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私の「セザンヌ展」その1
セザンヌ
chariot

今まで観たセザンヌの作品を集めて、私の「セザンヌ展」を開いてみました。
2回に分け、1回目は人物画と静物画を集めてみました。

ポール・セザンヌ(1839-1906)は南フランスのエクス=アン=プロヴァンスで生まれ、
若い頃には絵画の勉強のためパリに滞在し、印象派に加わりますが、後に故郷に
戻ってからはサント=ヴィクトワール山の景色を繰り返し描いています。


ポール・セザンヌ 「四季」 1860-61年 パリ市立プティ・パレ美術館
セ010

縦314cmの長い画面に、四季を寓意化した人物が描かれています。
裕福な父の購入したエクス=アン=プロヴァンスの別荘の大広間を飾る作品で、
セザンヌとは分からない装飾的な画風です。

セザンヌが画家になることを喜ばなかった父に申し出て描いた絵とのことで、
実際に大広間に飾られていた時は、壁の中心に横向きで新聞を読む父の姿を
描いた絵が置かれ、その両脇に「四季」が並んでいました。
セザンヌも父にはかなり気を遣っていたようです。

ポール・セザンヌ 「自画像」 1875年頃 オルセー美術館
セ008

30歳台半ばの自画像で、髪はもじゃもじゃ、いかにも頑固そうな顔をしています。
セザンヌは1861年にパリに出て、ピサロと知り合い、後にピサロから印象派の技法を
学んでいます。
印象派の光を意識した描き方をしていますが、がっちりとした構成です。
筆の遅いセザンヌには自画像は具合の良い画題だったようです。

ポール・セザンヌ 「赤いひじ掛け椅子のセザンヌ夫人」 1877年頃 ボストン美術館
セ006

パリ時代に、同棲していたオルタンス・フィケを描いた作品です。
青系統でまとめた夫人の姿をソファの赤いかたまりが支えています。
オルタンスはまったく動かずにモデルを務めるので、セザンヌは
「りんごのようにポーズを取る」とほめています。

ポール・セザンヌ 「3人の水浴の女たち」 1876-77年頃 パリ市立プティ・パレ美術館
セ011

水浴図は古典的な画題で、女性美を描くため神話的な場面がよく利用されています。
セザンヌも男性や女性の水浴図をよく描いていますが、物語的な雰囲気は無く、
女性も優美とは言い難く、オブジェとして描いているようです。
両側の木が中心に向かって傾いていて、安定した画面構成を意識しています。

ポール・セザンヌ 「画家の夫人」 1886年頃 デトロイト美術館
デトロイト2_1

長年同棲していたオルタンスと正式に結婚した頃の作品です。
あまり色彩を使わない、、頑固な描き振りです。
セザンヌは物の存在感を重視しない印象主義に飽き足らなくなり、
構築的な画面を追求するようになります。

ポール・セザンヌ 「赤いチョッキの少年」
 1888-1890年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー

ワ011

印象派の絵と比べると、いかにもがっちりとして構築的です。
カーテンが画面をさまざまに分割しています。

ポール・セザンヌ 「帽子をかぶった自画像」 1890-94年頃 アーティゾン美術館
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55歳頃の自画像で、セザンヌは30点ほどの自画像を遺しています。
筆の遅いセザンヌにとって自画像は良い画題だったのでしょう。

ポール・セザンヌ 「カード遊びをする人々」 1892-96年頃 コートールド美術館
コートimg127 (3)

セザンヌは晩年、「カード遊びをする人々」を5枚描いており、これはそのうちの1点です。
2人の男性が向かい合ってカード遊びに没頭している情景ですが、物語性は無く、
静物画のような趣きです。

ポール・セザンヌ 「アンブロワーズ・ヴォラールの肖像」
 1899年 パリ市立プティ・パレ美術館

セ012

パリで初めてセザンヌの個展を開いた画商、ヴォラールの肖像です。
水色の入ったシャツの白が映えています。
こちらを向いている手や組んだ足は顔に比べて大きく、立体的に描かれています。
ヴォラールはこの絵のために115回もポーズを取らされ、少しでも身動きすると、
「りんごが動くか!」と怒られたそうです。
セザンヌにとって静物画も肖像画も同じで、モデルはりんごのようなオブジェの一つで
あったことを良く示している逸話です。
光を追う印象派の描き方が時間をかけて描き込むタイプのセザンヌには合わなかった
のも分かります。
セザンヌに傾倒していた安井曾太郎が1939年に描いた、「F夫人像」も組んだ足を
大きく描いています。


ポール・セザンヌ 「砂糖壺、洋なし、青いカップ」 1865-70年 
 グラネ美術館(オルセー美術館より寄託)

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銀の砂糖壷や皿とともに描かれている青いカップも高価な品だったそうで、
セザンヌの実家が裕福だったことを示しています。
パレットナイフによる荒々しい厚塗りはクールベの影響とのことですが、
後のセザンヌを思わせる存在感のある絵です。

ポール・セザンヌ  「スープ入れのある静物」  1873-74年頃  オルセー美術館
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セザンヌのよく描くリンゴが籠に入っています。
後ろの風景画はピサロの作品です。

ポール・セザンヌ 「壷、カップとりんごのある静物」 1877年頃 メトロポリタン美術館
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ありふれたカップや布、果物を並べただけの、セザンヌらしさの表れた静物画です。
「赤いひじ掛け椅子のセザンヌ夫人」と同じ頃の作品で、パリの同じアパルトマンの壁紙が
背景に描かれています。

ポール・セザンヌ 「倒れた果物かご」 1877年頃 ケルヴィングローヴ美術博物館
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小品で、青とオレンジ色の対比が効いています。

ポール・セザンヌ 「台所のテーブル(篭のある静物)」 1888-90年 オルセー美術館
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セザンヌの特徴のよく分かる作品で、テーブルは斜め上から、果物篭は
横から見た視点で描かれています。
果物や壷などの大きさの比率も、実際とはかなり違っているようです。
一つの画面の中に異なる視点があるというのは、日本画では昔から
行なわれた技法ですが、西洋では革新的だったようです。

ポール・セザンヌ 「カーテンのある静物」 1894頃-95年 エルミタージュ美術館
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しっかりと描きこまれた、安定感のある静物画です。

ポール・セザンヌ 「りんごとオレンジ」 1899年頃 オルセー美術館
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セザンヌの無骨な静物画も後にはここまで複雑で豪華な域に達しています。
3種類の布を使い、りんごやオレンジを4つのかたまりにして並べ、真中に1個りんごを
置いて画面をまとめています。

ポール・セザンヌ 「調理台の上の瓶とポット」 1902-06年 オルセー美術館
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水彩よる、最晩年の作品です。 

次回に風景画を載せます。

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【2020/05/21 19:34】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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