FC2ブログ
私の「ボナール展」
ボナール
chariot

今まで観たボナールの作品を集めて、私の「ボナール展」を開いてみました。

ピエール・ボナール(1867-1947)はパリ郊外の生まれで、始めは法律家を目指しますが、
趣味で絵を描き、画塾にも通います。
そこで、後に共にナビ派を結成するポール・セリュジエやモーリス・ドニ、エドゥアール・
ヴュイヤールらと出会っています。
ナビ派は1888年に結成された、結社的な集まりで、写実を離れ、画面の
装飾性を重視しています。
モーリス・ドニの「絵画とは…、ある一定の秩序のもとに集められた色彩によって
覆われた平坦な表面である。」という言葉が有名です。

ピエール・ボナール 「革命記念日のパリ、パルマ街」
 1890年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー

印象004

バステイーユ監獄襲撃事件のあった1789年7月14日を記念して開かれる
フランス国民祭、いわゆるパリ祭のパリの街頭です。
主役は三色旗で、手前の3人も赤白青の3色になっていて、遊び心のある作品です。
この頃のフランスは第三共和政の時代です。

ピエール・ボナール 「庭の女性たち」 1890-1891 オルセー美術館 
ナビ2-13-2017_001

左から、白い水玉模様の服を着た女性、猫と座る女性、ショルダー・ケープを着た女性、
格子柄の服を着た女性という題の付いたシリーズです。
高さ約160㎝、カンヴァスに貼った紙にデトランプ(テンペラ)で描かれています。
紙を使うことで、絵具の吸収を良くして、画面のツヤを消しています。
掛軸のような縦長の画面はボナールの特徴がはっきりと表れ、極めて平面的、装飾的で、
浮世絵などの影響が分かります。

ピエール・ボナール 「フランス=シャンパーニュ」 1891年 川崎市市民ミュージアム
ボナールimg183 (4)

ボナールはポスターなども手掛けています。
リトグラフによるシャンパンの広告ポスターで、この作品が認められたことで、
画家への道を進むことになります。
ロートレックの出世作となるポスター、「ムーラン・ルージュのラ・グリュ」も
同じ年に発表されています。

ピエール・ボナール 「格子柄のブラウス」 1892年 オルセー美術館
オル6-15-2010_015

モデルは作曲家のクロード・テラスと結婚した、妹のアンドレです。
抱かれている猫はお皿の料理を狙って前足を延ばしています。
服の格子柄が平面的に描かれ、浮世絵の影響がはっきり分かります。
ボナールは、日本美術の影響を受けているナビ派の中でも取り分けそれが強く、
「ナビ・ジャポナール(日本的なナビ)」と呼ばれたそうです。
ヴュイヤールとともに親密派(アンティミスト)と呼ばれたボナールらしい、
温かで家庭的な情景です。

ピエール・ボナール  「白い猫」 1894年 オルセー美術館
ボナールimg183 (5)

猫の足を極端に長くして、縦長の画面に収めています。
ボナールは動物好きで、あちこちの作品に犬や猫が登場していて、
その表情までよく描かれています。

ピエール・ボナール  「大きな庭」 1895年 オルセー美術館
ボナールimg183 (6)

クロード・テラスの別荘で過ごした時の情景で、鶏を放し飼いにしている庭で
女の子たちが果物を拾い、それを犬が見ています。
縦2mほどの大きな画面は緑に包まれ、洗濯物を運ぶ女中さんの服も緑色です。

ピエール・ボナール 「洗濯屋の少女」 1895-96年頃 
 カラーリトグラフ・紙 フィラデルフィア美術館

北斎img395 (4)

リトグラフで、浮世絵の影響を受けた平面的な画面は人物をシルエットで表し、
石畳も模様のように描いています。
華やかなパリの裏で、子どもたちが厳しい労働をしている状況も表しています。

ピエール・ボナール 「子どもたちの昼食」 1897年頃 ナンシー美術館
子どもimg080 (4)

ヒゲを生やした猫も一緒に集っています。
床の市松模様も装飾的です。

ピエール・ボナール 「逆光の中の裸婦」 1908年頃 ベルギー王立美術館
BE1

1893年頃、ボナールは後に妻となるマルトと出会っています。
マルトは神経症の気味があって、いつも長い時間入浴していたので、
ボナールはマルトをモデルにして多くの作品を描いています。
窓から日の光が、マルトのシルエットを浮かび上がらせています。
壁、カーテン、洗面台、大きなたらい、すべてが光の中で溶けるように
揺らめいています。
洗面台の鏡にはマルトが映っています。
とても装飾的で、いかにもボナールらしい作品です。

