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私の「デュフィ展」
デュフィ
chariot

私の観た、好きな画家、デュフィの作品を集めて、私の「デュフィ展」を開いてみました。

フランスの画家、ラウル・デュフィ(1877-1953)はフランス北部の港町、ル・アーヴルに
生まれています。
両親は音楽の素養がありましたが、家は貧しく14歳で働きに出ています。
23歳で奨学金を得て、パリの国立美術学校に学び、初めは印象派の影響を受けた絵を
描いています。
やがてマティスやマルケと知り合ってフォーヴィズムに関心を向けるようになります。

ラウル・デュフィ 「トゥリーヴィルのポスター」 
油彩、カンヴァス 1906年  パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター

デ006

フォーヴィズムの頃の作品で、画面は色の面によって構成されています。

1907年から11年までは木版画も手掛けています。
特に1908年にドイツに行き、ドイツ表現派の木版画に関心を持ち、帰国後4点の版画を
制作しています。

ラウル・デュフィ 「ダンス」 木版、紙 1910年頃 島根県立石見美術館
デ004

緊密な構成の活き活きとした画面で、竹などの植物の表現は装飾的です。
デュフィの作品にはこの装飾性が強く表れるようになります。

1920年代になると明るく透明な色彩でのびのびと描く、デュフィらしい画風が表れてきます。
南仏にも旅行し、青色を基調にした地中海沿いの光景が描かれるようになります。

ラウル・デュフィ 「信号所」 1924年頃 松岡美術館
西009

夜の海の景色で、青い水面には船の影が長く映っています。
白く月も映り、雲も光に照らされています。
右側には赤い建物があって、緑色の陸には人の姿も見え、一人は海の方を
指しています。
活き活きとして快活な作品です。

ラウル・デュフィ 「海の祭り、ル・アーヴルへの公式訪問」 
 1925年頃 ル・アーヴル、アンドレ・マルロー美術館
ノル002

海にちなんだ式典でしょうか、港には満艦飾の汽船や帆をふくらませたヨット、櫂を立てた
ボートが集まり、手前では馬車のパレードが歓呼の中を進んでいます。
ル・アーヴル生まれのラウル・デュフィはノルマンディー各地をよく題材にしています。

第二次世界大戦中、1944年の連合国軍によるノルマンディー上陸作戦に続く攻撃により
ル・アーヴルの市街は破壊されましたが、戦後に再建されています。

ラウル・デュフィ 「メナラ宮の内部」 1926年 大谷コレクション
デュフィ001

水彩画で、モロッコに旅行した時の景色です。
軽やかな筆遣いで、アラベスク模様を明るく輝くように描いています。

ラウル・デュフィ 「ニースの窓辺」 油彩、カンヴァス 1928年 島根県立美術館
デ005

2つの窓の向こうに広がる海辺の景色、窓の間の鏡に映る室内という面白い構図で、
部屋の中に風が吹き込んでくるようです。

ラウル・デュフィ 「ニースのホテルの室内」 1928年 日本、個人蔵
フ004

豪華な赤い室内と青い南仏の海と空を元気よく取り合わせ、
室内の鏡にも外の青色を映しています。

ラウル・デュフィ 「馬に乗ったケスラー一家」 油彩、カンヴァス 1932年 テート
デ002

イギリスの富豪、ジャン・バティスト・オーグスト・ケスラーの注文で制作された作品で、
横2.7mの大作です。
乗馬という、イギリス人好みの場面で、色彩はまとめられ、背景に地模様のように
びっしりと樹木が描かれ、人馬も連続模様のようなリズム感をもっています。
一番左の馬は半分青色に塗られています。

ラウル・デュフィ 「サン=タドレスで水浴する女性」 
 1935年頃 ル・アーヴル、アンドレ・マルロー美術館

ノル011

サン=タドレスはル・アーヴルの隣にある町です。
フォーヴィズムやキュビズム時代のような強い色彩と形の背景の中に女性が座っています。
デュフィはよく画面の中心に女性を置く構図で描いています。

ラウル・デュフィ 「アンフィトリテ(海の女神)」 油彩、カンヴァス 1936年 伊丹市立美術館
デ009

朝日の昇る海にボート、ヨット、帆船、外輪船、貨物船が浮かび、地引網や浜辺を
散歩する人が見えます。
中心にギリシャ神話の海の女神、アンフィトリテが座って、巻貝から聞こえる海の音を
聴いています。
海の色は自在に塗り分けられ、豊かな地中海世界が広がっています。
デュフィはクロード・ロランを「私の神である」と語っていたそうですが、まさしく
クロード・ロランへのオマージュのような作品です。
デュフィはギリシャ・ローマ神話の神々をよく描いています。
地中海世界の豊穣さを象徴しているのでしょうか。

