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夕暮を描いた作品
夕暮れ
chariot

私は一日の中で、夕方の時間が一番好きです。
そこで、今まで私の観た、夕暮れの景色を描いた作品を集めてみました。

「漁村夕照図」 牧谿筆 南宋時代・13世紀  根津美術館 国宝
東山006

牧谿の描いた「瀟湘八景」の中の一つで、元は一続きの巻物を3代将軍足利義満が
座敷飾りのために切断したと考えられています。
水気の多い江南の風景を薄墨で淡く表していて、山々の連なりにはリズムがあります。
画面右の木立には長く夕陽が差していて、夕暮れの一時の印象を描き出しています。

クロード・ロラン 「笛を吹く人物のいる牧歌的な風景」 
 1635-39年 静岡県立美術館

ロ007

古代の遺跡のある夕暮れの景色に人物を交えた、ロマンチックな風景画です。
ローマのティボリにあるシビラ神殿が描かれています。
クロード・ロラン(1600頃-1682)はフランス古典主義の画家で、
夕暮れの風景をよく描いています。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
『スイスの湖(「ルツェルン湖、ブルンネンよりウーリ湾を望む」とされる)』 
 鉛筆・水彩・ペントインク、紙 1841-43年?
 
タ007

ターナーはヨーロッパ各地を旅して、自然を写生しています。
ルツェルン湖はスイス中部にある湖で、ブルンネンから南を見た光景のようです。
青い湖、山岳に当たる日の光、夕焼けに染まる空が水彩画でざっと描かれています。
ターナーはクロード・ロランを尊敬していて、自分の作品をクロード・ロランと
並べて欲しいと遺言までしており、現在、ロンドンのナショナルギャラリーでは
そのように展示されているということです。

ジャン=フランソワ・ミレー  「晩鐘」  1857-59年 オルセー美術館
オ002

バルビゾン派のミレーの代表作です。
夕暮れの紅く染まった光の中で、遠くの教会の鐘が聞こえてきそうです。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 「夕暮れ」 1860-70年 プーシキン美術館
プーシキンimg322 (11)

夕日を背にした木々がシルエットのように浮かび、小さく人物も見えて、
コロ―独特の詩情あふれる情景です。

シャルル=フランソワ・ドービニー 「ボッタン号」 1869年頃 個人蔵
ドービニーimg609 (4)

ドービニーは小舟をアトリエ船にして、セーヌ川や支流のオワーズ川を上り下りして、
風景を描いています。
船で旅することで、重い画材を持ち運ぶ必要が無く、天候や時間による景色の変化を
描き留めることが出来るようになりました。
この方法はモネにも受け継がれています。
日暮れのおだやかなひと時です。

ヘンドリック・ヴィレム・メスダッハ 「オランダの海岸沿い」 
 1885年 ハーグ市立美術館

ハーグ011

夕暮れの海岸の状景で、夕陽が雲を照らし、漁船はシルエットになっています。
空や雲を大きく描く海景画はオランダ絵画の見所の一つです。

ウジェーヌ・ブーダン 「ル・アーヴル、ウール停泊地」 1885年 エヴルー美術博物館
ノル008

夕暮れの港で空も紅く染まり、帆柱や帆桁が半ばシルエットになっています。
ブーダンは海と空の景色を好んで描いています。

岡田三郎助 「ムードンの夕暮」 1899年 東京藝術大学大学美術館
芸10-14-2009_006

フランスに留学していた時の作品です。
紫がかった夕暮の景色で、遠くの空が、かすかに金色に光っています。
道を行く二人の人影が見え、かえって寂しさの増す情景です。

クロード・モネ 「セーヌ川の日没、冬」 1880年 ポーラ美術館
モ010

記録的な寒さで氷結したセーヌ川の氷が割れて流れる様子を捉えています。
木も葉を落とした、冷え冷えとした冬の夕方です。

クロード・モネ 「黄昏、ヴェネツィア」 1908年頃 アーティゾン美術館
9.jpg

印象派の呼び名にふさわしい絵です。
ベネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会のシルエットが、虹のような
夕暮れの光の中に浮かんでいます。

クロード・モネ 「睡蓮の池、夕暮れ」 1916-22年 チューリヒ美術館
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横6mの大作です。
晩年に白内障を病んでいたモネは、大きな画面だと遠くから何とか見ることが出来たので、
大画面の作品を描くようになったそうです。
赤から紫まで、虹の色をすべて使っていて、近くで観ると大振りなタッチでざくざくと
描いてあるのが分かります。
ほとんど形が無くなっていて、抽象絵画はもう目の前だなと思います。

エミール・クラウス 「ウォータールー橋 黄昏」 1918年 個人蔵
ク009

エミール・クラウス(1849-1924)はベルギーの画家で、フランスの印象派、
特にモネの影響を受け、光を強調したルミニスム(リュミニスム、光輝主義)を
代表する作家の中心として活躍します。
霧を描いても、モネが霧の中の光を表現しているのに対して、クラウスは
光に照らされる景色を描き出しています。

