌ・ブーダン(1824-98)は海辺の空の景色を描く画家として知られています。
ル・アーヴルで少年時代のモネに屋外で描くことを勧め、モネが印象派の画家になる
きっかけを作っています。
川辺の景色ですが、雲の表現に勢いがあります。

クロード・モネ 「ヴェトゥイユ、サン=マルタン島からの眺め」 1880年
よIMG_0235

モネは引っ越しをよくする人で、セーヌ川沿いにあちこち移っています。
1878年にはアルジャントゥイユからヴェトゥイユに移り住んでいます。
セーヌ川の中州からヴェトゥイユの町を見たところで、教会の塔も見えます。

クロード・モネ 「サン=ジェルマンの森の中で」 1882年
よIMG_0242

モネは1881年にヴェトゥイユからポワシーに移り住んでいます。
ノルマンディー海岸に行く途中の道の景色で、紅葉した街路がアーチをつくっています。

クロード・モネ 「ヴェルノンの教会の眺め」 1883年
よIMG_0232

モネは1883年にポワシーからジヴェルニーに移り住み、没するまでそこで過ごしています。
ヴェルノンはジヴェルニーの隣の町です。
教会や家や並木がセーヌ川に映る様子を描いています。

クロード・モネ 「テムズ河のチャリング・クロス橋」 1903年
よIMG_0238

1899年から1901年にかけては毎年ロンドンを訪れて、国会議事堂や
ウォータールー橋、チャリング・クロス橋を約100点描き、ジヴェルニーの
アトリエで仕上げています。
霧の効果を存分に活かした作品で、モネ自身、「もしも霧がなかったら
ロンドンは美しい街ではなかっただろう」と述べています。
同じ頃にイギリスに留学していた夏目漱石がロンドンの霧を厭わしく
思っていたのと対照的です。

クロード・モネ 「睡蓮」 1906年
よIMG_0244

モネは1898年から庭に水を引いて作った池の景色を描き続けるようになります。
水面に映った空の景色に関心を持った絵です。

カミーユ・ピサロ 「ポントワーズのル・シュ」 1882年
よIMG_0186

ポントワーズはパリ北西の町で、ピサロはここに長く住んでいます。
点描派のスーラやシニャックに会う前の頃ですが、細かい筆触による
描法を試みています。

アルフレッド・シスレー 「モレ=シュル=ロワン、朝の光」 1888年
よIMG_0201

シスレー(1839-1899)は1883年にモレ=シュル=ロワンに移り住んでいます。
樹木越しにロワン川の向こうの景色が朝の光に輝いているのが見えます。
奥にあるのはノートルダム教会です。

アルフレッド・シスレー 「モレのポプラ並木」 1888年
よIMG_0204

川沿いのポプラ並木が日の光を浴びて輝く様を印象派らしい、明るい筆遣いで
描いています。

アルフレッド・シスレー 「モレのロワン川、洗濯船」 1890年
よIMG_0195

シスレーの特徴の空を広く取った画面で、空の色が川面に映っています。

アルフレッド・シスレー 「ロワン川沿いの小屋、夕べ」 1896年
よIMG_0198

シスレーの父は裕福な貿易商でしたが、普仏戦争のため破産し、以後、シスレーは作品が
あまり売れないこともあって、困窮生活を送っています。
シスレーはモネやルノワールとともにシャルル・グレールの画塾に学んでいて、
1899年にシスレーが亡くなると、画塾仲間だったモネはシスレーの遺族のための
展示即売会を呼び掛けています。
マネの未亡人やベルト・モリゾも協力して、手持ちの作品を提供したとのことで、
この絵はその折に出品されたそうです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「庭で犬を膝にのせて読書する少女」 1874年
よIMG_0207

第1回印象派展の開かれた年の作品で、女性は日の光を浴びて、明るく
浮かび上がっています。
印象派の作品は明るいので、照明の光度を少し下げて展示できるそうです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「箒をもつ女」 1889年
よIMG_0229

ルノワールがモネの呼び掛けた展示即売会に出品した作品です。
シスレーの作品が1000フランで売れたのに対し、他の画家の絵は4~500フラン
だったそうです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「シュザンヌ・アダン嬢の肖像」 1887年
よIMG_0210

パステル画で、モデルは銀行家イポリット・アダンの四女です。
アダン家の別荘で描いており、10歳のシュザンヌの瞳の色に合わせて、
服もリボンも水色です。
印象派の技法では対象の形を捉えきれないとして、写実的な画風に移った頃の作品で、
顔はきっちりと描かれています。
ブリヂストン美術館は同じモデルを描いたパステル画、「少女」を所蔵しています。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「幼年期(ジャック・ガリマールの肖像)」 1891年
よIMG_0224

ルノワールの友人、ピエール・ガリマールの三男、ジャックの5歳頃の姿です。
女の子の服装をしていますが、これは幼児期は女の子の方が丈夫なので、
この時代は男の子にも女の子の服装をさせる風習があったことによるものです。
ルノワールも女の子の姿をした長男のジャン(後の映画監督)を描いています。
ジャンによれば、ピエールはルノワールと仲が良く、ピエールが訪ねてくると、
ルノワールはとても喜んだそうです。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「赤いブラウスを着た花帽子の女」 1914年
よIMG_0226

