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「出雲と大和」展 東京国立博物館
上野
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上野の東京国立博物館平成館では日本書紀成立1300年特別展、「出雲と大和」が
開かれています。
会期は3月8日(日)までです。
2月9日(月)までの前期と2月11日(火・祝)からの後期で一部展示替えがありますので、
展覧会のHPでご確認下さい。
会場は一部撮影可能です。

出雲img271 (10)


2020年は養老4年(720)に日本最古の正史とされる日本書紀が成立してから1300年に
なるのを記念して、神々の「幽」の世界である出雲、現実の「顕」の世界である大和を
特集した展示です。

初日に行ったので、島根県のしまねっこ、奈良県のせんとくん、東京国立博物館の
トーハクくんとユリノキちゃんがお出迎えしていました。

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第1章 巨大本殿 出雲大社

古事記によれば大国主が国譲りの条件として、太い柱で千木(ちぎ)が空高くまで
届く立派な宮殿を建ててくれるよう求めたので、出雲大社が建てられたそうです。

出雲大社の本殿は平安・鎌倉時代は東大寺大仏殿より高く、高さ16丈(約48m)
あったと言われています。
しかしこれはあまりに高く、事実とは違うと思われてきましたが、1999年から
2002年にかけての境内の発掘で、束ねられた3本の太い杉柱の根元が発掘された
ことで、実在していた可能性が高くなりました。

宇豆柱(うづばしら) 出雲大社境内遺跡出土 鎌倉時代・宝治2年(1248) 
 出雲大社蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管 重要文化財

出雲img271 (3)

3本束ねると直径3mになるという柱は実際に見ると大変大きく、その存在感は
圧倒的です。
本殿の中心部分を支える心御柱(しんのみはしら)も展示されています。

出雲大社本殿復元模型 出雲市蔵
出002

見上げるばかりの高層建築で、縄文時代以来の木の文化を感じます。

「赤糸威肩白鎧」 室町時代・15~16世紀 島根・出雲大社蔵 重要文化財 
出雲img271 (4)

前期展示です。
草摺が4枚の、騎馬武者の大鎧です。
右の脇を守る脇盾(わいだて)を欠き、胸に付ける鳩尾板・栴檀板がありません。
8代将軍足利義政(1436-1490)の奉納で、父の6代将軍足利義教(1394-1441)の
所用とされています。
足利義教は暴君として知られ、討伐されることを恐れた赤松満祐の騙し討ちに
遭っています。
金具に足利家の家紋である二つ引両紋が打たれていますが、通常の横引両ではなく、
立引両です。

色々糸威胴丸 室町時代・16世紀 佐太神社蔵 重要文化財
出003

後期展示です。
胴丸は胴の右側で引き合わせ、草摺が8枚の、元は徒歩の武士用の鎧です。
出雲の戦国大名、尼子経久(1458-1541)の奉納で、騎馬武者のために
大袖を付けた豪華な鎧です。
佐太神社は出雲大社に次ぐ、出雲国の二の宮です。

「彩絵檜扇」 平安時代 12世紀 
 島根・佐太神社蔵(島根県立古代出雲歴史博物館寄託) 重要文化財
 
扇img351 (5)
後期展示です。
紅葉や草花の描かれた優美な扇です。
檜扇という、木の板を重ねた古い形の扇で、正式な場で用いられました。

「秋野鹿蒔絵手箱」 鎌倉時代・13世紀 島根・出雲大社蔵 国宝
手箱4

後期展示です。
出雲大社の宝治2年(1248)の造営の際に奉納された可能性があるということです。
鹿の親子、風に揺れる萩、飛び交う鳥が螺鈿と蒔絵で表され、空間の表現も巧みです。


第2章 出雲 古代祭祀の源流

「銅剣・銅鐸・銅矛」 島根県出雲市 荒神谷遺跡出土 弥生時代・前2~前1世紀 
 文化庁蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管) 国宝 

出雲img271 (6)

1984年に、並んで埋納された銅剣358本、銅鐸6個、銅矛16本が出土しています。
この数はそれまでに全国で出土した銅剣の数より多く、古代出雲勢力の存在を
明らかにしました。
展覧会ではそのうち、168本が展示されています。
多くの銅剣の根元に×印が刻んであるということですが、印の意味も埋納の理由も
不明です。

1996年に荒神谷遺跡と山を隔てて反対側にある雲南市岩倉遺跡で発掘された
銅鐸39個のうちの30個も展示されています。
39個は一つの遺跡から出土した銅鐸としては最多です。
こちらも埋納の理由は不明です。