ピエール・ボナール 「靴下をはく若い女」 1908-10年頃 吉野石膏美術振興財団
ロ12-2-2009_004

ドガの「入浴後の朝食」と似た題材の作品ですが、画風の違いが分かります。
肩から腕にかけて当たっている日の光が強調され、日光の好きなボナールの
特徴が出ています。

ピエール・ボナール 「海景、大きな帆船」 1911年頃 スイス、ヴィンタートゥール美術館
世8-13-2010_009

海辺で眺めている人の前を大きなヨットが走り抜けて行きます。
筆遣いに勢いがあり、帆に風を受けて傾く船体の描写には迫力があります。

ピエール・ボナール 「夏、ダンス」 1912年
プーシキンimg322 (14)

縦202㎝、横254㎝の大作で、庭で踊る子どもたちと、後に妻となるマルトが
描かれています。
ボナールは1912年に、尊敬するモネの居るジヴェルニーの隣のヴェルノンに
転居しています。
そこでの景色でしょうか、画面全体が温かく柔らかな色彩に包まれています。


ピエール・ボナール 「にぎやかな風景」 1913年頃 愛知県美術館
モ011

この作品は化粧品会社の創業者、ヘレナ・ルビンスタインの注文で描かれた
ものということです。
伸び伸びとした大作で、風景の中に思い思いの姿の女性と犬がいます。
右側の日陰の女性は白目まで描き込んであります。

「化粧室あるいはバラ色の化粧室」 1914-21年 オルセー美術館
ボナールimg183 (1)

室内空間を区切る壁紙や鏡、カーテンは日の光にあふれ、裸婦の肌と
響き合っています。

ピエール・ボナール 「犬を抱く女」 1922年 フィリップス・コレクション
フィリップスimg282 (9)

犬を抱いているのはマルトです。
掛軸のような縦長の画面で、対象も縦に揃っています。

ピエール・ボナール 「棕櫚の木」 1926年 フィリップス・コレクション
フィリップスimg304 (2)

ボナールは1926年に南仏のル・カネの別荘を購入しています。
そこで描いた作品で、浮世絵風に画面上を棕櫚の葉が覆い、
手前にはマルトが居ます。
おだやかな色調と筆致で明るい南仏の気分を表しています。

ピエール・ボナール 「花束」 1926年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
印象009
 
華やかな画面で、テーブルクロスの格子模様が印象的です。

ピエール・ボナール  「アンティーブ(ヴァリアント)」 1930年頃 オルセー美術館
ボナールimg183 (7)

アンティーブは南仏のカンヌとニースの間にあり、要塞跡が残っています。
モネやシニャックが描き、高い塔の中の部屋を後にピカソがアトリエに
使っていたこともあります。

ピエール・ボナール 「浴槽の裸婦」 1931年 ポンピドゥー・センター
ポ6-15-2016_005

入浴好きの妻、マルトを描いた作品の一つで、親密派(アンティミスト)と言われた通り、
親密な空間を色彩豊かに表しています。

ピエール・ボナール 「ル・カネの食堂」 1932年 オルセー美術館(ル・カネ、ボナール美術館寄託)
ボナールimg183 (3)

暖かい室内で、テーブルの上のボトルや皿がおしゃべりをしていて、
猫がその様子を眺めています。

ピエール・ボナール 「 雄牛と子ども」 1946年 モナコ、個人蔵
子どもimg086 (1)

亡くなる前年の作品で、動画のように明るく自由に伸び伸びと描かれ、
ボナールはここまで来たのかという思いがします。

ボナールの平面的で装飾性のある作品は日本人にも親しみやすく、
観ていて気持ちが暖かく、おだやかになります。

関連記事

【2020/05/02 18:37】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
  • こんばんは。
  • ボナールの装飾性はミュシャに、華やかな色彩はルノワールに通じるものがあります。
    ポスターやリトグラフは色数が少ないので、雰囲気が変わりますね。
    どんどん色彩が豊かになっていくボナールを観るのは楽しいものです。

    【2020/05/04 19:32】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 画風七変化
  • 「フランス=シャンパーニュ」はまるでロートレックみたいですね。「洗濯屋の少女」はなんかどことなくキリコっぽい。「庭の女性たち」は何となくミュシャを思わせますし、「逆光の中の裸婦」はルノワールみたいにも見えます。いろいろと試行錯誤した人なのでしょうかね。

    【2020/05/04 16:27】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















    管理者にだけ表示を許可する

    trackback
    trackback url ↓
    http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/4127-bd9c352f

    プロフィール

    chariot

    Author:chariot
    美術館・博物館めぐりとカフェの記事を書いています。

    最近の記事

    最近のコメント

    最近のトラックバック

    カテゴリー

    ブログ内検索

    月別アーカイブ

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    RSSフィード


    | ホーム |