晩年の作品で、リウマチのため手が不自由になっていましたが、ルノワール特有の
豊穣な色彩で描き上げています。

メアリー・カサット 「マリー=ルイーズ・デュラン=リュエルの肖像」 1911年
よIMG_0213

パステル画で、モデルは画商のデュラン=リュエルの14歳の孫娘です。
ピンクの服が可愛さを引き立てています。
メアリー・カサット(1844-1926)は子どもの絵を得意としています。

エドガー・ドガ 「踊り子たち(ピンクと緑)」 1894年
よIMG_0217

パステル画で、舞台の袖で待つ踊り子たちを描いています。
画面はピンクと緑でまとめられ、踊り子の肩甲骨の盛り上がった様子まで
表されています。
同じパステル画で代表作の「エトワール」は下からの光で描いていますが、
こちらは上からの光です。

ポール・セザンヌ 「マルセイユ湾、レスタック近郊のサンタンリ村を望む」 1877-79年
よIMG_0249

南仏、レスタックの景色で、遠くに教会と一緒に工場の煙突も見えます。
海岸や家の描き方はセザンヌらしくかっちりとして、キュビスムの先駆けを思わせます。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「雪原で薪を運ぶ人々」 1884年
よIMG_0294

パリに出てくる前、オランダ時代に描いた作品で、この頃は農民の生活を
題材にした、バルビゾン派風の絵の作風です。
食堂に飾る絵を注文されて描いたとのことで、大きな画面ですが、KYこの上ない
ゴッホのことですから、このような暗く厳しい労働の様を描いています。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「静物、白い花瓶のバラ」 1886年
よIMG_0297

小品で、パリに出て来た頃の作品とのことです。
印象派を知ったことで、それまでの農民の生活を描いていた作品に比べ、
色彩も明るくなり、後のゴッホが始まっています。

ピエール・ボナール 「靴下をはく若い女」1908-10年
よIMG_0272

ピエール・ボナール(1867-1947)は入浴する妻のマルトをよく題材にしています。
神経を病んでいたマルトはしばしば入浴をしています。
装飾的な画面で、背を丸めたマルトの肩から腕に当たる日の光を強調しています。

アンリ・ルソー 「工場のある町」 1905年
よIMG_0270

木の陰に工場の煙突が見え、煙が出ています。
赤い屋根の家が並び、白い道が面白い形に延びています。

アルベール・マルケ 「コンフラン=サントノリーヌの川船」 1911年
よIMG_0257

コンフラン=サントノリーヌはセーヌ川沿いの町です。
アルベール・マルケ(1875-1947)はモロー門下のマティスやルオーの同窓ということで、
フォーヴィズムの一人とされていますが、淡く穏やかな色調による風景画を描いています。
画面は単純化され、ゆったりした味わいがあります。

アルベール・マルケ 「ロルボワーズ」 制作年不詳
よIMG_0260

ロルボワーズはコンフラン=サントノリーヌの下流にあります。
広々とした景色で、浮かぶ雲の表現が魅力的です。

アンリ・マティス 「静物、花とコーヒーカップ」 1924年
よIMG_0266

マティスは短いフォーヴィズムの時代を終えると、見た目にも心地良い作風に
変わっていきます。
花瓶の上絵や背景など、装飾的な画面です。

アンリ・マティス 「緑と白のストライプのブラウスを着た読書する若い女」 1924年
よIMG_0263

ハッカ色の太い縞模様が鮮やかです。
モデルはこの時期モデルを務めたアンリエット・ダリカレールです。

ワシリー・カンディンスキー 「適度なヴァリエーション」 1941年
よIMG_0278

カンディンスキー(1866年-1944)は抽象画の創始者の一人で、その作品には
音楽的なものがあります。

エコール・ド・パリの画家も展示されています。

モーリス・ユトリロ 「モンマルトルのミュレ通り」 1911年頃
よIMG_0313

ユトリロ(1883-1955)の評価の最も高い、初期の白の時代の作品です。
モンマルトルの丘のサクレ・クール寺院を遠くに見上げ、階段の部分も
ていねいに描き込んでいます。
サクレ・クール寺院や空は白の時代風ですが、町並みの色合いが
明るくなっています。

マリー・ローランサン 「五人の奏者」 1935年
よIMG_0310

楽器を手にして集う妖精のような女性たちを水彩を思わせる淡い色調で描いています。

モイーズ・キスリング 「背中を向けた裸婦」 1949年
よIMG_0307

モイーズ・キスリング(1891-1953)は魅力的な女性像を得意にしています。
エキゾチックな趣きのターバンを巻いた女性の背中はなめらかで、ざらついた
筆触で描いた背景と対照的です。

他にルオー、ヴラマンク、ブラック、ミロ、ピカソ、ヴァン・ドンゲン、シャガールの
作品も展示されています。
特にシャガールは初期から晩年まで10点が展示室の最後に並んでいます。

バリビゾン派、印象派からフォーヴィズム、キュビスム、エコール・ド・パリまで
しっかり揃った、親しみやすく、見応えのある展覧会です。

この展覧会に合わせて、三菱一号館美術館の所蔵するオディロン・ルドンの大作、
「グラン・ブーケ」(1901年)も展示されています。

ルIMG_0224


展覧会のHPです。

関連記事

【2019/11/09 14:04】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
please comment















管理者にだけ表示を許可する

trackback
trackback url ↓
http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/3989-f5fb0951

プロフィール

chariot

Author:chariot
美術館・博物館めぐりとカフェの記事を書いています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム |