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私の「シダネル展」
シダネル
chariot

私はフランスの画家、シダネルの絵が好きなので、今度は私の観たシダネルの
作品を集めて、私の「シダネル展」を開いてみました。

アンリ・ル・シダネル(1862-1939)はフランス人の植民者の多かった、インド洋の
モーリシャス島の生まれで、1872年に一家はダンケルクに移住します。
その頃、父に絵の才能を見出されて絵画の勉強を始め、1880年にパリに出て、
国立美術学校のアレクサンドル・カバネルのアトリエに入ります。
カバネルと言えばアカデミックな絵画の代表者ですが、シダネルは印象派の
画家たちと知り合い、影響を受けるようになります。
やがて、印象派とも少し違った、光に注目した静謐な作品を描き、さらに人物もいない、
静かな夕暮れの情景を描き続けるようになります。

1885年には北フランスのエタプルに移り、光に注目した作品を描くようになります。

「帰りくる羊の群れ」 1889年 ひろしま美術館
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ミレー風の作品ですが、夕暮れの淡い光と人や羊の影を意識しています。
女性のマントの薄い紫色が印象的です。

「朝」 1896年 ダンケルク美術館
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1894にパリに戻りますが、その頃は象徴主義が興っていました。
シダネルが最初に開いた個展に出品された作品で、妹の嫁いだ先である、
ロワール地方のモントルイユ=ベレーの情景です。 
花嫁のようなヴェールを被った女性が小舟に乗っている、象徴的な雰囲気の
作品ですが、やはり朝の光が主役です。

「日曜日」 1898年 ドゥエ、シャルトル―ズ美術館
最004

象徴派の詩人、マックス・エルスカンの「生への賛歌」に着想を得た作品で、
柔らかな光の中に浮かぶ女性たちを描いています。
藤色の柔らかな光に包まれた象徴的な世界です。

「夕日のあたる大聖堂」 1900年 ボーヴェ、オワーズ県立美術館
シ008

シダネルはフランスやヨーロッパ各地への取材旅行をさかんに行なっています。
北フランスのボーヴェにあるサン・ピエール大聖堂に当たる夕日です。
大聖堂の南側から見たところのようです。

モネも光の中のルーアン大聖堂をシリーズで描いていますが、モネが光の作用
そのものに興味を持ったのに対して、シダネルは手前に暗がりの中の民家を置いて、
夕暮れの雰囲気というものを描いています。
シダネルの特徴の点描によっていますが、それは移ろう光の儚さを表わして
いるようです。

点描法で有名なジョルジュ・スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」が
第8回印象派展に出品されたのは1886年です。

シダネルはこの頃から人の姿を描かずに、建物や調度品によってその気配だけを
感じさせるようになります。

「コンコルド広場」 1909年 トゥルコワン、ウジェーヌ・ルロワ美術館
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夜の情景で、雨の日なのか地面も光を反射しています。
街灯、オベリスク、噴水、馬車と一緒に自動車らしい形も見えます。

「黄昏の白い庭」 1912年頃 ベルギー王立美術館
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誰も居ない庭が、黄昏時のかすかな光の中で静まっています。
点描によって、おぼろげな雰囲気をよく表しています。

「夕暮の小卓」 1921年 大原美術館
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パリの南の町、ヌムールの夕暮れです。
パスツール広場からロワン川の支流を眺めたところでしょうか。
シダネルは水辺の情景も好んで描いています。

「離れ屋」 1927年 ひろしま美術館
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シダネルは1901年にパリの北西にあるジェルブロワに移ります。
作品は夕闇の中に浮かび上がる庭の薔薇です。
家の窓の明かりが人の暮らしの気配を感じさせます。
ジェルブロワはイギリスに支配されていたため百年戦争の戦場となり、
その後は見捨てられたような寒村でした。
シダネルは古い建物を買って住み、庭に薔薇を植えます。
さらに村の人にも薔薇を植えることを勧め、やがて村中が薔薇に包まれて、
今ではジェルブロワは「フランスの最も美しい村」の一つに選ばれています。

グーグルのストリートビューで、「Gerberoy」と入力すると、本当にシダネルの
絵のような景色を見ることが出来ます。
「アンリ・ル・シダネル通り」という、石畳の道もあります。

「青いテーブル」 1923年 ラーレン(オランダ)、シンガー美術館
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1901年頃から、人のいないテーブルとイス、食器類を描くようになります。
作品はジェルブロワの自宅の情景です。 
セザンヌの描いた、存在としての静物ではなく、情景としての静物を表わしている
ように見えます。

「薔薇の花に覆われた家」 1928年 ル・トゥケ=パリ=プラージュ美術館
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シダネルは1909年にパリ郊外のヴェルサイユにアパルトマンを借りて、
寒い季節はそこで過ごします。
ヴェルサイユ宮殿のすぐ横にあったので、シダネルは宮殿の庭を
よく散歩しています。
夕暮れ時の家の窓には明かりが灯り、壁の薔薇は星のようです。

「月明かりの入り江」 1928年 バレル・コレクション
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淡い月の光に照らされ、帆を畳んだ小舟が休んでいます。
バレル・コレクションの創設者、ウィリアム・バレルは海運王で、
海運や船舶の売買で成功していたので、港や船の風景には特別の
思い入れがあったようです。

「赤色のテーブルクロス」 1931年 ドゥエ、シャルトル―ズ美術館
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人の姿は無く、窓から室内に光が広がっています。

「広場」 ブリュッセル 1934年 ラーレン(オランダ)、シンガー美術館
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夜のグランプラスの景色です。
シダネルは1898年に、妻となるカミーユと出会いますが、両親に反対されて
ベルギーのブリュ-ジュに駆け落ちしています。
そのため、ベルギーの景観は後のシダネルにとって思い出深いものとなった
ようです。

「教会の下の家、黄昏」 1934年 トロワ美術館
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ジェルブロワの夕闇の迫る前のひとときの情景です。
村の教会の東側から見たところのようです。

「ランビネ美術館」 1937年 ランビネ美術館
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シダネルが亡くなる年の1939年にシャルパンティエ画廊で開かれた、
生前最後の個展に出品された作品です。
ヴェルサイユにあるランビネ美術館の前庭と正面を描いています。
木は葉を落とし、水盤には枯れ葉が散っていますが、美術館の中には
誘うような暖かな光が灯っています。

私は一日の中で、夕方が一番好きなので、シダネルの作品の静謐で、
懐かしく、そこはかとない寂しさもある佇まいには、なにか心を揺らす
ような魅力を感じます。

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【2020/05/14 19:45】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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