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私の「川合玉堂展」
川合玉堂
chariot

日本の風景を詩情豊かに描いた日本画家、川合玉堂の作品を集めて、
私の「川合玉堂展」を開いてみました。

川合玉堂(1873~1957)は愛知県出身で、岐阜県で育ち、1887年に14歳で
京都の四条派の望月玉泉、幸野楳嶺に師事しています。

「鵜飼」 1895(明治28)年 山種美術館
玉012

部分
玉011

大きな画面の作品で、そそり立つ岸壁の下、篝火の煙をなびかせて漁をする
鵜飼舟を描いています。
川合玉堂は岐阜県育ちなので、長良川の鵜飼は馴染み深い題材であり、
生涯に500点あまり描いているそうです。

「夏雨五位鷺図」 1899(明治32)年 玉堂美術館
玉堂img380 (3)

岩の上から鋭い目で川面をのぞき込むゴイサギです。
羊歯の葉や斜めに降り注ぐ雨も描かれ、緊張感のある引き締まった画面です。

「行く春」 1916(大正5)年 東京国立近代美術館 重要文化財 
川合002 川合001

左隻
川合002

右隻
川合001

長瀞の川下りの経験を基にした作品と思われます。
桜の散る谷川につながれた水車舟は粉挽き用ですが、回る水車が春の興趣を増しています。
春になると国立近代美術館でよく展示される作品です。

「紅白梅」 1919(大正8)年 六曲一双 玉堂美術館
玉002

左隻
玉003

右隻
玉004

金箔地に、右隻の下から立ち上がって左隻にも枝を延ばす白梅と、
左隻の上から枝を下ろす紅梅の組合わせです。
右隻二羽、左隻に一羽の四十雀が止まっています。

大正期は琳派の画風が流行した時代とのことで、この屏風も尾形光琳の
「紅白梅図屏風」に倣っていて、たらし込みの技法も使っていますが、
枝の重なりの描き方に遠近感を出しています。

「雨後」 1924(大正13)年
皇10-8-2009_006

川合玉堂得意の水辺の光景です。
雨後ということで、大気は湿り気を帯び、小舟の人物は蓑を着け、
空には虹もかかっています。
日本画ですが、描写は細かく、木々も立体的に描かれ、西洋画の
影響が感じられます。

「宿雪」 1934(昭和9)年 日本美術院
玉堂img380 (2)

大きな作品で、水墨が基調ですが、わずかに緑青が入っています。
人の姿はなく、春は未だの寒々とした景色です。

「鵜飼」 1939(昭和14)年頃 山種美術館
玉005

流れを下る鵜飼舟の篝火の明と岩場の暗が対照され、煙に霞む船頭も見える、
躍動感のある作品です。

「春風春水」 1940(昭和15)年 山種美術館
玉006

川の急流に張ったワイヤーを使った渡し舟には農家の女性が乗り、船頭が腰に力を
入れて舟を操っています
岩場には山桜が咲き、満々とした蒼い水の描写が印象的です。

河合玉堂は多摩地方の風景を愛してよく描いています。
戦時中は奥多摩に疎開し、東京の自宅が空襲で焼失した後は現在の
青梅市御岳に移り住んでいます。

「雪志末久湖畔」 1942(昭和17)年 山種美術館
玉008

志末久(しまく)とは風の激しく吹き寄せることを言います。
吹雪の寄せる湖畔の景色で、冷たく張りつめた空間が広がっています。
古典的な山水画の雰囲気を残していますが、雪をいただいた山塊の重なりは
写実的です。

「山雨一過」 1943(昭和18)年 山種美術館
原風景005

雨上がりの山道の情景です。
谷から吹き上がる風に木々も草も馬子の蓑も揺れ、雲も千切れて飛んで行きます。

「早乙女」 1945(昭和20)年 山種美術館
玉堂img380 (1)

終戦の年に描かれていますが、常と変わらぬ農村の営みです。
畦道は一気に引いたような太い線で、たらし込みも使われています。
田植は早乙女が中心になる農作業ですが、戦時中で男手の足りない
時でもあり、「銃後の守り」の意味も込めています。

「朝晴」 1946(昭和21)年 山種美術館
玉009

部分
玉010

大きな作品で、終戦の翌年に描かれています。
崖から伸びる松、尾根道、遠山の重なった雄大な景色で、
遠くの尾根道を行く人と馬は朝霧の中から現れています。

「渓雨紅樹」  1946(昭和21)年  山種美術館
原風景006

谷あいの村は雨に煙り、紅葉した木々の葉はうなだれています。
白抜きで表された道を傘を差した人が二人歩いています。
玉堂はよく風景の中に何人かの人を描いて、人のつながりを表しています。

玉堂は写生の折に見かけた水車小屋の風景を気に入り、自宅の庭に
水車を作ってその音を楽しんだということです。

「雪景の図」 1950年代 パナソニック(株)
四季img273 (3)

水辺の村には雪が積もり、遠くの山には雲がかかっています。
川合玉堂の絵らしく、人物が点景として描かれ、人の生活をうかがわせます。
雪の部分は絵具を塗らず、紙の白を残しています。

「雪月花・朝雪」 1952(昭和27)年 ニューオータニ美術館
玉堂001

朝、降った雪を川に流している雪かきの情景です。
水車を回す川の水には勢いがあります。
川合玉堂の好んで描いた、奥多摩の自然と人の暮らしです。

なお、ニューオータニ美術館は現在、閉館しています。

「屋根草を刈る」 1954(昭和29)年 東京都
玉堂img380 (5)

最晩年の81歳の作で、第10回日展に出品され、最後の日展出品作となっています。
玉堂の奥多摩御岳の家は茅葺きで、夏の間に生えた草を植木屋が刈り取って
いるところです。
刈られた草は倒れ、イチジクが実を付けています。
玉堂が孫に、「この絵に何か足りないものがあるかい?」と訊いたところ、
「花があるのに蝶がいない。秋だから黄色い蝶がいい。」と言われたので、
即座に3頭のモンキチョウを描き足したということです。
自然の風景と人の営みが一体となった、河合玉堂らしさのよく表れた作品です。

青梅市の多摩川沿いにある玉堂美術館のHPです。

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【2020/04/23 20:11】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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