フィンセント・ファン・ゴッホ 「夕暮れの松の木」 
1889年12月 クレラー・ミュラー美術館

ゴッホimg070 (6)

手前に大きく樹木を描く構図はゴッホの愛好した浮世絵の影響を受けているようです。
赤い夕陽が絵に生命力を添えています。

エドヴァルド・ムンク 「叫び」 1910年? オスロ市立ムンク美術館
ムンクimg317 (2)

日没の頃に歩いていて、フィヨルドからの大きな叫び声を感じたということで、
それを描いたのが「叫び」です。
真っ赤な夕焼け空も入江の暗い海もうねり、残響がこだましているようで、
何とも異様な情景です。
「叫び」には4つのヴァージョンがあり、最初に1893年にパステル画が描かれており、
テンペラと油彩によるこの作品は最後に描かれています。

アンリ・ル・シダネル 「夕暮の小卓」 1921年 大原美術館
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パリの南の町、ヌムールの夕暮れです。
アンリ・ル・シダネル(1862-1939)は夕暮れの静かな情景を数多く描いています。

2017年にサントリー美術館で開かれた「アンリ・ル・シダネル展」の記事です。

ポール・シニャック 「アンティーブ、夕暮れ」 1914年 ストラスブール美術館
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夕焼けの海辺の風景を、タイルを貼ったような点描で表しています。
海はシニャックの好んだ題材で、赤と青に輝く空と海は爽やかです。
高い塔は昔の砦で、ピカソも中の部屋をアトリエに使っていたことがあり、
今はピカソ美術館になっているそうです。

アルベール・マルケ 「アルジェの港」 1942年 松岡美術館
旅7

港は夕暮れの紅色に包まれています。
第2次世界大戦中の連合軍によるフランス領アルジェリアへの上陸作戦の前でしょうか。
マルケはフォービズムの画家に分類されていますが、荒々しさのある
フォービズムとは違った、穏やかな作風です。

ジョルジュ・ルオー「秋の終り II」 1952年 出光美術館
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ルオーの好んだ、夕暮れの光景の中のキリストです。
ルオーは夕暮れの状景が好きで、夕食前によく散歩に出かけ、夕暮れの
景色を眺めていたそうです。
教会のステンドグラスは西向きの正面の窓の部分が大きく、夕方の光の中で
最も輝きます。
初めはステンドグラス職人だったルオーが夕暮れの景色を好んだのは、
ステンドグラスの光への思いもあるのでしょうか。

以下は日本の夕暮れの景色です。

和田英作 「渡頭の夕暮」 1897年 東京藝術大学大学美術館
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東京美術学校の卒業制作です。
和田英作(1874-1959)は東京美術学校で黒田清輝に学び、西洋画科の
最初の卒業生となっています。
外交派の画風で多摩川の矢口の渡しを描いています。

青木繁 「月下滞船図」 1908年 久留米市美術館
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筑後川の水運業者でしょうか、月の光の下の夕暮れの情景です。
かまどの火が印象的で、帆柱にも火影が映っています。
若い晩年の作品で、浪漫的な青木繁とは別の、穏やかで叙情的な作品です。

「故郷の秋」 1909年 夢二郷土美術館蔵
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竹久夢二(1884-1934)は岡山県瀬戸内市邑久町本庄の酒造業の家に生まれています。
邑久町(おくちょう)は里山に近く、現在ものどかな農村です。
夕暮れ時の郷愁を誘う情景で、木の枝は葉を落とし、蓮池の蓮も枯れています。

川瀬巴水 「木場の夕暮」 1920年
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版画作品で、材木を浮かべた水面に木橋や電柱が浮かんでいます。
何気ない、ちょっとうら淋しい景色ですが、郷愁を誘います。
川瀬巴水(1883~1957)は新版画という、江戸の浮世絵の技法を
受け継ぎながら新しい芸術を目指した版画を制作しています。

東山魁夷 「残照」 1947年 東京国立近代美術館
近代002

初期の作品で、1947年に日展で特選を受け、その後の東山魁夷の作風の
原点となった作品です。
山々の連なりは夕日を受けてその姿を見せています。
厳粛ともいえる静謐な画面で、写実を基本にしていますが、東山魁夷の特徴の
象徴性も感じられます。

稗田一穂 「残照」 佐藤美術館
佐003

海辺の岩場の桜は花を着け、海面は夕日に輝いています。
稗田一穂さん独特の幻想的な世界です。

矢吹幸子 「港・夕景」
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2009年の第73回新制作展の作品で、鈍い金色に光る海辺の広場です。
フェンスや子供たちの影の向きが違っている、不思議な空間です。
夕暮れ時に感じる、懐かしさがあります。

小田野尚之 「暮れゆく」
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2014年の再興第99回院展出展作品です。
中国山地の真中にある、JR姫新線岩山駅の夕暮れの佇まいで、電車がライトを
点けてやって来るところです。


損保ジャパン日本興亜本社ビル42階の美術館からの眺めです。
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上野不忍池の夕暮れです。
う30_0986

こちらは東京ドームの夕暮れです。
ブIMG_0763 - コピー

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【2020/05/08 20:25】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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