銅鐸の出土状況が復元されています。

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銅鐸の中に銅鐸を入れる、入れ子状態で埋納されていました。

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第3章 大和 王権誕生の地

「画文帯神獣鏡・三角縁神獣鏡」 奈良県天理市 黒塚古墳出土 古墳時代・3世紀 
 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所保管) 重要文化財

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黒塚古墳は全長約130mの前方後円墳で、1997年に三角縁神獣鏡33面と
画文帯神獣鏡1面が出土しています。
画文帯神獣鏡は小さな鏡で、被葬者の頭の近くに置かれていたのに対し、
三角縁神獣鏡は木棺の外側に並べられていました。
三角縁神獣鏡は卑弥呼が魏の皇帝から賜った銅鏡100枚のことではないか
とも言われていましたが、このような扱い方から見て、それほど貴重な品とは
されていなかったようです。

「七支刀」 古墳時代・4世紀 奈良・石上神宮蔵 国宝
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全長74.8㎝、左右に6本の枝を持つ、とても珍しい形の鉄剣です。
金象嵌で61文字が刻まれていて、金文字が浮かび上がって見えます。
銘文から中国の東晋時代の太和4年(369)の制作で、百済王から倭王に
贈られたのではないかとも考えられ、日本と百済の外交関係を示す貴重な
資料となっています。
石上神宮はとても由緒の古い神社で、元は物部氏に祀られ、大和王権の
武器庫ともなっていたとされています。

「玉杖、鉄弓、鉄矢、円筒埴輪など」 奈良県桜井市メスリ山古墳出土 
 古墳時代・4世紀 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館蔵 重要文化財

円筒埴輪は高さ2.4mと日本最大、石や銅の鏃、弦まで鉄製の実用ではない弓矢など
大量の武器が副葬された、大王級の古墳です。

「ガラス碗、金製装飾品など」 奈良県橿原市新沢千塚126号墳出土 
 古墳時代・5世紀 東京国立博物館蔵 重要文化財

指輪やペルシャ産の小さなガラス碗など、異国の文化を感じさせる出土品で、
被葬者が誰なのか興味深いところです。

「石製合子、鍬形石、石釧、車輪石など」 奈良県川西町 島の山古墳出土
 古墳時代・5世紀 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館蔵 重要文化財

鍬形石21、石釧32、車輪石80など、大量の石製装飾品が出土しています。

「埴輪」 奈良県御所市 宮山古墳出土
 古墳時代・5世紀 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館蔵

矢を容れる靫(ゆぎ)、盾、家などをかたどった大きな埴輪です。

「金銅装鞍金具 後輪(しずわ)」 奈良県斑鳩町 藤ノ木古墳出土 古墳時代・6世紀 
 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所保管)

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豪華な馬具一式が展示されています。
1988年の調査で石棺の中から2人の遺体と多数の副葬品が発見されています。
被葬者は蘇我馬子に暗殺された穴穂部皇子と宅部皇子ではないかとされています。

「埴輪 見返りの鹿」 島根県松江市平所遺跡出土 古墳時代・5~6世紀 
 島根県教育委員会蔵

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鹿が振返った瞬間を捉えた珍しい埴輪です。
大和の古墳から発掘された、同じような形の埴輪が展示されており、
出雲と大和の技術の交流を示しています。


第4章 仏と政(まつりごと)

仏教は古墳時代に日本に伝わり、飛鳥・奈良時代には各地に広まっています。

「浮彫伝薬師三尊像」 飛鳥~奈良時代・7~8世紀 奈良・石位寺蔵 重要文化財 
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高さ118㎝で、初唐の磚仏(型取りした粘土を焼成した仏像)と同じ様式です。
日本最古級の石仏で、保存状態は極めて良く、表面もきれいです。

「持国天立像」 飛鳥時代・7世紀 奈良・當麻寺蔵 重要文化財
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像高2m以上の大きな脱活乾漆像で、一部に金彩が残っています。
直立した姿勢で、日本の仏像には見られない立派な髭を蓄えた異国風の顔立ちを
しており、初唐の影響が見られるそうです。

遺物からは古代の出雲と大和はそれぞれの文化を持ちながらもかなりの交流を
していたことが分かります。
他にも出雲・大和の貴重な遺物が数多く展示された、とても充実した展覧会です。

展覧会のHPです。

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【2020/01/16 19:05】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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