ラウル・デュフィ 「マキシム」 水彩、グアッシュ、紙 1950年 個人蔵
デ008

1945年に第2次世界大戦が終わり、平和の戻ったパリのレストラン、マキシムの賑わいを
描いています。


デュフィはデザイン関係の作品も多く手がけています。
1909年にファッションデザイナーのポール・ポワレと出会い、1911年には共同で
テキスタイルの製作所を設立しています。
また、1912年にはリヨンの絹織物制作会社、ビアンキーニ・フェリエ社とデザイナー契約を
結んで、テキスタイル画を描いています。

ラウル・デュフィ 「たちあおい」 シルクにプリント 1918年 島根県立石見美術館 
デ007

装飾性にあふれた、華やかな連続模様です。

ラウル・デュフィ 「バラとミモザのある花束」 水彩 1930年頃
デ002

黒の背景がシックで華やかな、みずみずしい感覚のデザイン画です。

ラウル・デュフィ 「ポワレの服を着たモデルたち、1923年の競馬」 1943年 アーティゾン美術館
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ポール・ポワレはファッション・デザイナーで、女性のファッションからコルセットを
追放したことで有名です。
ポワレの依頼で制作した作品に基き、後年描いたものです。
デュフィのよく描いた競馬の情景を背景に、ゆったりしたドレスを着たモデルたちが
ポーズを決めています。

2019年にはパナソニック汐留美術館で、「ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・
デザイン ―」が開かれ、デュフィのデザインしたテキスタイルが多数、展示されていました。

「ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・デザイン ―」の記事です。


デュフィは音楽を題材にした作品も多く描いています。
オーケストラを描いた作品は音楽が響き渡るような高揚感があります。

ラウル・デュフィ 「オーケストラ」 1942年 アーティゾン美術館
絵画005

湧き上がる音楽が聞こえてくるようです。
ティンパニやシンバルも鳴っていて、交響曲のクライマックスの場面でしょうか。

ラウル・デュフィ 「ヴァイオリンのある静物:バッハへのオマージュ」 油彩、カンヴァス 1952年 
 パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター

デ001

バッハをヴァイオリンと紅色で表現しています。
描いてある壁紙はデュフィのデザインした、ビアンキーニ・フェリエ社の壁紙です。
右の壁に描かれている絵は、「花束」(フレスコ 1951年 宇都宮美術館)です。

ラウル・デュフィ 「クロード・ドビュッシーへのオマージュ」 油彩、カンヴァス 1952年 
 アンドレ・マルロー近代美術館

デ003

ドビュッシーはやはりピアノで表されています。


晩年には黒い貨物船の描き込まれた作品が現れます。
船は正面を向いているので、自分に向かってくる物として描いているように見えます。
何を表そうとしているのでしょうか、違和感のある存在です。

ラウル・デュフィ 「サン=タドレスの黒い貨物船」 1948-52年 
 パリ、国立近代美術館(カオール、アンリ・マルタン美術館へ寄託

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海岸で日光浴する人と、網を持ってエビ漁をしている漁師が一緒に描かれています。

ラウル・デュフィ 「黒い貨物船」 1948年以降 
パリ、国立近代美術館(ルーべ、アンドレ・ディリジャン美術館へ寄託)

ノ008

貨物船はどんどん迫ってきて、画面の中心を暗い色で覆っています。

ラウル・デュフィ 「赤い彫刻のあるアトリエ」 1949年頃 
 ル・アーヴル、アンドレ・マルロー美術館

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デュフィらしい明るい色彩の室内画で、窓からは海の景色が見え、イーゼルには
描きかけの絵が置いてあって、貨物船も輪郭線だけが描かれています。


一見、楽天的に見えるデュフィの作品ですが、少年時代は貧しかったり、晩年は関節炎に
苦しんだり、第二次大戦中はフランスがドイツに占領されたのでスペイン国境近くに
逃れたりと、人生は平坦ではありませんでした。
しかし、それを表に出すことは無く、世界を明るく肯定的に描き続けています。

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【2020/05/28 20:30】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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